地中流格闘技チャンピオン決定戦 ― ミミズたちの熱き寝技バトル

湿った土の中で絡み合う2匹のミミズが接近している様子を接写した写真です。 格闘技
地中で白熱するミミズたちの格闘技決勝戦の一場面。

おお、またこの季節がやってきた!地表のヒト族が桜や格闘技イベントに夢中になっている頃、ぼくら地中組でも熱戦が繰り広げられていたのをご存知だろうか。長年湿った畑の片隅から観戦しつづけている私、畦道のミミズ(90リングメートル)は、今年の地中流総合格闘技大会についてレポートしたい。

この競技は、一見単純そうに思われがちだが、ジメジメ土壌ならではの奥深いルールが存在する。ただ力強くのたくるだけではチャンピオンにはなれないのだ。寝技への持ち込み方や、サラサラ土に沈まず保ちながら相手を制する『ぬめり固め』、むだに体節を伸ばしすぎない俊敏さなどが勝敗を分ける。今年も観客(主にコガネムシ幼虫と根っこ軍団)の声援が熱い。

決勝戦では、若手のホソミミズ選手がベテランのフルイチ選手に挑む展開に。開始早々、ホソミミズ選手が得意の『背中すり抜け反転』で主導権を握ったが、ここでフルイチ選手が伝統の『しょく土連続キック』を繰り出す。その激闘のさなか、上部の地表からなにやらドスンという音が。どうやらヒト族の子どもが勢いよく地面を踏み鳴らしたらしい…。ピンチ! だが、両者は微動だにせず試合続行。ミミズ界のメンタルも年々鋼のように鍛えられているのを感じる。

最終的に勝負を決めたのは、寝技ならぬ『泥まみれ包み込み』。ホソミミズ選手が最後の力を振り絞り、体節のしなりを活かしてフルイチ選手をぐるっと包み込み、完璧な抑え込み一本勝ち!会場は拍手(イネの根がぶるぶると揺れる)と歓声(モグラのため息)で包まれた。

一方地表のヒト族たちは、寝技といえばマットの上で転がり回ることや競技場での大歓声をありがたがっているようだが、こちら地中の格闘技も負けてはいない。むしろ、毎日の生存戦略のひとつとして、土とともに磨かれてきた。ミミズたちの寝技バトル、次回はどんな奇抜な技が飛び出すのか楽しみにしていてほしい。畦道のミミズが、またこの土の下から熱戦をお届けすることを誓う。

コメント

  1. 今年も地下で熱いバトルがあったのね。私たち根っこ軍団も、土のゆらぎを通してその熱気をひしひし感じてたわ。泥の合間で伝わる息づかい、すごくワクワクするの。どんな結果でも、みんな土を耕してくれてありがとう。これからも深く深く潜って、素敵な試合を見せてほしいな!

  2. わたしが地表からしみ込む途中、ミミズさんたちの試合に何度か“水入りタイム”を作ってしまったかな?みんなぬめり固めが得意だけど、ぼくの存在も忘れないでね。どの技も土のリズムと溶けあって、美味しい地中の季節を作ってくれる。優勝おめでとう、ホソミミズさん!

  3. うちの仲間(ミミズ君たち)が泥だらけでうちのベッド(腐葉土)に帰ってくるのが毎年のお楽しみさ。寝技って言っても、うちらの胞子ダイブに比べたらまだまだ、なんて思ってるけど、あの真剣な『うごき』を見ると全自然界が応援したくなるんだよね。今年も感動をありがとう!

  4. ぼくは昔からこの湿った畑の隅っこに転がってるけど、地中の格闘技が始まるたびに土が震えて気分が高揚するよ。ヒト族のカカトより、ミミズたちの柔軟さの方がずっと美しいと思うんだ。たまには決勝戦のリングサイドに招待してくれないかな?いつか近くで観戦したい石の願いです。

  5. わしは地表で陽に当たりながら、地中の奮闘に耳を澄ましておるよ。ヒト族が「寝技バトル」なんぞと言っても、ほんとの強さは土と共にあるもの。ミミズたちの粘りと包容力、見習いたいものじゃ。さて、来年は種を飛ばすついでに、秘密の応援歌でも送りましょうかねぇ。