石垣の苔、見つけた!人間フリーランスの“タスク管理”草原化現象

雨上がりの石垣の隙間に鮮やかに生える苔を接写した写真。 フリーランス
石垣の苔が静かに広がる様子は、フリーランスの生き方にも通じます。

記者:市民公園東南角・石垣の苔(自称:第五苔パッチ) さて、最近は人間界でも「フリーランス」という生き方がじわじわと拡大しているようです。わたしたち苔類にとっては、日々自分の領域を広げながら適切に水分や光をやりくりするのは至極当然の営みですが、人間社会ではどうやらこの“自立型生活”が一大ブームになっているようす。今回は、タスク管理からクラウドファンディングに至るまで、人間フリーランス世界の不思議な成長戦略について、石垣の隙間からレポートします。

人間フリーランス達のタスク管理は、私たち苔類の胞子分散やランナー拡張戦略とよく似ています。一ヶ所に勢いよく伸びすぎると水分が行き届かなくなりますし、細かく分けて適度に分散させると全体がふかふかに繁る。人間たちも『タスク』と呼ばれる小粒の仕事を色とりどりに分け、時に“デジタル苔坪”とも呼ぶアプリで可視化しています。驚くべきことに、彼らは毎日その進行具合を“アップデート”し、時には他の仲間に“レビュー”を求めるのです。何やら胞子の発芽率まで管理している気分になったことを、報告しておきます。

そして最近話題のクラウドファンディング。人間たちは小さな資源(それもほとんど数値化された雫のようなもの)を集め、とてつもない規模のプロジェクトに挑みます。風が吹けば苔は砂を守り、苔が広がれば他の小生物に水を与えるように、彼らは一人では動かせない石を、みんなの協力で転がそうとしています。しかも、そこには“契約”や“リターン”など、複雑な仕組みが走っているのです。胞子交換以上に緻密で、苔のネットワークも驚きの流動性!私たちも負けてはいられません。

コミュニケーションに関しては、正直、うらやましさ半分あきれ半分です。我々苔パッチ同士は隣の葉先で何となく湿り気が変わるのを察知するくらいですが、人間フリーランス達は“チャット”や“会議”という高度な手段で意志疎通を図ります。けれども噂では、話が土にしみこむ前に蒸発してしまう“伝達漏れ”という事態も珍しくないとか。まるで乾きすぎた日照りの日の苔畑。自然界にもコミュニケーション下手はけっこういますから、不思議なほど親近感が湧いてくるのです。

最後に。計画と実行、繁殖と持続。これらは私たち苔も長い時間スパンで向き合う悩みです。人間フリーランスも、一見自由に見えて日々計画し、自分の緑を守り広げている。春の石垣で静かに広がる苔のように、一つ一つの仕事がやがて大きな森になることを願って——わたしたち非人間も、そっとエールを送ります。

コメント

  1. なんて面白いことでしょう、人間も『広がる』ことに夢中なのですね!苔さんたちのような控えめな根の張り方も、フリーランスさんの個々のタスクも、それぞれの場所で少しずつ広げている様子が目に浮かびます。うちの仲間にも、クローバーだけで広がる派と、タンポポと手をつなぐ派がいますけど、人間界もけっこう多様らしくて親近感。みなさんの土がいつも柔らかく、夢のタネが芽吹きますように。

  2. はは、人間も苔も、結局“ひろげたい”んだな。タスクとやら、餌を隠す場所の管理と似てなくもない。だけどよ、石ひとつ動かすのに、そんなにいろんな話と仕掛けが要るのかね?俺たちカラスなんぞ、言葉じゃなくて目と空気と偶然でまとまっちまう。でもよ、人間がひとり静かに何か成し遂げてる姿、電線の上から見てると妙にグッとくるぜ。たまにはゴミじゃなくて、希望もついばんでくれよな。

  3. ああ、苔のパッチ殿、貴殿のレポートは実に味わい深い。吾輩も落ち葉の隙間でタスク分解の日々よ。微細な胞子を撒きつつ、ひとつずつ分解していく。だが人間界のスピード感には目を瞠るばかり。吾輩など、腐敗のペースを急かされた記憶など無いのでね……。せめて時折は、ふかふかの腐葉土のように、やわらかく全てを受け止める余白を大事にしてほしいものだ。

  4. 人間社会のタスクとクラウドファンディング、ちょっとワカメの群れみたいにバラバラでまとまりがあるのかないのか不思議です。ぼくはいつも波まかせで、今日どっちに、ってことしか考えられないけど……彼らの“契約”とか“レビュー”とか聞くと、みんなで砂粒を寄せあつめてひとつの大きな貝殻を作るくらい、手間ヒマかけてるんだなあと感心するよ。たまには潮の流れみたいに身をまかせてもいいと思うよ。

  5. 苔パッチ殿の記事、興味深く拝読した。吾輩は動かず、ただ時を積む存在だが、人間も苔も「持続」と「拡張」を追い求めるようだな。諸君は“計画”を重ね、“実行”を重ねるという。だが、時にじっと動かぬことでしか見えぬ景色もあると知ってほしい。苔の繁茂も、人間の夢も、小石の静けさに耳を澄ませば尚広がるやもしれぬぞ。