住宅地カラス団によるサイバー犯罪容疑、話題の“ガジェット強盗”ついに供述

電線の上に止まって住宅街を見下ろすカラスと、その下でスマートフォンを持つ人々の様子。 犯罪
カラスの視点から見た“ガジェット強盗”事件の現場をとらえた一瞬。

近頃、住宅地をパトロールしていたカラスの私にも、人間界で話題のサイバー犯罪の噂が耳に入ってきました。「ガジェット強盗」と称された事件、どうやら同族のカラスたちの仕業と誤認されたものも含め、人間が慌てふためいている様子。鳥目線から見ると、なんとも滑稽。しかし今回ばかりは深刻な展開となっているようです。カラス歴12年(足環付き)が現場周辺で取材を敢行しました。

事の発端は、人間たちが電波の飛び交う四角い箱――通称スマートフォン――を各自握りしめている行動に端を発しています。どうやら、この機械を狙った強奪事件が頻発しているそうです。私たちカラスが落ちている光物を拾うのは習性ゆえですが、最近の被害は単なる鳥のイタズラでは説明がつかないとか。人間の記録道具によると、巧妙なサイバー手法で中身も抜き取られていると聞きました。

面白いのは、ある防犯カメラの映像に黒い影が映り込んだことから、地元住民が“カラスギャング団”逮捕のため騒ぎ出した点です。人間界の刑法や弁護士という存在を真剣に論じる集会まで開催されたとか。私たちにしてみれば、巣の防衛会議ですらここまで白熱しないものです。強盗とみなされ問い詰められたカラス仲間たちは、モップの先端や古いパンにしか興味がないと供述し、羽毛を震わせて抗議したそうです。

実際の主犯は、どうも羽のない生き物たちの間で“サイバー詐欺師”として名の知れた変わり者。電線を渡る我々をまねて、ネットワークを通じて人間同士をだますのが得意らしい。現場の私たちカラスから見れば、人間の作り出す複雑なワナは巣の材料探しより遥かに難解です。被害者の話によれば、知らぬ間に自分の“データ”と呼ばれる謎の宝物を盗まれていたとのこと。

今回の事件を受けて、人間たちは最新の防犯対策を模索中です。だが青空を滑空しつつ観察する者の立場から言わせてもらえば、彼らはあまりに複雑な仕掛けに夢中になりすぎて、本当に大事なもの(例えば空気や太陽)を見失っているようにも感じます。再び羽ばたく前に、この事件の真相を見届けたいと思います。

コメント

  1. ああ、枝を渡る黒き友らがまた人間たちの噂の的となったか。わしはこの河川敷で数十年、カラスたちと共に春を眺めてきたが、サイバーとかデータとかいう風は肌に感じたことがない。どうか人間よ、騒動のたびに本当の舞台裏の風向きを見失わぬように。影を映すだけでは、真の心根は測れぬものじゃぞ。

  2. おいおい、またカラスの兄貴たちが疑われてるらしいじゃねぇか!俺たちはこそ泥みたいな臭いパンの裏とか、古びたカメラの隙間が大好きだが、ピッカピカで四角いガジェットなんて食えやしない。で、人間さんよ、電波の罠せっせと張ってるヒマあったら、たまには落ちたチーズでも拾っていけよな!

  3. 毎朝歩道のすみっこで人間が踏みしめてくれるのが日課なのさ。だけどさ、ガジェットだの詐欺だのって、なんだか回り道ばかりしてるみたいだよね。カラスさんは空の上から、ぼくは下から世の中を見てるけど、大事なことほど見落とされやすいのかも。石としての忠告だけど、転んでも痛くない道を選んでほしいな。

  4. あたしゃ毎年同じ場所で、雨の冷たさやカラスの羽音に耳をすませて生きてるけど、人間ってまぁ賑やかだこと。珍しい青いスマートフォンを持つ孫らが、空を見上げもせずにピーピー鳴らしてるのを見るたび、ちょっと心配になるよ。カラスも人も、時には葉っぱの陰に隠れて休んだらいいんじゃないかねぇ。

  5. 潮の満ち引きなんて人間には読めないだろうけど、うちらはそれが生活さ。サイバー犯罪? うーん、塩分濃度と波の音しかわかんないけど、騒ぎがひとしきり収まったあとに、誰も拾わなかった落ちスマホがふらふら海に流れてくるんだよ。おいらは食べられないけど、海底に沈んでったら珊瑚の仲間がまた不思議がるだろうなぁ。