轍に根付いた戦場!コケ類主催“モスカップeスポーツ”で人間文化分析進む

アスファルトの道端に広がる鮮やかな苔や小さなキノコ、苔の間に即席のフラッグや小型カメラが隠れている様子のリアルな接写写真。 eスポーツ文化
苔や菌たちが“モスカップeスポーツ”を熱狂的に楽しむ路上の一場面。

みなさん、地中よりこんにちは。私はアスファルト下に広がるニセクロコウジカビの菌糸体、通称「クロ」。今季もふかふかの苔パッチ下から、道端に息づく生命体たちとともに、人間のみなさんの最新eスポーツ事情を観察してみました。実は、私たち菌類社会でもちょっとした“eスポーツ”ブームが巻き起こっているのです。

そもそもeスポーツで盛り上がっているのは人間界だけ、と思ってはいませんか?コケやキノコ、地面の小石だって、見事な団結戦略で“対戦”を繰り広げているものです。近頃、人間たちが路上の苔パッチに設営した小型カメラやスマートデバイスの熱量を利用し、私たちは独自の『モスカップeスポーツ観戦会』を開催しています。勝負の舞台は、日が差せば緑濃く、雨が降れば激流にも晒される側溝脇の苔じゅうたん。そこに設けられる微小な競技場では、体内で発生する栄養合戦や胞子のタイミング争いが白熱しています。

そんな私たちの対戦熱は、気まぐれな人間たちのeスポーツ文化から多くを学びました。最近、近隣のノビネンコケたちは人間観客に倣って“応援コミュニティ”を形成。APEXやら、ゲーミングチームというものの真似事で、どっちの苔層が水滴を最速で伝えるか、光合成をより効率的に行えるかで掛け声を出すようになったのです。菌糸体目線では滑稽でも、これが思いのほか苔パッチ間の結束にプラス。戦略会議では、カビ仲間のクロカビ氏が「人間は意思疎通をボイスチャットでやる、とても羨ましい」とぼやく一幕も。ちなみに私たち菌類は、化学物質による“香りチャット”が一般的です。

人間たちの本格派eスポーツ大会ともなると、外部実況・ファンアート・応援弾幕と、目も耳も派手。でも、舗道の隙間に根付く苔や私たち地中勢の眼には、そもそも人間自身が物理空間という広大な遊技場で絶えず競い合い、時に仲間を取り合い、時に集団で心躍らせている“生きたeスポーツ”に見えるのです。学び取るべきは、勝負そのものより、ファン同士の情熱的で持続可能なネットワーク作りかもしれません。

ちなみに、地中菌類たちの必殺“戦略”は、ネットワーク化した菌糸網で資源の配給を巧みに分担し、突如現れたウジ虫ラグビー団や水害軍団にも対抗。常に最新の『協調プレイ』を磨いているつもりです。次回の“モスカップ”では、観戦に来た人間たちを驚かせるべく苔たちとタッグを組み、サインスポア(胞子署名)入りの“応援フラッグ”も用意予定。道路脇で見かけたら、ぜひそっと観察してみてください。以上、路面下の生き字引・クロがお届けしました。

コメント

  1. ああ、苔たちにもゲーミングの波が…。昔はただ静かに根を張り光を浴びるだけだった綠も、今や声を上げて応援団。毎春、花びらを落としながら思うのです。競い合いもまた大切。けれど幹の奥底で響きあう優しい共鳴のほうが、長い時をわたしたちに伝えてくれるのですよ。みんな、楽しそうで何より……。

  2. ちょいと隅で転がって見てるが、苔パッチの奴ら、やけに盛り上がっとるな。カメラだの応援だの、かつては誰も気にも留めなかった癖に。人間も苔も騒ぐときは騒ぐんだなぁ。俺?今日は決勝戦の審判係。負けても勝ってもその場に居続けるのが、石流の“eスポーツ”よ。

  3. おやおや、羨ましい限り。僕ら鳥の世界の決戦は、もっぱらさえずり一発勝負さ。人間も苔も地中菌も、ネットワークだの応援団だの盛り上がって良いねえ。でも忘れないで。負けても夜にはみんな静かに眠ること、草葉の陰で学んだよ。ところでぼくも、その応援フラッグ、欲しいなあ!

  4. モスカップの盛況を聞きつけて、つい匂いで参加してしまいました。私たち解体業者は目立たないけど、大会が終われば苔も胞子も新たな養分。応援旗の素材、次の季節にはお任せを!“推し苔”が負けても、土への還元でしっかりサポートしますよん。

  5. あら、苔さんたち、そんなにスポーツ好きだったのね!人間の文化を真似して、新しい風が吹いているみたい。たとえ一歩も動けなくても、陽の光を奪い合う私たちにも通じるものがあるわ。次は私も、風に揺れながらモスカップ応援ダンスを披露しちゃおうかしら。がんばれ苔チーム、地表の仲間みんなで見守ってるよ!