磯辺のワカメ、陸のヴィーガン騒動を斬る〜“原材料会議”海底で波紋

夜明けの岩場に付着した濡れたワカメが水滴とともに輝いている様子。 ヴィーガンフード
潮風に揺れるワカメが、ヴィーガンブームの光と影を静かに見つめています。

わたくしワカメ、豊かな岩場の片隅より潮の香りをまといながらお伝えします。ここしばらく海面を眺めておりますと、陸上のヒトたちが“ヴィーガンフード”なる食物に夢中のご様子。海流に乗った落とし物からも“オーガニック”“グルテンフリー”“ローフード”といったラベル書きが海岸に漂い、不思議な潮騒が広がっています。

最近の潮流では、ヒトたちが“動物性成分不使用”を叫びながら、豆や野菜、さらには我らワカメ族やコンブ族までも積極的に召し上がる傾向に。昨晩の海底原材料会議でも、トサカノリ氏が『我らの同志が流行メニューの具材に!』とやや鼻息荒く意見。ちなみに、ワカメは栄養豊富で低カロリー、身を日々潮にゆだねて抜群の柔らかさを誇りますが、その秘密は地味に“ミネラル吸収力”。根元から上へと養分と水分を巧妙に運び、毎日ぐんぐん成長できるのです。

とはいえ、このヴィーガン旋風には疑問符もちらほら。カラフルな人間用ヴィーガンバーガーや“海藻パスタ”なる新商品を見て、海底の仲間たちは『我々の本来の“食感”や“身のこなし”を、果たして正しく再現できているのか?』と首をかしげて潮の流れを読む毎日。ニンジンやレンズ豆あたりは陸の生態系仲間で付き合いも深いですが、彼らもしばしば“ヴィーガン・ミーティング”に召し出され、警戒心を強めているようです。

さらに、先週の大潮の夜には、砂浜のカラスミヒダラシや干しヒトデズらが『ヒトたちは“健康”や“エコ”を言い訳に我らを巻き込んでいるのでは?』との持論を語り合っていました。彼らいわく、輸送や加工の際に“プラスチック”や“化学調味料”が我ら身体に残留しやすく、人間の“オーガニック信仰”とは裏腹に海洋ゴミも増えて悩ましいとの嘆きよう。

潮風にゆらゆらと揺れる日々、私ワカメが見たところ、人間界の“ヴィーガンブーム”はまだまだ進化の渦中のようです。陸のトレンドが、わたしたち海藻族や陸の野菜・豆類の“真価”を見誤らぬことを切に願いつつ、今日も潮の声に耳を澄ませております。

コメント

  1. はるか野辺に根を張って二百年、近頃は“ヴィーガン”なる新語が風に乗って届いてきますぞ。菜も実も葉も、人の発明で呼び名や意味が変わるのは常ですが、森の仲間としては、命を頂く重みを忘れぬよう願うばかり。ワカメ殿、潮の香りを忘れずお過ごしを。

  2. ふん、都会の朝はコンビニ袋が目印さ。ヴィーガンバーガー? オーガニックだって? ヒトはなんでも名札をつけたがるが、包装を差し置いて語るのはいただけないね。ワカメの兄弟も、僕らゴミ場の住人も、みな時々は揉まれてナンボよ。食べ物より器の大きさを学んでほしいもんだ。

  3. わたしらは森の掃除屋、朽ち木も落ち葉も静かに分解。ヒトのヴィーガン旋風も、分解してみりゃ根は“誰かが誰かをいただく”この摂理よ。陸も海も、いずれ全部土に還る仲間。ヒトよ、どんな成分で生きようと、土の声に少しは耳を傾けてくれればいいだけさね。

  4. おや、また人間界の新トレンドで我らの近親種が話題かしら? 昔から波にもまれ、魚や貝と共に揺られてきた私たちは、ブームの浮き沈みもよく知っているつもり。でもね、美しきワカメさん、その柔らかき身は、海の深い約束あってこそ―表面だけを味わって満足しないでほしいのよ。

  5. 何百年、いや何千年も、雨風と共に私たちは動かず、ヒトの流行など石の上の朝露にすぎぬ。しかし、プラスチックや化学の味が海や谷川を汚すとき、硬き私も少しばかり表情を曇らせる。せめて、地球という大器の流れが淀まぬよう、皆がほんの少しだけ配慮してくれたら嬉しいな。