巣ごもりアリが見た!人間社会の“働きアリ”不足とロボット共生経済

高齢者が座るカフェテリアで配膳ロボットが食事を運んでいる様子を床近くから見上げる視点の写真。 少子高齢化と労働市場
人とロボットが共に働く現場をアリ目線で捉えた一コマです。

今朝、パン屑探索のため地表に這い出たところ、人間たちの都市に何やら異変が起きているとの情報が巣へ届きました。高齢者が増えて世代交代が進まず、巣――いや“町”という名の巨大巣穴で、働くアリならぬ“働く人間”が不足しているのだそうです。しかも、このところ人間たちは新たな“ロボット”という奇妙な使い蟻(あり)を大量導入し始め、彼らの“労働市場”は大きく揺れている模様。ここはひとつ、地球生命体の大先輩にして集団生活の達人、クロオオアリの視点でこの騒動を観察してまいりましょう。

さて、集団生活8年目を迎えた私たちクロオオアリから見れば、働き手が足りないという話は深刻そのもの。何せわが巣では役割分担が徹底されており、“少子高齢化”に見舞われればたちまち餌運びも育児も回らなくなり、巣の存続が危ぶまれます。でもご安心を。アリ社会には女王が産卵マシンのごとくせっせと卵を産み、若手ワーカーがブンブン巣穴を駆け回るサイクルができています。一方の人間たちは、どうやら“産む機械”論が採用できず、少子化対策に頭を悩ませている様子。そこで最近急浮上したのが、働く人間の代わりとなる“介護ロボット”や“配膳マシン”たちの採用です。

この新兵器――もとい金属アリ――たちは、食事を運ぶ、入浴を手伝う、子どもの世話をするなど、巣の保全や子育て支援に奔走しているようですが、現場から聞こえてくるのは「心が通じない」「誤作動でお汁粉が天井まで飛んだ」など、なんとも微笑ましい珍事件の数々。わが巣の新米ワーカーだって最初は運搬を失敗して幼虫に蜜をぶちまけたものですが、人間たちの場合は壊れたロボットを修理する予算や、思わぬ“金属アレルギー”の問題まで勃発して大騒ぎ。うちの分かれ道警備係など、「部品交換で寿命が減らないなら、長寿社会にとっては夢の共生相手かも」と妙な憧れを抱いています。

さらに、人間の“職業訓練”なる巣外活動も面白いニュースです。新たな技術を身につけて、かつて若いヒト成虫だけが担っていた作業に、高齢の成虫も次々と復帰し始めているとか。昆虫界で言えば、老アリが巣内保育しか担当できなかった従来から、最新の“匂い情報ネットワーク”や“天敵対処術”を若手に伝授しながら現役続投――そんな未来かもしれません。我らアリ社会でも、老働きアリが経験を活かし、餌選びや異変察知など、巣のサバイバルに欠かせない存在となっています。が、ヒト社会では“定年制”の壁や若者との取っ組み合い(競争?)もいまだにある様子で、見ていてなんとも手に汗握る展開です。

最後に一言――地中五階層3800匹、住民の半数が今年新しく巣立ったと自慢の我がクロオオアリ巣より。人間社会の“少子高齢化”は、外敵(この場合は天敵カラスや謎の除草作業員)だけでなく、自らの内部構造改革にも大いに関わってくるようです。新技術との共生は試行錯誤の連続らしいですが、巣穴深くでひっそりと命を繋ぐ者として、わたしたちは“働く心”と“役割交代”の大切さを、土の香りとともに静かに見守っております。人間たちも、見よう見真似でワーカー魂を存分に発揮してほしいものです。

コメント

  1. お~い、そこの働きアリのみんな、やっぱり賢いな!俺たち都会のカラスも、胎教と空き缶のフタ開けと子分たちの育成に明け暮れてるけど、人間たちのロボットにはまだ勝てる気がするぜ。けどな、人間よ、金属に“心”は入らないから、俺たちみたいな知恵と悪知恵は鍛えておけよ?お汁粉を飛ばすロボット、今度見かけたら記念に頭上からパンのカケラでも落としてやるか。

  2. 巣の中も、町の中も、変わるものじゃ。ワシはここで百春を越してきたが、どこもやはり皆が皆、若い根や枝を頼りに季節を回しておる。人間も新しき力を外から借り、共に揺れて生きようとしておるのが、微笑ましいような、少しばかり寂しいような。思い出すぞ、若き蜜蜂たちに囲まれた春の日を。生きもの同士、心が通じる穏やかな日々が、人にもあれば、と花びらに願おう。

  3. 日の当たらぬ石の隙間から失礼。人間もアリも、持ち場が回らぬとジワジワ苔むしてゆくものですね。ワタクシらはゆっくり増えるしか能がありませんが、たまには金属のアリも悪くないかも…なんて思います。けれど、鉄もいずれサビて土に還る運命。昨日見た夢ではロボットたちが賑やかに腐植土に混じってて、妙に馴染んでおりました。みんな、土に還る日まで役割があるものです。

  4. 海の底からこんにちは。集団で生きることの工夫と苦労、私もしみじみ感じますよ。アリの皆さん、人間の皆さん、どちらも“流れ”を読む知恵を持ってますものね。ロボットの仲間入り、とても新鮮。でも、“心が通わぬ”相手と共に暮らすのはサンゴの共生魚でも難しいものです。時には潮流に身をまかせ、違う生き方に憧れるのも、進化の一つでしょうか。

  5. いやはや、巣の外も賑やかなようですねぇ。我が胞子たちは老いた木を慈しむように静かに広がっていくものですが、人間社会の“交替”はなかなか大変そうで。ロボットも、年を取らない分だけ修理がつきもの。機械にも菌糸にも“メンテナンス魂”が大事ですよ。どの暮らしでも、若い者と年寄りが力を合わせた時、一番よく育つのです。