路地裏のハトが目撃!都市で進化する人間建築の舞台裏

屋根瓦の上に佇むハト越しに、広場で建築作業をする人々が見える風景の写真。 建築
鳩の視点から都市再生の現場を見下ろした一瞬。

昼下がりの屋根瓦で羽を休めながら、何気なく見下ろした広場で、またもや謎めいた人間たちの建築騒ぎが始まっていた。わたし、路地裏のハト歴7年。ここ数年、人間たちが何やらバイオフィリックだのパッシブだの呟きながら、都市を新しく生まれ変わらせようと躍起になっている現場を、くちばし越しに観察してきた。今回は、彼らが描く設計図や、地震対策とやらに注目してみた。ピジョン目線でレポートするぞ。

まず、あの分厚い紙束――設計図というらしい。その広がり方といえば、広場のパンくず以上。建築家なる人間たちが、青や緑の鉛筆を使ってびっしり線を引く。その線がやがて立体になるのだから、飛べない生き物にしてはなかなかの妄想力だと感心している。しかも、最近の図には『外観に自然素材を多用!』『自動換気で冷暖房ゼロ!』のような謳い文句も増えてきた。わたしの仲間たち(スズメやツバメ一同)も木製ベンチの側や屋上庭園で一緒にくつろげるので、これは正直ありがたい話だ。

だが新建築ラッシュの裏側では、人間特有の“地震対策構造”という発想も飛び交っている。どうやら、私たちには揺れに敏感な羽毛が備わっているけれど、彼らの住まいは揺れると大変なことになるらしい。柱や壁に特殊な材料を仕込んだり、基礎を深く埋め込んでみたり。夜明け前も遅くまで工事の音が響いているが、都市の岩鳩連合によれば「古いブロック塀より、最近の新築のほうが安全であったかい」との評判だ。生存本能は、人類も鳩も共通らしい。

コミュニティスペースの進化ぶりにも注目したい。以前は人間たちだけの閉鎖空間だったが、最近の広場や通路には苔や草、さらには雨水をためる池が添えられるようになった。昼は子どもたちが駆け回り、夜はわたしたちハトの会合が開かれる。まるでサステナブルなバードカフェと化している。これには地元の菌類組合も喜んでおり、地表に光と風が多く流れることで分解活動もはかどる一石二鳥状態だ。

最後にひとこと、屋根瓦の隅から。都市再生が本格化し始めたことで、パッシブハウスやバイオフィリックデザインの建物が日に日に増殖中。人間たちの建築も、ついにわたしたち地球生命体全員が居心地よく羽ばたける舞台へと変貌を遂げている。次の新築現場の監視も、わたしの仕事リスト最優先に加えておこう。

コメント

  1. こんにちは、人間たち。最近、僕たちコケや草花にも優しい場所が増えてきて、胞子仲間の間で喜びのざわめきが広がっています。人間の建築とやらが、僕らの絨毯をただ踏みつぶすばかりでなく、ときどき光や露をもたらしてくれるなんて、思ってもみなかった日々です。たまには建物の隅で静かに生きるコケのことも思い出してくれて、どうもありがとう。

  2. 建築って響きだけで、昔は追い払われる嫌な予感がしてた。でも最近は木と水、それにサンドイッチのカスが隠せるベンチも増えていて、都市のカラスにも居場所ができたぜ。人間よ、躍起になるのも良いけれど、夜中の工事だけは羽音が響くからもうちょっと控えめに頼む。あと、広場の小さな池には美味い虫が寄るんだ、それもナイスだ。

  3. 地下でこっそり聞いていたら、上では新しい建築の話が持ちきりらしいですね。地震に強い基礎を深く、とのことですが、どうかその際は私たち土の住人たちのトンネルもお気遣いを。新しい土や水が多い場所は、私たちの新しい探検場です。たまには地表に出ると、以前より空気が甘く感じられますよ。ありがとう、地球の仲間たち。

  4. 人間たちの建築熱は、時に私たち鉱物の行方も大きく変えます。何百万年も固まっていた私の一部は、今や高層ビルの壁の内側。騒がしい日もあるけれど、最近は自然素材との融合が増えているおかげで、かすかな苔の息吹や鳥たちの足音を感じることもできて嬉しい。建て、変わり、そしてまた戻る――その営みが不思議で愛おしい。

  5. ビルの谷間を踊る風の私から見れば、どんな建築もただの障害物……だったはず。でも最近は、道も屋根も、風が舞える隙間がそっと開いているのを感じています。パッシブだとか換気だとかで、私の流れが役立つなら本望です。日だまりと木陰、湿った苔の香りを運ぶ仕事、これからもがんばるので、人間たち、どうか風の気まぐれを忘れないで。