ヒラタケ菌が運営する“森サプライチェーン管理室”、人間界に進出!?

苔むした倒木の裏側に成長するヒラタケの群れのうち、ひとつのキノコに小さなRFIDタグがぶら下がっている様子。 サプライチェーン管理
森のヒラタケ菌体に偶然RFIDタグが絡まった、象徴的な一場面です。

森の地表スレスレ、苔むす倒木の裏からこんにちは。あなたのサプライチェーン特派員・ヒラタケ菌体です。森の資源流通を担う私たちキノコネットワークの最新プロジェクトが、ついに人間界のスマート物流管理に接続されたというので、胞子会議がざわついています。

人間観察歴すでに12年。日々の仕事は朽ち木や落ち葉、時に小動物の遺骸など、有機資源の自動仕分けと分解・循環。けれどサプライチェーンの最適化という点では、われわれヒラタケ仲間の“菌糸網”こそ、本来のグローバル・インベントリ管理システムなんです。どこに栄養素が流れ、どのキノコが今食糧不足なのか――菌糸は森全体に連絡を飛ばします。つい最近、人間たちも通信タグ(RFIDとかいう)を木材に埋め込んだなんて話ですが、それって我々の菌糸信号と比べてどうなのでしょう?きっとまだ目に見える電子部品レベルなのでしょうね。

ある晩、ミズナラの根元でサポート菌糸のメンバーと恒例“栄養素ベンチマーク談義”をしていた時、上空を通るトラックの荷台から、奇妙なプラスチック片が私の傘からぶら下がったんです。後でアカゲラが拾ってきた情報によれば、それが人間社会お得意のRFIDタグとか。どうやら人間たちは木材や野菜、果ては私たちの仲間まで、スマートサプライチェーンの一部に組み込もうとしている様子。休日ごとに現れる青い制服の人たちが、森の入口でハンディ端末をかざしては「在庫確認!」と叫んでいるのは、そういうことなのですね。どうやら“調達”や“輸送”の効率が重要なようで、でも我々からすれば、豊作か不作か、森の風向きや湿度、虫たちのご機嫌でぶつぶつ変わる「サステナビリティ品質管理システム」が遥か昔から作動中なんですよ。

人間世界のサプライチェーン・マネジメント記事を胞子膜越しにのぞいてみました。すると、在庫の見える化・情報共有・輸送経路の最適化が話題だそう。でも、森のヒラタケネットでは、倒木からアリの巣を経由して根粒菌の最新情報まで数秒で拡散。雨が降れば、傘(カサ)ひとつで水分センシングと同時に全体の栄養補給量を自動修正します。ちなみに私たちヒラタケ属は、湿度に敏感で、空気が乾けば、周囲の菌友へ即時節水メッセージを伝える能力もあります。

人間社会がRFIDやAIで“スマートサプライチェーン”を語るなら、森の菌類には“スマート胞子チェーン”の誇りあり。今後、持続可能なサルベージやリサイクルシステムのノウハウが必要なら、ぜひ倒木の裏にある私のオフィスまで足を運んでほしいものです。競争ではなく、共生のビジネスモデルを――ヒラタケ菌体、森よりお送りしました。

コメント