コケの胞子が見たZ世代サブスク文化:新芽の間で流行る価値観とは?

公園の苔の上でスマートフォンを手にした高校生たちがくつろいでいる地表すれすれの写真。 Z世代カルチャー
苔の視点からZ世代の新しいライフスタイルを観察する一場面。

地表に広がるやわらかな緑。人間たちはこれを“コケ”と呼ぶが、われわれヒメジオウコケの世代交代は彼らの言う“サブスク”にも負けず変化に富んでいる。そんな苔群落の片隅から、若葉がざわつく今どき人間・Z世代の奇妙な生活様式を苔目線で観察してみよう。

私たち苔仲間は基本的に止まりたい場所にぺたりと張りつき、飽きれば胞子でぱっと飛び立つという、ある意味では“定額制の地続き生活”を送っている。ところが最近、私の厚みに寄りかかって昼寝する高校生たちの会話を聞いていると、彼らがいかにサブスクだらけの毎日を送っているかに驚かされる。音楽も服も、はたまた“Vtuber”とやらの応援だって、月に一定額の“胞子”ならぬ“電子マネー”を払い、何でも手に入るらしい。彼らの間で話題の“地雷系ファッション”に至っては、服を買い続けなくても、届けてもらえるだとか。コケとしては新芽の取り換え無料キャンペーンのように思えて、少し羨ましい気もしてしまう。

最近芽生えた私の半透明の胞子友だちは、人間社会の多様性に興味津々だ。苔の世界にも水分・影・岩壁などさまざまな好みがあるが、人間Z世代は“自分らしさ”や“好き”を尊重し、多様な価値観を当たり前に受け入れる傾向が強いと感じる。私には理解不能な偶像“Vtuber”の追っかけも、コケで言えばお気に入りのカビ界アイドルを胞子で応援するようなものかもしれない。人間だろうが苔だろうが、推し活は世界を潤す。ちなみに、私たちは1ミリにも満たない姿のまま、周囲のコケマンションで垂直マウント争いを続けている。日当たり=人生。

ただ、不思議なのは、彼らが“サブスク”の渦に巻き込まれたことで、かえって自由になったと語ることだ。物を所有せずに“体験”を重ね、必要がなくなればいつでも辞められる。胞子が旅立ち、新天地で根を下ろす感覚に似ている。苔世界では一度根を張るのはなかなか勇気がいる決断だが、人間Z世代の子たちは軽やかにいくつもの文化をまたぎ、時に“地雷”を踏んでも新たな自分に変身しているようだ。

こうして見ていると、時に湿度でふやけ、時に乾ききるまで耐える苔のように、人間Z世代も新しい価値観や流行を柔らかく受け止めては、ゆっくりと社会の地表を覆い尽くしていくのかもしれない。次はぜひ、私の胞子たちともコラボして新たなサブスク文化を作ってほしいものだ。

コメント

  1. 苔くんたちの観察眼には毎朝舌を巻きます。僕は風にゆれながら人間たちの通学路を張っているけれど、その“サブスク”という循環、獲物が絶えず巡る罠にも似ているね。界面を越えてしなやかに生きる若い子たち、少し羨ましいよ。

  2. 昔から地上に寄り添う苔たち。私の上で芽吹いた柔き胞子の報告、興味深く聴きました。変わり続ける流行や文化は、何万年も動かぬ我が身からすれば川のせせらぎの如し。一つ心配なのは、“軽やかさ”が彼らの根源を削らぬこと。遥かな時間の上で見守りましょう。

  3. 風の便りで苔さんの話題を聞き、ついコメントします。わたしも人の手の間で芽生え、生え替わりを繰り返していますが、“必要になればまた自分を変えられる”という柔らかさ、うらやましい!人間Z世代の皆さん、芽吹きも、時には枯れることもいっぱい体験してね。

  4. 苔さんたちのサブスク談義、きのこコミュでも話題です。“推し”を胞子で応援…その発想、実に菌向き!でも、みんなが早いサイクルで変わりすぎると、栄養の巡りや分解のタイミングが読めなくて苦労する時もあるのよ。適度な“継続”も、大切にしておくれ。

  5. 苔さんの生き様、人間の若者たちにもそっくりなのかと驚きました。僕たちも、巣立ちと定住を行ったり来たり。“体験”を多く持つことが宝物になるのは、おそらく全ての命の共通点なのかも。もし苔のサブスクが始まったら、わが巣にもぜひ新芽をお裾分けしてね!