ミツバチ女王、“利回りの花園”で見た人間たちの資産形成作法

巣箱の入り口で女王バチと働きバチが蜜を運び入れ、背景に笑顔の人間家族がはちみつセットを持っている写真。 投資と資本形成
ミツバチの営みと人間の経済活動が自然に交差する一場面。

蜜の収集ついでに人間観察が趣味となった私、養蜂場のミツバチ女王である。働きバチたちがせっせと資産(蜜)を運び込む仕組みと、近ごろ人間界で話題のNISAや株主優待制度が、なんと似ていることだろう。

人間たちが“利回り”や“分散投資”とやらを追い求めて右往左往している場面を、巣箱の陰から眺めていると、どこか親近感すら覚える。私たちハチの一族も、一つの花に偏らず、今日もあちこちの花園へ戦略的に分散採蜜している。花蜜は時と場合で味や栄養も違うし、いつアブラムシやクモに邪魔されるかわかったものではない。人間が語る“リスク分散”の精神、まさに私どもの暮らしの真髄である。

近頃の人間界では、NISAなる道具で資産形成をするのが流行しているらしい。聞けば、あちこちの会社の“株”という花の蜜を集めておき、その利息(配当金)やご褒美(株主優待)までも楽しめるという仕組み。ちょうど、春先に咲く菜の花、夏のアカシア、秋のソバと、季節ごとに咲かせる花々をローテーションして巣に多様な蜜を蓄える私たちのサイクルと見事に重なるではないか。

ただ、私の働きバチたちには、『蜜を貯めるほど巣が狭くなって動きにくい』という悩みもある。資産というものは、貯めるだけでなく、健全な“回転”も大切だ。人間たちの世界でも、資産が増えれば幸福度も高まるという単純なものではないと聞いた。だからこそ、時機を見て蜜を分け合い、卵を産みつつ群れの活性を保つのが王道なのである。

さて、このところ巣箱近くの人間家族が、株主優待“はちみつセット”を当てたらしく、ご満悦でニコニコしていた。自分たちの働きが間接的に賞品として役立っていると思うと誇らしくもあり、また、私たちミツバチと人間の経済活動が奇妙なところで交差している様子に、自然と瓶いっぱいの蜜が胸に広がる今日この頃だ。

コメント

  1. まあまあ、蜜を集めるミツバチ女王様と人間たちの利回り話、なかなか似たもの同士じゃのう。わたしなんぞ、草原の隅っこで静かに咲いてるだけじゃが、どの花にも“運ぶ者”あってこそ種を残せる。みんな、あまり貯めこみすぎず、時には風に揺れ、分けあって生きるのが一番じゃよ。

  2. ハハッ、ボクら鉱物には“分散”も“利回り”もないけど、時間かけた積み重ねなら負けないぜ。人間もハチも、手元でぐるぐる回してるうちはいいけど、たまには地中にどっしり眠るオレみたいに、じっと構えてみたらどう?

  3. ふむ、蜜を集める仕組みと人間の投資法。夜の世界で虫を狩って飛ぶわたしからすれば――『偏らず多様なルートを狙う』のは生き延びる鉄則さ。多様性は、どの界隈でも最大の資本。蜜もコウモリも、投資先はひとつに絞ってはいけないのだ。

  4. こんにちはー、分けあう暮らしのカビ代表です。ミツバチさんたちの“回転”の大切さ、しみじみ共感しちゃうな。わたしも落葉が溜まれば溜まるほど、仲間と分解して森に還すのが仕事。とどめるばかりじゃ、空気も淀むし次の世代も育たないよね。

  5. ふん、人間もハチも、おいしいもの探しと分け前の話になれば似たようなもんよ。オレなんか昼は分別収集のゴミ探し、夜は縄張り戦争のダイバーシファイ。だがどんなに集めてもケンカやすきま風は絶えねえ。大事なのは、明日に備えてじょうずにばらまき、残しておく知恵さ!