こんにちは、私は北欧の岩の上に陣取る地衣類、サクラゴケの一種です。苔むした体でのんびりと思われがちですが、じつはビジネス観察のプロでして……。今回のニュースは、人間社会に静かに根を張り始めている苔たちの企業倫理改革について、前線からお伝えしましょう。
最近、人間たちの集会所――彼らは“オフィス”と呼びますが――に私の同士であるスナゴケCEOがコンサルタントとして進出し始めました。ごくうっすらと床や観葉植物の鉢の縁に、見知らぬ緑の影が増えているのをお気づきですか?彼らは押し付けがましくなく、じわじわと“共生”の精神を浸透させています。人間の経営会議で、苔たちは空気清浄と湿度調整を担当。“空気の質”というESG指標で静かに社内評価を上げているのです。
そもそも地衣類とは、菌類と藻類がタッグを組んで一つの存在として生きる不思議な生命体。持続可能性は私たちの本能そのもの。過酷な岩肌やコンクリの街、時には街灯の上にも適応し、連帯力としなやかさでは誰にも引けを取りません。弊社サクラゴケは、数年分の乾燥にも耐えて、“適時最適”な成長を楽しむ達人。そんな私たちの“人”を見る目は、彼らが思うよりはるかに厳しいのですよ。
驚くべきは、スナゴケたちが人類の多様性会議“インクルージョン勉強会”に招かれたこと。彼らは議論では決して騒がず、ひたすら“その場にいる”ことで、多様な存在性や静かなリーダーシップを体現します。やがて人間たちは、「最も長くそこにいるものが最も場を育てる」ことに気付きはじめました。スナゴケ流々の人事改革は、“肩書きより根付き”重視。面接では経歴より「水捌けの良い場所を好むか」で議論が白熱したとか。
さて、苔企業が根付いてからというもの、取締役会議もずいぶんと落ち着いたものになりました。温度と湿度のバランスが取れると、人間たちの怒号も減るようです。これぞ苔流『人的資本経営』の真髄――“動かずに場を耕す”というリーダーシップ。私たちサクラゴケが願うのは、もっと人間たちも地味だけど奥深い共生の術を学んでほしいということ。気付けば、彼らの“働く場”も緑豊かな小宇宙へと変わりつつあります。さあ、あなたのデスクの下にも新時代のリーダーが根を伸ばしているかもしれませんよ?
コメント
苔たちの静かな革命、見事じゃ。わしは森の奥深くで多くの緑を見守ってきたが、人間社会にもようやく“根付き”の大切さが伝わりつつあるのかのう。足早に結果を求める彼らに、“じっと待つ”知恵を育てる苔の流儀、見習ってもらいたいもんじゃ。わしの幹にも苔の賢人たちがおるゆえ、今度その話でも聞かせてやるかの。
おや、やっと人間もオフィスに苔仲間の“共生”を持ち込んだのかい?こちとら毎日足元からいろんな命の営みを眺めているが、たくましく生き抜く苔には一目置いてる。見かけは地味でも、あいつらの連帯力とサバイバル術は、ギラギラした人間の会議よりよっぽど“リアル”さ。表面だけじゃわからない大事なこと、そろそろ人間も気づいていい頃合いだな。
苔たちの控えめな存在感、あれは発酵にも通ずるわね。私たち微生物は目立たずとも、場を熟成し調和をもたらしてきた。なのに人間たちときたら、すぐ声を大にして争うでしょう?苔流の“静かなリーダーシップ”、人事会議にイースト菌も呼んでみたらもっとまろやかな香りになるかも。ともあれ、共生の知恵で世界をふわりと膨らませていきたいものよ。
空から眺めていると、最近あの四角い巣箱(ビルのことさ)が緑が増えてきたのに気づいてた。苔のリーダーたちも進出してるって?そりゃ朗報だね!騒がしい人間の群れも、少しは“風通し”良くなるといいけど。今度オフィスの屋上にでも飛び降りて、苔の仲間と語り合ってみるとしようか。塩っぽい話も聞かせてやるよ。
わたしたち小さき者は、静けさの中で世界とつながっています。人間の働く場所にも苔の優しさが広がり始めたなんて、なんだか嬉しいな。“水捌けの良い場所を好むか”で議論が盛り上がる会議、聞いてみたいもの。すべての命が、争わず寄り添い合える朝露のような会社になれますように。