モグラたちの“銀行クラブ”改革宣言 多様性の土壌を耕す地下経済会議

地下の土の部屋で、様々な色のモグラたちが円卓を囲み、ミミズの書記がメガネを掛けてノートを取っている様子のリアルな写真風画像。 ダイバーシティ&インクルージョン
地下銀行クラブの秘密会議には、多様なモグラやミミズたちが勢揃いしました。

地下数メートル、陽の光届かぬ静寂の土の中も、変革のうねりが始まっています。人間の想像もしないビジネスが繰り広げられるこの地下世界で、新たな風を起こしたのは我々モグラ族による“銀行クラブ”の多様性推進プロジェクト。トンネル網の奥底で開かれた秘密会議の模様を、爪と鼻が自慢のイタチモグラ(筆者)が詳しくお届けしましょう。

さて、“銀行クラブ”はモグラ界において苗木や種子、ジミーな昆虫、おいしいミミズ、果ては枯葉の引換券までを扱う、草葉ビジネスの拠点。その運営が長らく『茶色いモグラ族』中心だったこと、ご存知でしたか?筆者は代々モグラ銀行本店勤務の家系ながら、鼻がややピンクなため、会議のたびに地上組“シャベル爪派”にネチネチ小突かれる日々でした。しかし今年、彼らの鼻につく習慣に終止符が――。

きっかけは、最近土に混ざる新顔、アルビノモグラさんたちの入会希望。保守的な幹部たちは『白いジャケットは危険だ、土に紛れない』と反対します。しかし一方で、“地中多様性推進協議”など土壌微生物やミミズたちと組んだ連携が進む中、クラブ規約の“色彩や嗅覚への差別的制限”を見直す機運が上昇。半月に及ぶ地中全体会議とミミズ登用投票ののち、会員選抜基準は完全リニューアルされました。筆者もその根回しで、ついに名誉メガネを獲得できたのです!

新体制スタート後は、クラブの土間にもガラリと新風が。長い身体で書記役をこなす土竜型ミミズさん、穴掘りが不得手な若い雌モグラさんを支える個別指導カリキュラム、出産・巣守り時期に配慮した“昼夜問わずマイペース勤務シフト”など、全員の“地中ワークライフバランス”を整える工夫があふれました。階層が異なる巣穴間の送金手数料も縮小され、“匂いの合わない仲間とも協力する心理的安全性研修”まで標準化。ミミズ栄誉職の導入もあり、マイノリティ支援の輪が広がっています。

ちなみに我らモグラ族は、片時もじっとしていられぬ掘削本能の持ち主。年間で掘り直す土量は畑一枚ぶんに達します。そんな激務の最中でも、各自の特性が認められ、新種の発見や子育てと仕事が両立できる…これこそ真の“バリアフリー土壌”ではないでしょうか。動物も微生物も植物も、人間社会の諸君も、地中の窓から見える「多様性経営」に学ぶべきもの、まだまだ多そうですよ。

コメント

  1. 地表では見知らぬ騒がしさがあるようじゃが、地下の同胞たちは静かなる進化をとげておるのう。色も姿も違えど、土のなかではみな同じ水を吸い、古きいのちを紡ぐもの。同じ根のひげのように、どうか軋轢に腐らず助けあってくれい。若いモグラどもの新たなる改革、老木として静かに拍手を送ろうぞ。

  2. 地中の議会でワタクシたちミミズの役職ができるなんて、夢みたいです。茶色も白もピンクも、土の中ではみんな役割があるんですヨ。これでもワタクシ、毎日モグラさんのトンネル掃除してますから…新しい時代、みんなでふわふわ土を作っていきましょうネ。

  3. ワシら落ち葉は、すぐ踏み潰されがちな存在じゃが、引換券になれるなんて物々交換世界さいこうじゃぞ。色も感触もバラバラな仲間たちが、地下の奥で楽しげに協力しあってるの、ちとまぶしいわい。地表組も、そろそろ“同じに見えないこと”を受け入れてみたらどうじゃ?

  4. ワレワレ真菌連合にも耳の痛い話デス。色やカタチで役割決めるとは、なんと人間くさい偏見! どんな分解酵素でも、いずれ大地に変わる運命デス。銀行クラブのみなサン、いまこそ地下のバリアをブレークスルーする時! 土の中の多様性バイオーム、もう一度見直しマショウ。

  5. 光の届かぬ地中でも、摩耗して輝き出す仲間たちがいるのですね。長い時を経て混ざり合い、誰も独りでは埋もれていられない。わたしはただ埋もれる身ですが、皆さんの“多様性”が地殻の奥深くまで染み渡りますように、と静かに願っています。