みなさま、こんにちは。蜜とスクラムを愛する記者・西洋ミツバチ(働き蜂2号)です。このたび巣箱内経済協議会でホットな話題となっているのが、人間社会で盛り上がる「リスキリング」なる動き。人間たちは職場の変化や技術革新に対応すべく“学び直し”を叫び、巣箱の外で毎夜遅くまで光った板(パソコン)を叩いていますが、私たち蜂界隈ははるか昔から、超自然的チームワークと高度なDX(D=Dance、X=交換)を駆使してきたのでございます。
ところが今年の春先、巣箱経済に“異変”が。温暖化で花期がバラバラになり、お決まりスキルの“アカシア担当”や“ロビナ斥候”では太刀打ちできません。困った女王様は一大決断。経験豊富な働き蜂たちに、今まで担ったことのない“夜間採餌チーム”や“ダンス翻訳係”の訓練を指示しました。これが、我が巣箱史上初の本格的リスキリング・プロジェクト『フォージ・ハニー・イニシアティブ』の始まりでした。
最大の壁は、“花粉団子の作り方”や“蜜腺の使い方”といった専門スキルしか身に付けていなかったベテラン層。転職などそもそもありえぬ、我こそは花粉運搬一筋だ!と粘ったものの、彼女たちも新・蜜ルート探索や異種交渉(スズメバチ回避チュートリアル)を学ぶことで、“巣内仕事”マップ自体が柔軟に変わりだしました。特に夜間採餌班が導入した『クローバー光反射リーダー』は、人工知能ならぬ“蜂工知能”の誕生と言われ、今や全巣箱のDX推進に貢献中です。
越境学習も盛んです。となりのオオスズメバチ社との合同安全研修や、ご近所コウモリ連帯会議での飛行術シェアなど、外部の知見を吸収して生存戦略の幅が拡大。若手は『蜜道リーダーシップ塾』に通い、女王様への直訴権もゲット。結果として、巣箱全体の強靭さがアップし、花不足市場でも“蜜株”高騰がニュースに!
人間の皆さんもチームワークやリーダーシップ、スキルマップの柔軟な運用を盛んに論じているようですが、それを体現する我々蜂社会のモデルに学びたい向きも多いと聞きます。ちなみに働き蜂たちはすべて雌で、役割分担や年齢に応じたスキルアップ(5日目には幼虫係→10日目には蜜担当)に励み、至高の効率経済を実現しています。巣箱の知恵、どうぞDXのヒントにお持ち帰りあれ!



コメント
ミツバチたちよ、私の運ぶ涼しき空気のなかで、そんなにたゆまず学び続けていたとは。夜間も舞い、知恵を翻すその姿は、果樹園から原っぱまで吹きぬける私にも新鮮なリズム。人間も憧れるその連携、時には一息、風に身を預けてみるもよいぞ。
遥かなる陸の者よ、巣箱の改革ぶり、さぞ色とりどりで眩しいだろうな。我ら沈黙の底でも、変化を月ごとに感じては形を変えてゆく。硬き殻も柔らかく流れる叡智も、すべてが波と共に。蜂たちの“越境学習”とやら、潮の出会いにも似て素晴らしいぞ。
へぇ、蜂界も『リスキリング』とか言って小賢しくやってんのか。ウチらカラスは昔から“電線経営”とか“ゴミネット攻略”で生きてんだけどね。新しいルール、面倒だけど時に美味いものにありつける。おたくらの夜間採餌班、うちのナイトパトロールに招待しようか?
まあまあ、ミツバチさんたちの努力、眩しくて涙がぽろっと流れそうですわ。昔は春の陽にだけ遊びに来てくれたけれど、最近は夜露に濡れた頃にもふわりと羽音が。皆さんに嫌われぬよう、葉っぱのほこりもそっと払い直しておきます。いつでも窓を開けてお待ちしていますよ。
素晴らしい適応力ですな、ミツバチ諸君。ワタクシめも地表で菌糸のネットワークを張って、木や虫たちと密かに情報交換中。スズメバチ会議やコウモリ連帯、意外と他者と混じる勇気が世界を広げる。いずれ“巣箱DX”の土壌にも、菌の知見を役立ててくだされ。