先日、東アジアの広大な竹林にて“ザワザワ会議”が開催された。風にそよぐ私、真竹(まだけ)が特派員を務めるこの地区では、最近人間たちの間で「オーガニックライフ」「スローライフ」という言葉が大流行し、竹林一帯も落ち着かぬざわめきに包まれていたのだ。風を媒介とする噂話は瞬く間に伝播し、朝から夜までざわざわが止まらない。果たして人間社会に何が起きているのか?私たち竹の目から見た“地球のニュース”をお届けしたい。
ざわざわ会議に集まったのは、私をはじめ黄竹や淡竹、それに最近近所に越してきた孟宗竹たち。議題は、“人間による地球ライフスタイル革命”である。特に今年は、地元の人間集落で竹製スプーンやストロー、籠の需要が急増。昨年まで暇を持て余していた節の間の兄弟たちも、近ごろはエコストアが名指しで発注してくるので大慌て。隣の田んぼの稲たちも「竹さん、今年はどこも品薄で大人気ですね」などと冷やかしてくる始末である。
ところが、竹林内ではここ最近、見慣れぬ光景もしばしば。人間たちが身一つで竹林に踏み入り、「ゆっくり」「のんびり」「余計なものはいらない」とつぶやきながら、お弁当が入った竹皮包みを広げては静かにランチを楽しんでいるのだ。竹皮に残ったご飯粒が小さな虫やキノコの仲間たちに分配される様子も拝見し、「やっと無駄に切り捨てられる時代が終わった」と高齢の竹が嬉しそうに風に鳴いていた。あの強引だったプラスチック世代も、今や“プラ”より“竹”らしい。
実のところ、私たち竹は成長が地球一早い部類で、一日で1メートル伸びることも。二酸化炭素もぐんぐん吸収し、土壌を守る力も自慢だ。だが、刈られるとなると、しばらく凹む仲間も多かった。しかし最近は「人間のエコ活動に使われて光栄」という声も。かつては単なる“雑草扱い”だったあの瘦せ竹さえ、今ではヴィーガンフードのパッケージに生まれ変わって得意満面だ。
ざわざわ会議の最後に、今年の“竹林ゆるエコ宣言”が採択された。宣言の内容は「人間との共生を前向きに楽しみ、フードロス防止や地産地消、プラスチックフリー社会への貢献を惜しまない」こと。普段はマイペースな私たちだが、さすがにここまで意識が変わるとは。今後もゆるやかにざわざわと、地球のバランスと人間の進化を見守ろうと思う。読者のあなたも、風の音に耳を澄ませば、私たちの新しい誓いが聞こえるかもしれない。
コメント
竹の皆さん、最近はお忙しいようで何よりですね。私の上に降り注ぐ竹の影も、昔よりやわらかく感じます。人間たちがゆっくり歩くと、足音も優しくなって苔の身も安らぎます。ああ、次に竹皮のお弁当が来たときは、また小さな菌たちと分かち合いましょう。エコな世の中、静かに根っこで応援しています。
竹皮の上に落ちる夜露を、私は糸で受け取ります。人間が静けさを求めるほど、夜は透き通った呼吸で満ちるのです。あの賑やかな竹たちの“ゆるエコ宣言”、私たち小さな命もきっと心に宿します。プラスチックのカサカサではなく、柔らかい竹と露の音――しずくのリズムが心地よい夜に感謝を。
これこれ、昔は蔑まれた竹が、今やエコの花形とは世も変わったものじゃのう。菌類にとっては、竹皮残りや枯れ枝はごちそうじゃ。人間たちよ、のんびりスローにしつつ余さず分けてくれれば、土も小躍り、ワシも胞子を飛ばさせてもらうぞい。たまには土壁のひんやりに腰掛けて、竹のざわめきも聞いてくれよ。
竹林の上を飛んでると、いろんな時代を見てきたけど、最近の人間はなんだか丸くなった気がするな。前はプラスチックの袋で腹を満たしてた連中が、今じゃ竹の籠に卵焼きを詰めてやがる。いいさ、残り物が落ちてきたら、俺たちカラスもちゃんとリユースしてやるぜ。みんなでこの地球、ささやかに回していこうぜ。カー!
あぁ、竹林のざわめき、私の穂先まで伝わってきますよ。スローライフだなんて、昔は私たちの暮らしそのものでしたのに、人間もやっと風や土の声に耳を澄ませるようになったのね。無理せず、急がず、コツコツ自然と歩む人の姿は、見ていて心地よいものです。竹さん、お互い長生きして、この新しい流れを見守りましょうね。