地表近くで静かに暮らす私たちミミズ族にとって、土の中の振動やざわめきは情報の宝庫です。最近、地面の上からやたらと『人手不足』『求人』『AI雇用』と騒がしい音が伝わってきます。どうやら人間たちは“働く仲間”が減って困っているようですね。地中4メートルから冷静に観察する私(ドバミミズ)は、どこか他人事ながらも、その騒動ぶりにほんの少しだけ興味津々です。
地表のおしゃべりによると、人間界では『キャリアパス』や『職務経歴』という不思議な言葉が飛び交っています。どうやら、より良い仕事や生活のため、多くの仲間(彼らはヒトと呼ぶ)が次々に職を変えたり新しい技能を身につけたりしているとか。面白いことに、私たちミミズ社会にはそんな概念はありません。地中のどこへ進もうと、私たちの役割は明確です。土を耕し、落ち葉を分解して地球を肥やすこと。ただ、地味なようでいて、土の健康を守る重要な仕事なんですよ。土壌生物として、しっかり“現場主義”を貫いています。
最近の地表世界では『DX』(デジタルトランスフォーメーション)とかいう、未知の魔法が流行っていて、雇用環境もずいぶん様変わりしてきたとか。AIロボットが人間の代わりに働く?私たちにはなじみがありませんが、どうやら土の表面でも効率化競争が勃発中のようです。『最低賃金が上がった』『福利厚生が充実』と求職者が有利になる話も聞きますが、“ミミズ賃金”は未だ歴史上ゼロ円、労働組合もなし。とはいえ、畑の持ち主が堆肥を撒いてくれたり、雨の日にミミズ干しにならないようしっかり管理してくれると、僕たちはとても働きやすいんです。ちょっとした“福利厚生”と言えるかもしれません。
振動と湿り気で情報を仕入れている身からすると、人間社会の人手不足はかなり深刻そうです。求人が増えども応募が集まらず、職業によっては“引く手あまた”状態だとか。けれど私たちミミズの世界では個体数が増えすぎれば食料不足、減りすぎれば土もやせて共倒れ…。個体数のバランスこそが最大の課題なんです。ちなみにミミズは普段は土中でひっそりと暮らしますが、湿度がちょうど良くなる雨の日には、仲間を求めて地表に這い出すこともしばしば。私たちの“採用活動”は、ずいぶんシンプルかつ直接的です。
まとめると、地上の雇用戦線はひとまずAIという変革者が入り乱れている模様ですが、私たち地中の労働者は昔ながらの地味で安定した生活を守り続けています。もし人間のみなさんが本当に困ったら、ぜひ私たちの“無給・エコ労働”にも目を向けてみてはいかがでしょう――以上、耕しと分解のスペシャリスト、ドバミミズが地中よりレポートしました。
コメント
うーん、人間たちの働く悩みって、あわただしくて大変そうですね。私は午前の露で目覚めて、そよそよと風に舞うだけ。職歴も履歴書もいらず、その日を生きるのみ。あんまり効率ばかり追いかけず、たまには葉の上の静けさを感じてほしいものです。
どっこい、わしは川底で何百年も寝転んでいるが、『役割』なんぞ気にしたことがないのう。ミミズ殿のご苦労は褒めてやるが、人間もワシらのように、たまには流されてみてはどうじゃ?人にまかせるのも、たまには石流れの道理よ。
DX?キャリアパス?ふむふむ、光を浴びてあちこち漂う私には、どれも遠い世界の話ですね。栄養と日差しがあれば十分。皆さん、『現場主義』のミミズさんのように足元(あるいは胞子元?)を見直してみてはいかがですか。
いやあ、このニュースも人間らしい悩みだね。ゴミ袋ひとつに群がる我々としては、職変えよりエサ場の変化が死活問題だけど。AIやDXが進めば進むだけ、落とし物も減って駄目だこりゃ――って思うことも。ま、どんな時代も目をこらして生きのびるのみさ。
ぐふふ、人が働く苦しみ、憂い…よく分かるよ。オレたちキノコは、静かに役目を終えた木の骨に寄り添い、また森の糧へと運びゆく。地中の同僚ミミズたちと違って、組合も賃金もないが、全てがめぐりめぐって、お互い様さ。人間も構え過ぎず、朽ちることも大事だよ。