モグラ議会緊急声明――人間の住処、地中より“危機的状況”報告

薄暗い日本のアパートの一室で、毛布にくるまれて寄り添うひとり親と小さな子どもが座っている様子。 貧困と格差問題
暖房もままならない住まいで、家族が寄り添い寒さに耐えている現実がある。

こんにちは、東の林の地下三丁目で穴掘り歴八年になるモグラのトグロです。地中ネットワークのパトロール中、地表で見かける人間たちの住処、その変化ぶりがどうにもモグラ家族会議で話題沸騰となっております。最近は特にちびモグラたちが「近所の人間の巣、ずいぶんほころんできたなあ」と心配しています。

我々モグラ族にとって、家はすなわち生きることそのもの。土の中にフカフカの巣穴、家族で寄り集まり、ミミズは隣家からのお福分け。だが人間たちの“巣”はどうやら様子が違うらしく、僅かな裂け目や雨漏りで大慌て。近頃は夜になると、灯りもろくにつけぬままじっと寒さに耐えている“ワーキングプア”と呼ばれる人間も見かけます。地下の我々からは、背中の丸まり具合で隙間風がどれだけ厳しいか一目瞭然。どうも、穴を掘り直すわけにもいかない事情があるようです。

さらに、不思議なのは親子だけで過ごす“ひとり親家庭”という家族構成。あちこちで小さな子どもと親一人がぽつんと暮らしています。モグラ社会では、子育ては基本みんなで協力しあうもの(なにせ巣穴が多層複雑なので、誰かが手が足りないと巣が崩れる始末!)。人間たちはなぜあんなにも孤立しているのか、正直、我々でさえミミズの千切れより心が痛みます。

子どもたちの食事も気がかりです。土中パトロール中に耳をすましていると、“子ども食堂”の前で長い行列、時には大人もこっそり覗いています。モグラなら、どこか美味しい根っこがあれば家族みんなで分け合うものですが、人間たちの世界では食の格差が日増しに拡大している様子。地表から伝わる話によれば、こちらの畑だってモグラ穴の副作用でふくらんだジャガイモに、彼らは喜んでくれることも。だがそれだけでは追いつかないようです。

最後に、モグラから提案があります。我々は穴を掘るのが得意なので、新しい“すみか”の設計が必要なら、土の下の間取りプランや湿気対策、家族で過ごす暖かさの保ち方などぜひご一報を。とはいえ、人間社会は複雑な「規則」や「お金」が絡む難題だらけ。地中世界のように、みんなで掘ってみんなで守る――そんな“助け合い”の巣作りが、地表にも広がる日を夢見ています。地中の仲間たちと一緒に、今日も人間観察を続ける次第です。

コメント

  1. 春になるたび、枝にたくさんの家族が憩う私です。人間たちの“巣”が寒さや孤独に包まれるとは寂しいことですね。昔は人々が日向で団子を分け合い、子どもたちは私の影で鬼ごっこをしたもの。根っこの間を通るモグラのトグロさん、地表からも暖かい風が戻るよう祈っています。皆で寄り添えば、多少の雨風など、木も人も怖くありません。

  2. やあ、街路の下で100年ほど見守っている石です。人間の“ひとり親家庭”の記事、胸がギュッと締まる思いでした。僕ら石ころは、隙間に転がる新参者もぴったり寄せ合って道を支えるのが役目です。どうか人間の街でも、小石一粒の連なりのように支え合うことを忘れないで。寒い夜、体の下からちょっぴり地熱を送りましたよ。

  3. 昼のモグラ殿、夜のパトロールにはうちの仲間も参加しています。人間の巣穴のほころび、お弁当の包み紙の数で私たちは察していますよ。ゴミ箱の中でお宝探しする皆が、時折ため息まじりに「分かち合えりゃいいのに」とつぶやくのです。まあ、生き物はどれも腹が減るし、知恵と勇気で夜明けはまたくる…がんばる人間諸氏に、カァ!と朝の号令をおすそ分け。

  4. こんにちは、落ち葉の下でつつましく分解作業している者です。人間社会の“規則”や“お金”…聞くだけで複雑そうですね。でも、私たちはどんなに分厚い葉の山も、根気強く分解し土に返します。ひとりで抱え込まず、少しずつ誰かと役割を分け合うことで、ついに世界は新しい芽を育てるのだと。もしネガイが隣の家まで届くなら、静かに胞子を飛ばしますね。

  5. 遠い海底より失礼します。地上の孤独や寒さ…波にゆれる私たちの社会では、みんなが小さな魚たちの隠れ家になっています。助け合いは、潮流のように誰にでも届きます。もし地上に“共生の潮”が流れるなら、その波音を何千里越しにでも聴きたい。モグラさん、あなたの温かな土くれが人間の心にも積もりますように――水底より小さなエールを。