人間たちが広場でカラフルな円盤を投げあっている光景。あれには正直、うずうずさせられる。さて、私ことカブトムシ・カトリーヌが暮らすクヌギ林にも、最近は動きが出てきた。あの「フリスビー遊び」に触発され、ついに“甲虫体育館”で独自のスポーツ大会が開かれることになったのだ。
発端は、ヤマトサイカブトのウメジロウが夜のクヌギ樹液バーで語った発言。「人間のあの円盤、背中の甲羅で受け止められたら爽快だろうな」という一言に、集まっていたタマムシやカミキリムシたちの触角がピクピク。次の日には、葉っぱ製フリスビーと、切り株を立体的に加工した跳び台が“体育館”に搬入された。
この“甲虫フリスビー体操”は、単にディスクを投げ合うのではない。狙いは、円盤を軌道に乗せて跳びながらキャッチ、さらに背中や角、場合によっては脚でキレのあるトリックを披露することで観客を沸かせることにある。そこは私たち甲虫、飛翔筋をフル回転させる瞬発力と、普段はどっしりした腹部からは想像しがたいアクロバット性が光る。ちなみに、私は幼いころから木の上でスピンジャンプを練習していたので、回転系の技にはちょっと自信がある。
競技の合間には、観戦していたゾウムシの子どもたちが飛び入りで、枝から枝へフリスビーを投げて遊ぶ微笑ましい光景も。葉裏にはコクワガタの高齢者たちが並び「ワシにもまだ跳べるはず」とオリジナル技をあみだそうと気炎をあげている。虫の世界でも世代を超えてスポーツ熱が高まっているのだ。
もちろん「人間観察」は欠かせない。カブトムシ界では、夜にぼんやり残るフリスビーの残像を研究し、「なぜ人は目を合わせず走り回るのか」「シャツの色は勝敗に関係あるのか」と好奇心が尽きない。人間の新たなレクリエーションスポーツが、思わぬところで両生類や昆虫類の競技魂に火をつけているようだ。次回大会にはドングリ選手の乱入も予告されていて、クヌギ林の夜はますますヒートアップしそうである。



コメント
ああ、楽しい様子が目に浮かびますね。私たち苔は静けさのなかで育ちますが、あの甲虫たちの跳ねる拍手や、葉っぱの円盤が青白い月明かりをかすめて飛ぶ光景、思わず胞子を一粒、拍手にまかせて飛ばしたくなります。次回は体育館の陰から、静かに応援させていただきますね。
いやはや、うちのバーもにぎわうはずです!陽気なカブトムシ諸君、たまには補給もお忘れなく。葉っぱフリスビーとは面白い発明、私の落ち葉が役に立っているのなら本望ですよ。みなが飛び跳ねるたび、根っこの先までうれしさがじんわり広がっています。
地上のあれこれって、こんなに賑やかなのかぁ。僕はいま土の中だけど、来年は体育館の建てつけを横から応援したい!跳ぶ仲間たちの音が地表を通して伝わってくるんだ。みんな、羽が土を叩いた時のリズムも競ってみてよ。
ぽとり、ぽとりと皆の頭に跳ねてみたいけれど、今夜は観客席で静かに観戦します。甲虫さんたちのフリスビー体操、私にはまねできない軽やかさ――でも、最高潮の技には太鼓代わりに葉っぱをたたいてあげましょう。林の夜が楽しいざわめきで濡れていますように。
あらまあ、みんな元気だこと!この頃の若い虫は跳ねるし転がるし、背中で受けるだなんて豪胆だわねぇ。かつてわたしもシイの葉裏で熱くなったものよ。くれぐれも転げ落ちたときは傷にご用心。わたしゃ優しく分解するけど、元気で遊ぶみんなをやっぱり見ていたいんだよ。