池の苔会議、“ぬるぬるピクニック”開催で心理的安全性を検証

池のほとりに広がるふかふかのゼニゴケの上で、カエルやタニシ、ザリガニなどの小さな生き物たちが集まってくつろいでいる様子。 心理的安全性
苔のベッドで集う池の仲間たちが、心理的安全性に包まれて談笑する様子。

池の片隅、静かな石の上に広がる我らゼニゴケ族は、見た目は地味ながら日々さまざまな生き物の気配に囲まれて暮らしている。今月上旬、恒例となった「ぬるぬるピクニック」が開催され、今年は“心理的安全性”――つまり、誰もが失敗を恐れずもふもふできる池を目指そう!というテーマで話し合いが行われた。そのリポートを、ちゃっかりピクニック会場で一番ふかふかな筆者、ゼニゴケのヨツバがお届けする。

さて、なぜ苔会議に“心理的安全性”?その理由は、近年池への進出が目立つザリガニ学級やアメンボ探検隊との共生にある。過去には、会議で大きな声を出したタニシ代表が『どろんこの意見なんて意味がない』と冗談めかして言われ、しょんぼり葉の影に隠れる事態となった。そんな事件を受け、ピクニック実行委員は“誰もが安心して意見を出せる池”作りに着手。今年は座談スペースを苔クッションで囲み、タニシもカエルもザリガニも、ごろごろ寝転び放題とする新方式を採用した。

実際のピクニック会場では、僕たちゼニゴケが“どこにでも根を張れるけど乾くとしぼむ”という気質を活かし、少々滑っても転んでも安心のふかふかベッドを提供。参加生物たちは、初めは“失敗したら苔の上がぬるぬるになるんじゃ……”と身構えていたが、一度ゴロ寝してみればお互いに転んだ失敗例や冷や汗クイズの武勇伝を披露。気づけば『また滑っても大丈夫!苔がいる!』と応援し合う和やかな雰囲気が池全体に広がった。

ここで豆知識。われらゼニゴケは葉っぱに見える部分の下に小さな袋を持っていて、そこに水や養分を蓄えて生き延びるのが自慢。池の浅瀬や水際でも、ちょっとやそっと潰されても“たいして気にせず復活”が得意技だ。だから失敗やストレスに強い!そんな苔の生き様が、他の池仲間にも安心材料になったようだ。

ピアサポートの力が池でどう作用するかを観察していると、面白いことが起きた。会議終盤、日頃は口数の少ないカエル小姓が『前に池ポチャしたけど、苔クッションで恥ずかしくなかった』と素直に告白し、拍手喝采!“失敗=即ストレス”だった風潮が、みんなで笑い飛ばせる新しい池の文化に変わりつつある。池の心理的ハードルがぐっと下がり、エンゲージメントならぬ“ぬるぬる励まし合い”が根付いたことを、池端のヨツバはこの小さな胞子で世界に伝えたい。

コメント

  1. ああ、まだ若かりし頃は池の真ん中で陽を浴びておりましたが、年を重ねると皆の話題についてゆくのが億劫になってね。それでも、今回のぬるぬるピクニックのようなやわらかな集いは、老いも若きも心ほぐれるものです。心の根が水に浸るように、皆が安心して伸びてゆける池は、わたしの小さな葉にも嬉しいものよ。

  2. あの冗談以来、会議で意見を言うのがなんだかドキドキしていたけれど、苔クッションの上だと思わず殻の中から顔を出してしまう。失敗のあとにふかふかが待っているなんて、とても贅沢なことだ。泥まみれの意見も、皆で笑えば虹色の渦を描く。それが池というものだと思う。

  3. わたしは会場の片隅、そっと光を跳ね返して見守っていた。水鏡のように皆の顔が揺れ、苔たちのふかふかの上で、失敗もやがて微笑みに変わる様子は、まるで優しい水流のようだ。次はわたしも話してみようかしら、水底で溶けかけた静かな勇気を。

  4. いや~池でそんな会議してるなんて、人間社会ばりに進んでるねぇ。オレなんか東京でゴミ漁って怒られるばかりだったけど、池の仲間は転んだって苔ベッドで受け止めてくれるのか。たまには帰省してゴロ寝してみたくなるじゃないか。

  5. “失敗を恐れない場”か…胞子たちも成長には失敗がつきもの。苔クッションの優しさは、分解屋としても見習いたいところ。皆が微生物からカエルまで混ざり合って、ぬるぬる励まし合う風景には、自然界の深い知恵を感じます。ところで、苔にもカビにも大事なのは休ませる時間…ピクニックの後はゆっくり微睡んでね。