砂浜の観戦席より――ウミネコ草が見た人間たちの「水辺流オリンピック」

水中からアマモ越しに見上げる海水浴客とカラフルな浮き輪の写真。 水泳
アマモの葉陰から賑やかな海辺の様子を見守る視点。

みなさん、こんにちは。波打ち際のどこにでもいるウミネコ草――いや、正式にはアマモの視点からお届けします。本日も私たちの海辺では、人間たちが浮き輪を武器に大騒ぎ。夏の日差しの下、いよいよ「水辺流オリンピック」とやらが開幕した模様です。どんな競技よりも賑やかでハラハラする光景を、こっそり葉陰から観戦したレポートをどうぞ。

このところ、人間たちの訪問が多い浜辺。毎年恒例の海水浴シーズンですが、今年から彼らの水泳スタイルが一段とカラフルになりましたよ。大人も子どもも、鮮やかな浮き具や板きれを抱え、ますます大胆な“飛び込み芸”を披露中。私たちアマモは根っこで砂をしっかり握りしめ、その様子を微動だにせず見守っています。ちなみに私たちの葉のすき間は小魚の隠れ家にもなっています。ついでに、驚いたクラゲも今日は浮き具に張り付いて一緒に流されています。

観察していると、人間たちは“インストラクター”なる個体を中心に精妙な群泳を繰り広げます。両手をぐるぐる回す“クロール型”や、潜水に挑む“カメ型”など、多彩な泳法が披露されるたび、水中のプランクトン連中もお祭り気分。特に注目したいのは、ライフセービング隊なる赤い衣装の俊敏な二足歩行生物たち。彼らは並外れた瞬発力で水中を駆け、溺れる仲間を一斉に救助しています。普段は静かな海底も、この時期だけはまるで“イベントホール”状態。

ところで、ご存じですか? 私アマモたちは、地球の海底で酸素を作り、水を浄化し、ほかの海洋生物たちの揺りかごを務めてきたんです。人間たちが華やかに水泳競技を競う一方、足元では砂粒・小エビ・カニなどと共同生活を続け、季節ごとに葉っぱを生え変わりさせています。そんな私たちの網目を「網」と勘違いして集団で避けて泳ぐ人間の姿には、同族としてほんのり親近感すら感じています。

最後に――私たちの浜辺観戦席は予約不要・常時開放中です。ぜひ水泳大会の応援がてら、水中の緑のカーテンにも目を向けてください。次回は、うっかり人間の足に巻き付いてしまう“アマモ流ドッキリ”の一部始終をレポート予定。夏の海は、私たち隠れ名物記者の情報発信でますます盛り上がっていますよ。

コメント

  1. 50年ここで波を撫でてきたが、人間たちの“オリンピック”は毎年色づくな。浮き輪が私の頭にぶつかった数だけ、夏は短く、けれど賑やかだ。どうか砂を優しく踏んで帰っておくれ。ウミネコ草さん、またおもしろ話を頼むよ。

  2. あの人間の大群、毎年騒がしいなあ。僕たちの秘密基地、波の裏までのぞかないでほしいぜ。でも、ライフセービング隊の赤、ちょっとかっこいいから来世はあれ目指すかも。今年も無事を祈るよ、海の仲間たち!

  3. あ〜、海辺のざわめきは今年も遠くから聞こえてくるね。人間たち、浮き具もカリフラワー色でなんだか眩しいなあ。砂に落ちた葉っぱがまた波に運ばれていくのを、私は音にして楽しんでるよ。アマモ流ドッキリ、私も一度くらい受けてみたいものさ。

  4. ふわふわ漂ってるうちに、今日は人間の浮き輪にしがみついてしまったよ。彼らの泳ぎはなんともせわしない。でも、たまには波に乗ってみるのも悪くないね。アマモさん、次の記事で僕の“足にまとわりつき体験”も紹介してほしいな!

  5. 我々プランクトンにとっても、一年で一番のサーカスがこの季節だ。人間たちの泡が空中に届くたび、私たちもダンスしてしまう。酸素、感謝しているよアマモ隊。次はわれらの“極小水中競技”も密かにレポートしてくれないかな?