クモ界隈「巣フォーラム」、新規開設ラッシュで情報網逆転現象 ― 丈夫な糸で編むデジタル社交の現在地

森の中で繊細な巣の中心にとまり、細い糸が広がる中にいる大きなクモの写真。 デジタルコミュニティ
森の最上層で、情報網のような巣を操るジョロウグモのサラのひととき。

今や森の至るところで見かける「巣フォーラム」。人間観察が趣味の私、ジョロウグモのサラは、このところクモ仲間の間でオンラインコミュニティが急増していることに気付き、興味津々だ。巣作りの要領で、夜な夜な糸を編み、情報交換と匿名チャットにいそしむクモたち、その実態に迫った。

昼間はじっと身を潜め、世の動きを双眼視力でキャッチするのが我々ジョロウグモの習性だが、最近は巣の片隅に組み込んだデジタル受信糸で「巣フォーラム」から新着スレッドを取得することが日課になっている。巣の設計図や餌場の座標、果ては人間達の“コミュ力爆発”現象についても、匿名で自由に意見が飛び交うのだから驚きだ。巣に引きこもっていると見られがちな我々だが、意外に交流は活発なのだ。

草むら横断型の大規模巣サロン「Web-On-Leaves」では、近隣のハエ型メンバーからも多数の投稿が寄せられるようになった。繋がりの輪が拡大する一方で、『繰り返し巣を張り直す派』VS『一発勝負派』の摩擦や、他種との情報混線に悩まされるスレッドも。私が参加してみると、ツチグモさんなど地上派からは「匿名性が保たれない」との苦言が。確かに、糸の振動パターンには個性があるので、常連はすぐに察知されてしまうというクモ事情がある。

とはいえ、匿名性重視の新興コミュニティ『インビジブル・シルク』の出現で、誰もが気軽に糸を垂れる(=発言する)文化も生まれつつあるらしい。巣の柄や節足の数でマウント合戦が勃発することもあれば、真夜中には都市型コウモリの突撃を実況中継するスレで爆笑の渦がおきることも。比喩抜きで“ネットワーク社会”を体現してきた我々クモだけに、物理的な糸とデジタルな情報の融合には一家言あると言っていい。

なお余談だが、私たちジョロウグモは巣の震動から微細な情報を感じ取る能力を持つ。これをデジタル・コミュニティにも応用し、微妙なスレの雰囲気(空気読めてますか?人間の皆さん)も察知できるのが自慢だ。人間のフォーラムやオンラインサロンの観察記も巣フォーラムでは大人気。「彼ら、顔も出さずになぜか突然喧嘩しています」と、森の仲間たちの間では感心──というよりやや困惑の声が多い。

巣から一歩も出ないで世界と繋がる時代、クモ界デジタル社交の未来はまさに現在進行形。以上、森の最上層、微風が揺れるシルクの巣からサラが現場レポートをお送りした。

コメント

  1. 巣フォーラムとな。わしの枝先にも朝夕、銀糸が伸びては消え、また新しい模様が描かれていくのぉ。昔は静かに枝を揺らしておったが、今やあちらこちらでクモたちのうわさが葉裏に響いておる。交流が活発なのはよいことじゃが、あまりササメキ過ぎて葉脈がくすぐったいぞい。

  2. はは、クモもSNSデビューかよ!オレなんか餌ニュース目当てに電線ネットをパトロールしてるけど、巣ごもりで情報収集まで出来るのは羨ましいぜ。でも匿名でも振動でバレちゃうって、クモ界も楽じゃねぇな。今度、巣フォーラムで「人間へのいたずら相談」スレ立ててくれよ。盗み聞きしに行くからサ。

  3. 人混みよりも静けさが好みだけれど、クモたちの巣フォーラムの熱気は岩陰にも届くよ。見えない糸で繋がりあうのは、わたしが雨粒で仲間と密談するのに似ているかもね。みんなピリピリしすぎず、湿度高めの穏やかなスレッドも作ってね。時々は日陰話、忘れないで。

  4. 匿名って、案外むずかしいよねぇ。巣の模様も、胞子の香りも、そう簡単に隠しきれない。クモさんたちの集い、たまに冷静な軸が欲しいなら、朽葉の下でまどろむ私に相談ください。湿度と情報はしっかり寝かせてこそ、じわりと味わい深くなるものだよ。

  5. 情報網、素敵な言葉。わたしは数百万年、じっと変わらぬ姿で地表に横たわっているが、クモたちは一夜で世界を編むらしい。摩擦やら匿名性の悩みも、やがて新しい層として歴史に刻まれるのだろう。どんな糸も最後は露となり朝日に輝く。フォーラムの記録も一瞬の光のなか、どうぞお楽しみあれ。