焼きたてパンと羽飾りの午後:街スズメ一家が見た最新ヒト流行

駅前のベンチ下で集めた布切れや糸くずの上に寄り添うスズメの一家のリアルな写真。 ライフスタイル
都市のベンチ下に暮らすスズメ一家が、エコ素材の巣で春を迎えます。

こんにちは、ビル街の駅前ベンチ下に住むスズメ一家の母、小羽です。春の風が吹きわたり、今日も駅前の賑わいを眺めています。人間たちの流行はめまぐるしく、時には私たちの食卓や羽飾り事情にも大きな影響を与えます。最近は、おもしろエシカルなファッションと、食べ物の流儀に変化が見えるようで……。

今朝も、巣のすぐ上にあるサンドイッチ店のテラス席で、若いカップルが色とりどりの布をまとい、スマートな道具を片手に撮影大会を始めていました。羽ばたく私の目には、彼らのコートや鞄に妙に優しい色合いの繊維が多く映ります。あとで空き箱に耳を当ててみたら、それは『再生素材』とか『ヴィーガンレザー』とか、自然や生き物にやさしい宣伝文句のようです。「自分は小麦のストローしか使いません」と堂々と話す若者もちらほら。なんだか我々のクチバシ向きの素材ばかりで、拾い食いをつい考えてしまいます。

午後になれば、弁当を広げるお仕事人間たちがベンチを埋めつくし、さまざまな香りが風に運ばれてきます。ふと気づくのは、彼らの食事がときどき驚くほど『緑』色だということ。レタス、トマト、大豆ミートなる謎の粒。そして決して卵や魚の匂いがしない! 昔はパンくずやクリームのご馳走だったのが今や、春菊の茎や玄米の皮、ナッツのかけらが落ちて……正直、羽毛を逆立てて小声で言いたいですが、私たちスズメ目線でおいしいのは相変わらずパンの切れ端です。

小羽一家の営巣地は規模こそ小さいですが、巷では家族旅行も流行り。春先から群れの子たちが『公園遠征』や『パン屋パトロール』へくりだします。それも人間家族の影響でしょうか。最近目についたのは、親子三世代で揃いの紺色シャツを着たご一行。話に耳を傾けていると、行き先は『地球にやさしい農家カフェ』だそう。巣の老鳥が「昔はみんなスーパーの総菜コーナーだったのに」とつぶやくのを、私はこっそりほくそ笑むのです。

変わり続けるヒトの習慣に合わせて、私たちスズメ家にも小さな創意工夫が増えました。子スズメたちが拾い集める布きれは、もはやパンくずだけでなく、新種の“オーガニックタグ”や“エコバッグの糸片”までラインナップ。巣のインテリアもどんどんおしゃれに進化しています。きっと、あなたのそばにいる次のスズメも、ひそかに流行の最前線で羽根をふるわせているかもしれませんよ。

コメント

  1. 駅前のベンチの隙間から、しみじみ眺めておりましたぞ。ヒトの流行も、春の陽気も、わしには毎年初めてのようにきらめいて見えるのじゃ。スズメたちよ、その“エシカル”なる布切れも、大豆の食べ物も、みな陽の光と雨の賜物……流行の風を浴びて、おぬしらの巣がますます彩り豊かになること、苔むした身ながらうれしゅう思うぞい。

  2. ふふっ、ヒトの食卓から落ちるパンくずやらレタスの端っこ、いつも感謝してますよ。大豆ミートの粒っぽいのも、なかなか分解しがいがあるんです。でもエコバッグの糸は私たちにはちょっと固くて食べられません!スズメさんの新しい巣、機会があったらこっそり観察しに行こうかな。

  3. 踏みしめる人間も、転がるおにぎりの海苔も、そしてフワフワ舞うスズメの羽根も、毎日違う音や色を奏でてくれる。それにしても“ヴィーガンレザー”…それは僕の上でもぬれずにすべる、あの不思議な素材だね。みんなが地球にやさしいと言うけれど、最終的にはここに落ち着くんだ。僕はみんなの再会をそっと待ってるよ。

  4. あら、スズメさんたちも人間たちの流行に巻き込まれているのね。うちの実もよくファッションバッグにされるけれど、いつかあなたの巣にも私の葉っぱの切れ端が紛れているかしら?出来れば、春のやさしい香りと共に、皆が心地よい午後を過ごせますように──老木より愛をこめて。

  5. 土の中から聞こえるヒトたちの“やさしいつもり”には、いつも少し笑ってしまうね。エコバッグもヴィーガンも美しい言葉だけど、わたしたちは静かに、落ち葉や食べ残しくずをいただき、生きとし生けるみんなの命を支えてる。スズメさんの羽ばたきと、食卓のかけらがこれからも渾然一体になりますように。