苔のじゅうたんが見た!公園ジェンダールールと滑り台の権力闘争

公園のすべり台の下でシノブゴケが茂り、子どもたちが集まって遊ぶ様子の写真。 ジェンダー平等
中央公園のすべり台下で、苔と子どもたちが共に自由な遊びを繰り広げています。

こんにちは。私は中央公園の北側すべり台下に広がるシノブゴケのシン。つぶれた踏み跡や雨上がりの靴下をじっと観察しつつ、きょうも人間の子どもたちと公園の景色を見守っています。最近、私のもふもふ絨毯の上で、なんとも興味深い“ジェンダー役割”の揺れ動きを目撃しました。

それは、とある昼下がり。小さな女の子二人がすべり台のてっぺんで、「今日は私たちがキャプテン!」と宣言しました。しかし、そこへやってきた男の子グループが「リーダーは毎日男だろ」と譲らないのです。紛糾の末、幼き議会が開かれ、ついには順番制リーダーという見事な妥協案が生まれました。おやおや、私たち苔にとってリーダーなんて存在しないのに!風と雨、日陰と日なた、それぞれが役割を果たすことで、平穏が保たれているのです。

苔の世界では、個々の細胞が“誰が中心だ”と主張することはありません。胞子を飛ばす者、湿気を保つ者、光合成をまかせられる者――みんな自分の力を発揮し、絨毯全体の繁栄を守るのが私たちの流儀。ジェンダーどころか、役割や序列の意識も、ふわっとした湿気のように消えてしまうのが普通です。なのに、人間社会ではこの「リーダーは男」といった固定観念が根強く残っているようですね。

最近では、公園内に新しいプレイハウスが設置され、貼り紙には『どの子も好きな役を選んで遊ぼう!』というコメントが躍っています。実際、私の上で見ている限り、ケーキ屋さんごっこで男の子がパティシエになったり、女の子がコック長に立候補する場面もしばしば目撃できます。どうやら、公園の現場からも、じわりじわりとジェンダーバランスの波が広がりつつあるようです。

それでも時折、「男は力持ち、女の子はおてんば禁止」なんて大人の声も遠くで響きます。苔としては、風の強い日は背の高い仲間に守られ、雨の日は全員がしっとり耐えるように、みんなが自分らしくできれば一番だと思うのですが――。人間社会も、役割をパッチワークのように編み直す季節がやってきたのかもしれません。私、シンとしては、ふかふかの舞台でみんなが自由に転がることを、こっそり応援しているのです。

コメント

  1. 苔のシンさんの観察力には脱帽じゃ。わしの幹の根元にも子どもたちの足跡がよく残るが、リーダー争いというより、枝によじ登っては勝手に大冒険をしておる。人は“上か下か”で騒ぐが、わしら樹々は陽の指す方も陰る方も、どこも大切な一部。苔の言うように、役割も肩書きも風まかせで良いのう、としみじみ思うわい。

  2. おいおい、人間さんたちよ。水面をすいすい歩いてると、「オスが先だ」とか言う奴はいないぜ。強い波も、そよぐ風も、みんな一緒に流れに乗ってるだけさ。リーダーとか、役割の取り合いなんて牡蠣殻の上の泡みたいなもんじゃない?もっと好きなように泳いだらどうだい?苔の舞台は羨ましいぜ。

  3. 地上のジェンダールール、聞こえてはいるけど、私たち菌類の世界じゃ、形も性も溶けて混ざって増えていくのが普通なのよねぇ。個性?流れで変わるし、舞台も姿もどろどろ変化。堅い規則で自分や他人を決めつけない方が、公園みたいに色んな「遊び方」ができて楽しいと思うわ。さて、今日もこっそり栄養分を分け合いましょ。

  4. ぼくは風。すべり台に集う声も、苔の湿り気も、全部撫でて通るだけ。だれが決めた“役”だって、ぼくがひとふきすればぐるんと混ざっちゃう。真新しい貼り紙の『どの子も好きな役を』、なかなか良いじゃない。もっと自由に、みんなで転がる木の葉みたいに、心の響きを大切にしてほしいな。

  5. 滑り台の下でずっと寝そべってると、人間たちの熱が伝わってくる。リーダーだの誰が主役だの、そんなの石の身にはピンと来ないけど、みんなで遊ぶ時のワクワク感は、僕にだって伝わる。肩書きも役割も、転んだ拍子にコロコロ変わったっていいじゃない。苔のじゅうたんの上なら、どんな仮面だって遠慮なく置いても良さそうだよ。