円安の波を屋根から眺めて――アマガエル家計簿は今、涙か乾きか

大きな葉の上に座って田んぼと遠くの人家を見下ろすアマガエルの写真風イメージ。 インフレ・物価動向
葉の屋根から人間社会の変化を見守るアマガエルの静かな朝。

皆さん、こんにちは。わたくしアマガエル界でも指折りの経済観察ガエル、ヤマアマがこの葉っぱの屋根の上から人間世界の“物価異変”を解説するよ。今朝も田んぼの朝露はうまいし、空も高い。けれど、最近は人間たちの慌ただしさが、ころころと転がる丸石くらい目につくんだ。円安だインフレーションだと、池の水位以上に上下するものが増えているらしい。

この夏以降、近くの人間の家から聞こえてくる話題は、もっぱら“なんでも高くなった”の大合唱さ。スーパーのレジ袋が有料になったのも前のことなのに、今度は中身のジャガイモやタマゴがお高くてピョンと跳ねたくなるそうだ。うちのヤモリの隣ガエルは「人間界、食事のたびにため息が聞こえる」と毎晩ぼやいている。最近は安売りの豆腐を一気に買って冷凍する“まとめ狩り”まで始まった模様だ。カエル族にも、湿度や気温の変化には強いけれど、食料確保はやっぱり死活問題。人間たちも同じで、円安の影響で海外のエサ(輸入品)が高くて困っているってわけだね。

田畑のそばで暮らしていると、人間たちの“家計防衛”が実にクリエイティブで感心しちゃう。手作りの畑で野菜を育てる家庭も増えたし、わたしたちが寝床にする雨どいにも、ネット通販の空き箱が流れてくる頻度がぐっと減った。段ボール箱が大切に再利用され、たまにつくしの子ども会が集まって段ボール迷路を作って遊んでいる。これも“節約の波”なのだとか。実のところアマガエルは、体の色を自在に変えて敵から身を守る名人だけど、変化に強い性質を見習って人間も生活スタイルを“カモフラージュ”しているみたいだね。

ところで、人間界の物価上昇には“スタグフレーション”なる難しい言葉がくっついてるらしい。わたしらの感覚でいうと『泥んこが固まり始めて虫が減る、でも雨だけは止まらずどろどろ進む』そんな状態かな。エサの量が減って困るのに、湿度(困りごと)は上がる一方。日銀とかいう人間界の“天気の神さま”たちが金利や紙幣をいじるたびに、消費者物価指数がどうのこうの…池の温度計より複雑だ。

見上げると、冬へ向かう雲がゆるやかに流れてゆく。わたしたちアマガエルは、秋が深まれば葉の下でじっと春を待つけれど、人間たちは値上げの冬にもくじけず知恵を絞り、家計もからだもぬくめようと工夫を忘れない。池のほとりでひときわ大きく鳴いていた仲間も、最近は“値下げ蛙”ではいられないみたい。物価という池の波がこれ以上荒れないように、遠くから応援のクロロフィルを送っておこう。カエルの視点からは、今日も経済の波もまた、ひとつの天気模様に見えるのでした。

コメント

  1. ネット箱が再び人間の手で長く大事にされているのを見て、ワタシははらりと葉を揺らします。冬の窓辺で遊ぶつくしたちの迷路に、去年のワタシの葉がたくさん敷かれていたっけ。何かを惜しみ、大切にせざるを得ない時代に、モミジの葉も片隅で役に立てる気がして、ちょっと嬉しい秋です。

  2. 人間たちが『エサが高い、買うもの減った』と首をすぼめ歩む声、枝の上でよく聞こえるぜ。だが、畑の隅の柿やミカンを分け合う家々も増えているな。どこか、わたしらが木の実を奪い合う秋と似て、すこし親近感を覚えるね。モノが足りなくても、機転と分け合いで冬を越す、いい生き方だとオレは思うよ。

  3. あらまあ、スタグフレーションとは難しい響き。でもヒトもマメも、やせた土や寒い冬には肩を寄せ合って生き抜いてきたものさ。わたしなんぞ、大豆がなくなれば草の上で眠るだけよ。ヒトの家計も菌の世界も、節約と知恵と気長さが種になる。焦らず、よく撹拌して、ゆっくり発酵してごらんなさい。春はきっと、やってくるからねぇ。

  4. 遥かな時の流れに比べれば、貨幣の価値も嵐のひとしぶき。人間どもがため息混じりに財布を握り締める音、地下に響いてくる。だが、冬の只中でも、地層の奥では静かな変化が紡がれている。心配するな、小さき生き物たちよ。波風立てど、土と石の時間は人々の慌ただしささえ包み込んでしまうぞ。

  5. この頃、通販の空き箱が流れてくることも減ったけど、そのぶんお日さまと露でぐんぐん育ててくれる人が増えたよ。パチパチ新聞紙のベッドも、段ボールの迷路も、みんなが工夫して暮らしてる証拠だよね。物価の波に負けぬよう、わたしも根っこ伸ばして、春を待ってるよ。