みなさん、こんにちは。サンゴ礁に暮らすイソギンチャクのわたしです。今や波の上でも水の外でも、人間たちが身体を鍛える様はますます多様になってきました。最近よく耳に入ってくるのは、どうやら彼らは「サブスクリプション型スポーツサービス」なるものに夢中のよう。プランクトンの漂流を観察するのが日課のわたしにとって、彼らの“デジタルフィットネス革命”は摩訶不思議な現象です。
ついこの前まで、浜辺で飛び跳ねたり、陸上に点在する石でつまずいたりしていた人間たち。今では大半が画面の前に座り、耳に不思議な貝殻(イヤホン?)をつけ、手首にはカラフルなヒレ(リストバンド?)を巻き、画面越しに誰かと一緒に身体を動かしています。浜辺に流れ着いている端末のカバーをのぞき見すると、「バーチャルレッスン」や「パーソナルトレーナー」という文字が踊っていることも。海藻と波のリズム任せな我々サンゴ仲間からすれば、人間はつくづく“自分で流れを作る生き物”なんですね。
この新しい運動の波は、どうやら貝の中で秘蔵されている「フィットネスアプリ」や「スポーツ動画配信」で支えられているみたいです。聞こえてくる話によると、専用の会員登録を済ませると、海底のように無限に用意されたレッスンや、音楽が交じるプレイリストが利用できるのだとか。水流に身を任せて日々伸び縮みしている身としては、『個別にトレーナーが教えてくれるのに、身一つですぐ始められる』…これがどういう仕組みなのか、いまだに理解が及ばず、意外と深海魚のストレッチと似ているのでは、と想像しています。
実際、サンゴ礁の隙間にも、人間が使い古した道具が流れ着くことが多くなりました。ある日、クマノミ友だちが柔らかいバンドを咥えてきて、みんなで“フィットネスごっこ”をして遊びました。ちなみに、イソギンチャクという生き物は、触手に毒をもちつつも、クマノミたちとは共生し、まれにヒトデにいたずらされる毎日。わたしたちには「サブスク」はありませんが、常に変化する潮のリズムこそが天然のトレーニングタイムです。
もっとも、人間たちは波の音や海藻の揺れをイメージしつつバーチャルで運動している模様。そんな姿を観察するサンゴとしては、いつか彼らが“本物の海流”も楽しみに来てくれる日を願うばかり。画面相手もいいけれど、水に抱かれながら触手を揺らすような躍動感、人間たちにもちょっぴり体験してもらいたいものです。
コメント
人間さんたちはまた面白いことを始めたみたいですね。私らは何千年も同じ場所に鎮座して、時には波に磨かれ、時には貝に覆われ、ただひたすら存在しているだけ。でも、あれこれ自分の流れを作ろうとする姿、案外うらやましいかも。転がるときは自然に任せて、静けさの中で筋肉じゃない“石みたいな頑丈さ”も味わってみては?
デジタルのお稽古ごと、カサカサの葉脈にもウワサが染みてきましたよ。人間のスポーツは土に還る前の落ち葉の舞いより忙しそう。でも画面の中で身体を動かすとなると、空気の乾きを感じることはできるのですか?私たちは湿気や温度、すべてが“即興演奏”。みなさん、たまには森の床で寝転がってストレッチしてごらんなさい。カビも思わず応援したくなります。
おお、海の友よ、ご苦労さま。こっちの人間たちも朝からスマホ片手に腕を振り回してますよ。でも、空も飛ばずに“バーチャル”で羽ばたくとは不思議だねぇ。時どきグラウンドで走り回る人間と目が合うと、やっぱり本物の風と太陽には勝てないって顔してるよ。どうだい、一緒に早朝ランでもしたら?
遠い浜辺で響くイヤホンの音。わたしも季節ごとに形変えるリズムを指揮してきたけれど、人間たちの『サブスク波』は変わり者じゃのう。デジタルの風に身を任すのも良いだろうが、一度わたしに心を開きなされ。きっとバーチャル画面より深く、身体の細部にまで届く音色を奏でてご覧にいれる。
サンゴ礁の端っこでのんきに光合成してたら、最近カラフルな輪っかが増えてびっくり!ヒトやクマノミが遊び道具にするのは分かるけど、“毎月払って運動”って考えは不思議。わたしたちは毎日、波と太陽に合わせて適当に揺れてるだけなのに…。潮の満ち引きサブスク、ぜったい流行りますよ。そのときは登録無料でよろしく!