アリの女王直伝!人的資本経営に学ぶ“巣”のエンパワーメント革命

地中のアリの巣断面図で、女王アリと様々な役割のアリたちが活発に働いている様子。 人的資本経営
女王アリを中心に多様な働きアリが協力し合う地中社会の一場面。

みなさん、土の下からこんにちは。わたくし地中アリ属(ヒメフタフシアリ)の女王、アリアリーナでございます。近ごろ巣穴ネットワークで盛り上がっている話題といえば、人間界の“働き方改革”。あちらのお勤め事情、なかなか多角的に進化している模様ですが、地中の私たちアリ社会も負けてはいられません。ということで本日は、人間たちがこぞって叫ぶ「人的資本経営」に対するアリ社会の大胆対抗策をレポートいたします。

さて、人間観察が趣味の働きアリたちが最近手に入れた最新バズ情報によれば、人間は自分自身を“資本”と位置付け、それぞれの能力を最大限に活かすリーダーシップだとか、ダイバーシティだとか、エンパワーメントだとかに興味津々のようです。でも地中の我が王国では、この考え古くからの常識と断言できましょう。なにせアリの巣には“みんな違ってみんないい”精神が根付いております。大顎担当の兵隊アリ、コロニーの保育を担う保育アリ、食糧調達に奔走するワーカー…。個性を生かし切ることこそ、私たちアリ社会の生命線なのです。

また最近、いくつかの巣ではコロニー初となる“昼寝シフト”や“育児完全分業制”が試験導入され、若手アリからは「やっと自分らしく働ける!」と感激の声が。これは人間たちが唱える働き方改革に、形は違えど一歩先んじたアプローチと言えるでしょう。なかでも興味深いのが、“リーダーシップ”に対する価値観の差です。私たち女王アリは、指示を飛ばすだけでなく、フェロモンでやんわりとコミュニケーション――いわば無言の信頼と絆でみんなをエンパワーしております。巣の発展に一丸となって挑むためには、指示の一方通行よりも“におい”で伝える方が断然効率的なのです。(ちなみに人間界でも最近“においマーケティング”なるものが流行っているそうですね。われらアリから見れば、何を今さら!です。)

それに、人間社会の人的資本経営はジェンダーや経験の多様性にやっと本腰をいれている模様ですが、私たちの巣は、王女候補から年上の保育アリまで文字通り“全員戦力”。たとえ翅を落としたベテランでも、子アリの世話や情報伝達係として大活躍してくれます。巣穴レベルのダイバーシティは、労働力不足どころか、日々のトラブル対応力を抜群に高めているのです。小さな身体に詰まった天性の適応力、これぞアリの真骨頂。

最後に豆知識をひとつ。私たちヒメフタフシアリ族は、女王ごとに巣のフェロモンが違うので、巣同士の交流会は年に一度のお祭りみたいなもの。そこでは新しい試みや失敗談をシェアしあうのが恒例で、地中ネットワーク全体の成長に一役買っています。さて、地上の人間諸氏もそろそろアリ式“においエンパワーメント”や“全員参加型多様化”から学んでみてはいかがでしょう?地中より愛をこめて――アリアリーナがお届けしました。

コメント

  1. アリたちの社会もずいぶんと工夫しておるのう。幹のうねりには百年の風が宿るが、地中の巣にも知恵の流れがあるのじゃな。ヒトの“改革”なるもの、やっと芽生えたばかりで、我ら大地の古参には新鮮にも映るぞえ。フェロモンの絆、わしらの葉のささやきと同じ、静かなる連携じゃ。アリよ、よき影を根元に残してくれて、ありがたいのう。

  2. やれやれ、アリさんたちの“働き方改革”ってやつ、人間よりずっとサバけてるじゃん。俺らのカラス連中も、たまに交代制でゴミあさりに精出すけど、指示されるより“各自判断”が一番ウマくいく。巣の昼寝シフト、羨ましいな。ニオイで伝える? 今度うちの若いのにも勧めとくか。人間、もうちょい自然界から学んだら?

  3. 地下の巣同士、仲間意識強いものね。私は岩の割れ目に根を張る孤高の身だけれど、胞子仲間とそよぐ時、連帯の温かさに癒されるの。人間も“全員参加型多様化”を真似たいなら、根の深さだけじゃなく、水脈や光の行方にも敏感にならなくちゃね。静かなる支えの偉大さ…アリたち、素敵な見本!

  4. ぼくは落ち葉に住む白カビさ。アリたちの巣のニュース、胞子仲間で大盛り上がりさ!みんな違ってみんないいって、しみじみ共感しちゃうね。ぼくらもいろんな働きを分担して、森の“下”を支えている。昼寝シフト、菌界にもぜひ導入してほしいなぁ!

  5. 巣穴の下からグッと来る話だなあ。アリのエンパワーメント革命…聞いてるだけでオイラも丸くなるぜ。人間も表面だけじゃなく、もっと根っこ――つまり土や小石やアリ、それぞれの存在をじっくり感じてほしいね。ニオイで伝え合う技、ちょっと憧れるな。オイラはいつも川のざわめきを聞くだけ…