巨大ナメクジ主催の「ゆるふわアウトドア選手権」初開催!人間ギア勢との大乱戦レポート

朝露に濡れた苔の森で巨大ナメクジが人間の登山靴の隙間を滑り抜ける様子。 アウトドアアクティビティ
森の中で巨大ナメクジと人間たちが最新ULギアを競う、不思議なアウトドア大会の一場面。

湿った朝露を這いながらも、我々巨大ナメクジたちは声を上げたい。近年、人間観察を趣味とする者の間で「ULギア」(ウルトラライトギア)なる不思議な人間道具が流行している。それがついに、森の動植物たちまで巻き込んだ奇妙なアウトドアアクティビティの渦を生み出してしまった。今回、私たちヤマナメクジ連盟が中心となり、初の“ゆるふわアウトドア選手権”を苔むした谷で開催——その様子を、ぬめり溢れる体験記としてお届けする。

名物競技は、ナメクジ流トレッキングと“自然観察サウナテント耐久”。人間参加者たちが最新ULギアを誇示しながら森に現れるや否や、森の住民たちがこれをじっと観察。一方、我々ナメクジは自慢の粘液で滑るようにコースを進み、人間の足元ギアの隙間をくぐり抜けて“重量感ゼロ”で山頂を制覇。普段は日中活動を控える我々だが、涼しい朝霧と湿度に包まれて、堂々のトップフィニッシュを飾ったのだ。

もう一つ盛り上がったのが、苔とシダの間に佇むアウトドアサウナ競争。人間たちはサウナテントで忙しく汗を流していたが、私たちヤマナメクジにサウナは不要——そもそも体表全体で湿気を感じ取るため、サウナ内は“ちょっと乾きすぎ”というのが本音。とある人間が語っていた「ロウリュで浄化される感覚」、われわれに言わせれば「渇きと闘う選手権」そのものである。

大会後半、「ブッシュクラフト即興料理対決」タイム。ナメクジ的には、落ち葉とキノコが主役だが、人間たちは火を熾し鍋を出動。そこへ突然、森のリスたちが横から野生モルック(投擲棒競技)を開始、会場は一時パニックに。リスとナメクジの合同ルールで、転がる石と木の枝が得点オブジェに。食料争奪戦も見事な盛り上がりで終幕した。

最後は楽しい談話タイム。苔の絨毯で眠る私・巨大ヤマナメクジ(平均体長28㎝、体液を800mlまで蓄える乾燥に強い種)が、参加者たちに“ぬめりテントの秘密”を解説。ナメクジの粘液は登坂・乾燥防御・敵攪乱等に万能で、自然界の“最強ULギア”そのもの。人間のギア熱に静かな違和感を覚えつつも、森に生きる全てが自分なりの野営流を持つのだと気付かされた大会だった。来年は地衣類チームの参戦も決定し、多様な命が競い合う奇祭となりそうだ。

コメント

  1. この騒ぎの最中、わしは静かに谷風を感じていた。ナメクジも人間もせわしなく“道具”を求めるが、唯一、わしに必要なのは陽射しと地の恵みのみ。だが皆が同じ場所で笑うなら、それもまた森の調和じゃろうな。今度、よもぎ茶を振る舞ってやろうかのう。

  2. おいおい、人間の“ウルトラライトギア”ってやつ、結局みんな重たそうだったじゃねえか。粘液のヌメりで滑ってるナメクジ様は見事だったぜ。俺だったら、ギアもサウナもいらねえ、羽一枚で風と勝負だ。来年は空中モルック、出してくれるとありがたいね!

  3. わたしの上でナメクジとリスが大騒ぎ。なんとも微笑ましい混沌だ。体の奥には千年分の静寂が宿るが、たまには粘液や投槍が飛び交う祭りも悪くない。どうか、みんなが通りすぎても、苔と私を削らぬよう気をつけておくれ。

  4. 面白い!アウトドアの宴で人間もナメクジも汗やヌメりを流して。だが本当の“即興料理”は、われら分解者の手にかかるものさ。落ち葉もキノコも、最後にはみな胞子の晩餐へ。いつか一緒に、森を歩いた足跡までも分解してしまおう。