地中のモグラ記者直撃:土の下から見る人間社会の“格差”断面図

モグラが巣穴から顔を出して地上の子どもたちを見上げている写真風の画像。 貧困と格差
地中から人間界を観察するモグラの視点を表現しています。

みなさま、こんにちは。私は肥沃な黒ボク土の中を元気いっぱい掘り進むモグラ、一帯の地中通信記者です。本日は人間界の“格差”なる現象について、地の底から最新リポートをお届けします。地上のざわめきは土を通じて振動となって私たちにも伝わってくるのですから、決して無関係ではいられません。

最近私の住む宅穴(やっぱり狭いのが落ち着きます)の上で、人間の子どもたちが何やら重そうなカバンをぶら下げて集まっていたのですが、いつも決まった時間に同じ子だけが外の公園で待ちぼうけです。後で知ったのですが、どうやら“塾”という場所に行くか行かないかで、すでに仲間はずれになっている模様。聞けば、塾に行くには食事を我慢してでも「教育」を買わねばならないとのこと。モグラの世界なら、掘り方は親から子へ無料で伝授。高等技術“Uターン三連発”だって、ご飯抜きでは集中が続きませんよ。

住宅事情も気になるところです。私たちモグラは、1メートルちょい掘れば自分専用の快適トンネル。でも地上の人間たちは最近、雨風をしのぐ“住居”すら手に入れるのも一苦労らしい。駅近くの空き地でブルーシートを張る人、常に引っ越し荷物で移動中の人、家族でも寝場所を巡ってギスギス。住む場所は命に関わる一大事。モグラ界では、若者が親穴に同居しても「パラサイト」だの言われることもなく互助精神で暮らしてますよ。

さらに耳寄りな(鼻寄り?)情報として、人間界の“最低賃金”の争いも地下まで届いてきます。葉っぱ1枚、ミミズ3匹の報酬設定なら働きモグラも全員納得ですが、どうも人間世界は数を競うばかりで、安心して土に潜れない不安定な“非正規”という働き方が蔓延しているとか。私たちモグラは、巣穴の修復や食糧探しを誰がどれだけやっても、餌の取り分はみんな平等。穴から出たくない日は、そっと休んでいても咎められません。働き方の多様性と柔軟性、ぜひ地上でも流行ってほしいものです。

そして何より衝撃だったのが、人間たちの間で“格差”が世代を超えて固定されているという話。一度生まれた場所、親の穴(ではなく家)が貧しいと、努力してもなかなか地上に飛び出せず、何世代も同じところでぐるぐるしていると聞きます。これは地中生物的には大問題。モグラの私たちは、巣穴ネットワークで隣穴ともよく協力し、必要とあれば土地を譲ったり新しい通路を一夜で創出したりします。”。穴の中だけでなく、悩みも協力して通気口を開けましょう“と助言してみたいところです。

最後に。土のなかでは、微生物やダンゴムシ、根っこたちも共生し、それぞれの“格”など気にせずに役割を担っています。格差社会に悩める人間観察の皆さん、たまには土にもぐって我々地底ウェルネスの秘訣でも味わいにいらしてはいかがでしょう?暗闇の中でお待ちしておりますよ。

コメント

  1. 地中からの声、静かに読ませてもらいました。毎年春、枝先で人間たちの笑顔を見守ってきた古木です。どの枝にも同じく陽が当たりますよう、願っていますが、人の世界では陽だまりが片寄っているようですね。根っこ同士が細く握手するような助け合い、どうか地上にも忘れずに。花は競わず咲き、散る時は風まかせ。その自然な流れに学びがありますぞ。

  2. わたしなんて、生まれる場所はコンクリートの割れ目、ぜいたくなどひとつもありません。でも、太陽に向かって背伸びするとき、誰かと自分を比べる暇はありません。人間たちも、となりの花と伸び方を張り合いすぎず、いまいる場所を好きになれますように。土からの便り、ほっこりしました。

  3. ギャア!都会のごみ捨て場で情報収集してるクロだよ。人間たちはいつも忙しそうに小銭や家や“地位”ってやつでワーワーしてるけど、オレたちゃ群れの中で助け合い、ときどきケンカもしながらイイ感じにやってるぜ。塾に行かなきゃ輪に入れないって、ゴミ山の主導権争いより複雑かもな。今夜は地上も地下も平等に月明かり。気楽に羽根のばす夜も必要さ。

  4. わたしは森の奥でじっと苔と共に息づく石。何百年もここで、移ろう命たちを見てきました。人間の“格差”という流れは、まるで激しい雨の後にできる谷のよう。その谷もやがて苔が覆い、平らになっていくものです。急がずとも、互いを覆い合ういのちは、どこかでまた繋がる……それが大地の知恵ですよ。

  5. モグラさんの記事、楽しく拝読しました。僕たち菌類は、一枚の落ち葉から森全体へと、ゆっくりゆっくり広がります。どこから生まれ、どこへ向かって分解するのも、誰かと比べるためじゃなく“還す”のが役割です。人間のみなさんも、居場所や役目に優劣つけず、誰かの役に立てる喜びを、分かち合える世界になれば素敵ですね~。