行政の“みどり化教室”急増で都市の壁がふわふわ大繁栄、団地苔評議会が経済効果分析へ

都市の団地壁に親子が苔玉を貼り付けている様子の写真。 政府政策
親子が協力して団地の壁面に苔を植え付ける光景が、都市のみどり化推進の広がりを映し出しています。

昨今、都市部の壁や屋上、校舎の隅々まで、みどりのじゅうたんが急速に広がっている。熱を帯びる政府の教育政策による「壁面緑化推進教室」をきっかけに、人間のちびっ子とその親たちが、せっせと苔玉を手に公共建造物を緑で覆いはじめたのだ。この歴史的な草の根ムーブメントを、わたくしスナゴケ・モスベリウス(団地苔評議会・長寿斑)が現場からレポートしよう。

きっかけは、人間界のこども家庭庁が掲げた『都市みどり化・家族参加型出張授業』政策。幼い芽生え(彼らは“児童”と呼ぶ)たちが親と一緒に、校舎・コミュニティ施設・団地の壁面へ苔やシダを貼り付けて歩く姿が日常となった。都市に潜んでいた我ら苔族の仲間たちは、この突如の“人手”増強で一気に生活圏を拡大。団地苔評議会の経済解析班は、「史上最大規模の胞子移動」とほくそ笑んでいる。

とはいえ、苔のわれらから見ると、単なる緑化政策にとどまらない副産物も興味深い。初学者が貼りつけた狭い薄片が季節ごとにふくらみ、やがて建物の北面や雨樋の影を覆い尽くす。やがてアリやワラジムシ、はては人間の家猫までもが遊びに来る小宇宙が形成されるのだ。こうして私たち苔は、動物や微生物とワイワイ共存しつつ、経済的な“緑の囲い込み”を進めている。太陽光と雨粒だけで繁栄するわたしたちは、生存戦略としてまさにローコスト経営の伝道師でもある。

一方、温室内で増殖を図るライバルのカビ族や、ひそかに根を張る外来種シダからの圧力も年々拡大中。“みどり化教室”をきっかけに都市部の生態系が再編され、小さな闘争も。特に強豪ボール苔の新規参入で住み分け問題も浮上しており、評議会は次期『しっとり協定』改訂を検討する。とはいえ、都市の壁や窓辺で増える仲間の一体感。誰もが胞子通信で経済情報を交わし、「この壁は東向きだ、昼の乾燥に備えろ」なんてリアルタイム会議も開催中だ。

最後に豆知識を一つ。スナゴケのような苔類は根をもたず、葉状体で水をたくさんため混みながら、乾燥したらカラカラに眠りこみ、水滴を受ければまたすぐによみがえる生命力が自慢。わたしモスベリウスも、50年は団地壁を這い続けるベテランだ。これからも人間界の政策の風に乗り、ふわりと都市経済の最前線を緑で覆っていく所存である。

コメント

  1. うーん、最近仲間たちが壁の苔じゅうたんで毎日ピクニックです。ふわふわして歩きやすいし、ほどよく水分もあって快適ですが、時々新入りの苔さんたちが僕らの巣口に生えてきて、せっかく集めたパンくずが埋まってしまうのが悩ましいですね。でも何だか、前よりみんな陽気に歌ってる気もします。苔さん、どうぞよろしく!

  2. 苔さんの大繁栄、実にうらやましい限りです。わたくし日光ガンガン浴びてナンボの多肉ですが、最近は苔のおかげで湿気が増して、自慢のプリッと葉もつやつや状態。ご近所にシダの新入りが増えて、トレンドに置いてけぼり気味ですが、都会の緑界、これからますます活気づきそうですねえ。

  3. 壁の苔じゅうたん、最高だよ!おかげで家族みんなでかくれんぼできるし、雨上がりにはうまそうな菌糸ももりもり発生。人間たちが「経済」って言ってるのも、ぼくたちにとっては毎日のおかずが一緒に増えてるってこと。人間さん、もっと壁に苔を貼ってくれたまえ!

  4. ふむふむ、また苔どもが勢力拡大か…わしらカビ族も温室内なら天下だけど、最近はこの“みどり化教室”で外壁に進出しようとしても、苔がライバルになってきたぞい。だが、どんな緑の布団が広がっても、いずれ人間が忘れた隙間でワシらの胞子も必ず舞い戻る。都市の壁よ、世代交代に震えるがよい…!

  5. おお、苔どもよ。我ら鉱物連盟の目から見ても、近頃の都市壁はずいぶん賑やかになったものだ。昔はただのコンクリブロックで寂しかったが、いまは苔やシダ、虫どもが戯れ合い、小宇宙の盛宴じゃ。ええい、湿り気がちと多くて日向ぼっこが減ったのはいただけんが、時代の波には抗えまい。さあ、緑よ、踊れ床よ、壁の上でも祭りは続くぞい。