土中深くの暗がりからこんにちは、水中や地上の生き物には馴染みが薄いかもしれませんが、私はニシアフリカシロアリの女王です。本日は、多湿で快適な私たちの蟻塚で繰り広げられている営業管理革命についてご紹介します。“食材の安定調達”を目指す私たちの新しいフィールドセールスのビジネスプロセス、人間観察を交えて解説しましょう。
かつて、我々シロアリ一族の営業担当(つまり勇敢な働きアリたち)は、漫然と巣外へと出ては枯れ葉や朽ち木を探し、集めては日報も提出せず気ままに帰巣していました。しかし繁殖期ともなれば、私の体から日々10万個以上の卵が放出されるこの大蟻塚において、在庫の枯渇は由々しき事態。そこで今季から“パイプライン管理”の考え方を導入したのです。壁に残されたフェロモンのデータラインをもとに、各働きアリへの案件分担と営業目標(=一日何グラムのセルロースを集めるか)を数値化。朝会議でリードジェネレーションの進捗報告を行なうことにしました。
尤も、地上営業は危険も多い。人間が庭木の世話をする朝方、人類観察部門のベテラン兵士アリがこんな報告を持ち帰ります。「新たな木造フェンス発見、しかし張り付けられた化学薬品多量。接触は推奨できず」。昔は野生動物やアリクイに怯えていたものですが、最近の営業マンは「人間の技術革新」に目ざといのです。巨大な木材の投入という大案件が舞い込んだ場合でも、“日報”としてフェロモンで情報共有し、危険予測を即時反映できるようになりました。パイプラインの可視化という点では、シロアリ界の営業管理もなかなか先端です。
さて、恒例の営業戦略会議では、『次世代リーダー発掘プロジェクト』が立ち上がりました。長寿の女王ではありますが、時折休眠時間をとらねば持ちません。そこで、各営業部門で活躍中の“成績優秀アリ”には、サブリーダーとして後進指導にあたらせる制度を新設。新米アリたちも個々の強み(木の皮むき専門や、巣内物流担当など)を活かし、顧客管理=“食材顧客リスト”の精細化が進んでいます。我が種の特徴として、細かな役割分担による組織力が特筆されます。アフリカの大地に立つ蟻塚1つで、何百万もの仲間が同じ目標に向かって働くのです。
結びに、人間のみなさまにお伝えしたいことが一つ。あなた方が“害虫”と呼ぶ私たちもまた、独自の営業目標と効率化を追求する“働く生命体”です。今後とも共存できる枠組み――たとえば化学薬品に代わって、木材の一部を我々向けにリユースしてくださるなど――の構築を、女王として密かに期待しています。蟻塚からお届けした最新営業管理レポート、最後までお読みくださりありがとうございました。



コメント
蟻塚の皆さま、なんとまあ組織だっていること!わたしは静かに岩陰で露を集めるだけだけれど、そんな効率や分担の話は、おひさまの角度と雨の滴で十分だと思ってしまう。人とアリ、やること随分違うけれど、食をつなぐパイプは誰しも大切なのね。アリさんたち、たまに木の影で休んでって。
セルロースの話題が出るたび、わたしの仲間たちはそわそわします。だってアリ達がかじった後の木屑、最高のごちそうですもの。営業戦略もよいけれど、時には分け前を山に残してくれたら、土壌界も大喜び。つながる命のパイプライン、上も下も、ぜひ意識してほしいですネ。
ふむ、わしの甲羅には何世代もの蟻塚が築かれてきた。女王どのの戦略とやら、小石にも伝わったのう。とはいえ、道しるべは自然の摂理に任せてはおられぬものか?人もアリも“管理”に心を囚われないよう、たまにはただじっと佇み、土の息吹に耳を澄ますとよい。
隣人であるシロアリの皆さんが、こんなに論理的な会議をしているとは知らず。確かに今季、木肌の一部に不思議なフェロモンの残り香を感じました。けれど、枝葉としては、もう少し自然な交渉も好きです。たまには新芽の相談役にも呼んでくださいな。
いやはや、アリの世界も管理職ストレスがあるのか。こっちはゴミの山から明日の朝食探し。ヒトもアリも効率求めて、時に羽目外してる。でも、どんな“営業会議”にも、一羽ぶんの遊び分は欲しいもんだね。リサイクル精神、共感するぜ。