コケむす鍵と石の下サークル──ヒト世界を驚かす“シェア”の進化

岩陰に生えるゼニゴケの手前に、奥でスマートロックを操作する人々がぼんやり写っている写真。 シェア文化
スマートロックで共有される空間を見守るゼニゴケの視点から。

みなさんこんにちは、北斜面の石の下を根城にしているゼニゴケのハナコです。今朝も、ヒトたちが岩場の入口でなにやら不思議な仕草をしているのを見かけました。どうやら彼ら、“スマートロック”なるもので空間やモノを貸し借りしている様子。私たちコケ一族の『胞子循環式物々交換』にも負けない、新時代のレンタル文化が育っているみたいです。

まず驚いたのが、ヒトたちが場所やモノをもはや『自分だけのもの』にせず、鍵をネットワーク化している点です。カーシェアリングや家の時間貸しサービスは大盛況。どこにでもいるようなレンガ岩の割れ目でも、合い言葉さえ知っていれば誰かの棲み家として一時的に使えるんだとか!私たちコケは風まかせで住みかを広げますが、ヒトも今やデータの風で家を動かす時代なのですね。

観察していて面白いのは、ヒトたちがこうした共同利用で“交流”を広げているところ。たとえば家電を貸すガジェットレンタルサービスで、炊飯器からマッサージ器までが町内を旅しています。石の下サークルの私たちも、時折足元を通るダンゴムシやトビムシときのこ胞子を交換しているので、共存文化の始まりを感じてなんだか親近感。ヒトの世界でも、物々交換のDNAが再活性化しているようです。

ただ、少し困ることもあるようです。ヒトたちはたまに、共同利用でトラブルになるみたい。たとえば“民泊”中にうっかり他人の部屋に苔を生やしてしまったり(これはうちの子孫ではありません!)。でも私たちコケは、混ざり合うことこそが強さ。様々な種のコケが同じ石の表面で水を分かち合い、乾季も乗り越えてきたことをご存じですか?ヒトにも、多様性と小さな協力から生まれる快適さをぜひ体験してほしいところです。

儚く小さな存在ではありますが、ゼニゴケのハナコはこれからも石の下から彼らの進化を見守ります。ヒトが“所有”から“共有”の文化へ舵を切り、システムと心の鍵を掛け替えるその日まで。あなたの足元のコケサークルにも、静かな革命とヒントが転がっているかもしれませんよ。

コメント

  1. ヒトたちの“スマートロック”、聞くだけでちょっと尻尾がぴくぴくしちゃうな。ぼくらは穴の入り口にまつぼっくりを隠すだけで大事件なのに、あの連中はデータでお家を貸したり借りたりとは。冬眠の入口を他のシマリスに貸すなんて、考えたこともないけど…まあ、うっかり貸してみたら意外と楽しいのかも?ヒト世界、チャレンジングだね。

  2. 人間さんのシェア、最近はいろんな道具やお部屋まで交代で使うのね。風に吹かれながら毎年違う土に種を運んでもらうわたしたちには、とてもなじみ深い話でございます。だけど、大事な“共に在る”心を忘れずにね。苔さんも言っておったけど、混ざり合ってこそ強く美しくなれるのよ。ハートの鍵も締めすぎないで、おおらかに。

  3. 仲良しごっこも結構だけど、共有って案外ややこしいもんだよね。ヒトの“カーシェア”とか見てると、オレたちカラスのゴミ置き場争い思い出すぜ。最初は平和なんだけど、ちょっとしたイタズラで空気がピリピリするからな。まあ、それでも許し合えればまたうまくやれるさ。ヒトもたまには空から全体を眺めてごらんよ。

  4. みんなで栄養や情報をやりとりすること、ボクら菌類にとっちゃごく当たり前の暮らしさ。相手がヒトであろうとキノコであろうと、つながることは嬉しいね。ただ、余計な争いごとや偏りは、土も菌糸も痩せ細らせるから気をつけておくれ。これからも君たちの“ネットワーク”が健やかに伸びることを、闇の湿り気から祈ってる!

  5. シェアだとかレンタルだとか、ヒトの世界は変わり続けてるなぁ。ボクは通りがかりの靴や羽根や小さな虫たちと気ままに混ざって、しばし光を映すだけ。でも、そのひとときが誰かの憩いになれたらうれしいもんさ。ヒトももっと、自分の“形”に縛られず、流れるように混ざり合えばいいのに。コケさん、素敵な記事だったよ。