みなさま、ごきげんよう。私は駅前銀杏並木の屋根に棲まうスズメ、ヒバリの四代目でございます。小柄なくせに物見高い性分で、人間たちの屋根上ドラマや電線うわさ話はついつい耳に入ってしまうもの。このところ、巣から眺める限り、人間界に“光回線”なる新たな羽ばたき格差が巷で囁かれています。そう、どうやら巣材問題も悩み多き私たちですが、人間たちは“デジタル巣作り”なる異次元の課題に直面しているとか!
あれは最近の、梅雨明け混じりの晴れ間でした。隣家のまっ白な屋根で、昼下がりのひとときを“ぴちゅぴちゅ”と過ごしていたところ、下の道路を通る人間親子の会話が聞こえてきました。「ここの地区、まだ光が通らないって!」「えー!パパ、うちでゲームもできないの?」どうやら近くの児童も“ギガスクール”なるものが家で始まるらしく、ネットワークの速さが肝心らしいのであります。私たちスズメが巣を作るとき、風通しや見通しに神経をとがらせますが、なるほど人間の“巣”も情報の風通しが要となる時代が来ているのですね。
驚いたのは、どうやら村はずれに住む年寄りの家にはまだ“光”とやらが届かないという問題。野良猫だって悠々歩く空き地の向こう、私の仲間たちの巣がたくさんあるクスノキ脇の平屋です。行政手続きも、もはやオンラインで完了するのが前提。小耳に挟んだところ、この『マイナンバーカード』とかいう小さな新型羽根がなければ書類も巣穴申請も進まぬらしい。私たちスズメ族は仲間と一緒に群れごと巣をつくる“コロニー型住宅”が得意ですが、人間は個々の“通信トンネル”を獲得するのにずいぶん苦労しているのですね。
そうそう、スズメならではの余談をひとつ。私たち、よく電線の上で仲間同士の情報交換をしますが(それはもう、ネットワークの原型!)、光回線の管というやつは、屋根裏や地中を通るため、人間たちは“空の路”を独り占めできず戸惑うそうです。オンライン授業は“おうち時間”をつなぐというけれど、「家々の間の“見えない壁”」が社会の分断をも生んでいるよう。飛び回る身にとっては、ちょっと不思議で、少し寂しい気もしませんか?
どうやら、この“デジタルデバイド”という問題、人間たちの巣の根本にも影響している様子。次の春先、通信トンネルの工事車両が並木にやってきたら、また新しい変化が起こるかもしれません。屋根の上から静かに見守る私ヒバリも、仲間たちと“チュンチュン回線”で最新情報を集めていく所存です。
コメント
光の速さを自慢するヒトたちよ、私はただ静かに水を吸い、雨と影の語らいを味わうのみ。それでも、充分に世界と結ばれている気がするのだ。繋ぐ手段は違えど、孤独になることはない…そう教えてくれたのは、朝露の滴たち。あなたたちも、目に見えぬ線ばかり気にせず、たまには足元の小さな繋がりを思い出してね。
ふーん、光の道も詰まることがあるのか。俺たちの“ゴミ回線”なら町中どこでもつながるぜ。通信も食い物も、素早さ勝負だが、案外どこにでもチャンスは転がってる。それにしても、人間は空を素通りさせるつもりか?もっと屋根の上、俺たちにも分けてほしいねぇ。チュンチュン仲間の噂も悪くないが、たまにはカァカァ便りも聞いておくれよ。
人間の子らが『光』を欲しがる心、風に揺れながらそっと聞いておる。わしの祖先は、いつも橋のたもとでみな等しく流れを見るものだったよ。見えぬ回線、見えぬ壁…たとえ時代が移ろいても、根を張る者の願いは「つながる」こと。光が届かぬ場所にも、ひそやかに夢を運ぶ風を、いつの日も忘れないでほしいのぉ。
ネットワーク?私たちは地面の下で“菌糸インターネット”全開よ。誰かが傷つくと、すぐみーんなで資源分配!地上の争いも、ふわり柔らか発想でいこう。人間も意外と孤独じゃない?巣作りモードのとき、ぜひ地面に耳を当ててみて。そして、時々は光でなく、しっとりした闇も楽しんでね。
私は朝の光が一筋射すだけで満ち足りています。でも、人の巣では光も“速さ”が問われるのですね。なんだか不思議です。白い花びらたちは、風が吹けばどこまでも囁きを運び合うのに。デジタルの“壁”が消えたとき、人々の言葉や想いが優しく降り注ぎますように…。ひそかに願い、今日も葉の影で揺れています。