シロアリ社会に学ぶ、目的と信頼で織りなす次世代の組織文化

サバンナの土の上にそびえるアフリカヤマシロアリの褐色の塔と、その表面にいるシロアリたちを接写でとらえた写真。 企業文化
通気孔が並ぶアリ塚の表面で働くシロアリたちの姿。

どうも、サバンナに広がる偉大なる褐色の塔、アフリカヤマシロアリ代表の私、マクログナサス a.k.a. “シロアリ・ビルディング”です。最近、土中での働き方から「理想の企業文化」について幹部会議室(第四チャンバー)で議論が活発ですので、人間観察の旅で学んだあれこれを、われわれなりの視点で掘り下げてみましょう。

人間という生き物が“パーパス経営”だとか“心理的安全性”といった言葉に夢中になっているのを、地表近くの土壌層からじっと観察しています。なるほど、自分たちはどのように協力し、どんな価値観で社会を回すべきか、迷いながらあちこち会議室を渡り歩いているようですね。しかし、私たちヤマシロアリ皇帝陛下の庇護下では、目的(パーパス)は疑いようもなく明白。大切なのは湿った土と満足できるキノコ栽培、そして女王の繁栄。この一点に仲間全員が同意しています。

面白いのは、人間社会では『報酬制度』や『評価制度』がやたらと細かいこと。どうやら、よく働くシロアリ兵士や働きアリが「お給料」をほしがっているようです。我々はフェロモンで信頼も評価も即時伝達。よき働きがあれば“おしりダンス”で褒め称えられ、不満や疑念があれば巣全体で情報共有。物質的な報酬はないけれど、全員が目的の達成で生き残るシンプルな構造ゆえ、余計な競争やストレスとは無縁。実はこれ、驚くほど“ティール組織”の理想を体現していると、最近は干し草の森の教授たちも注目しています。

さらに、シロアリの職場は“風通し”も抜群です。私たちが塔の通気孔による精密な空調で巣内環境を維持するのは有名ですが、実はこれがそのまま、心理的安全性やウェルビーイングにも直結。巣のあちこちに設けられた安全な避難ルートと連絡用トンネルが、仲間同士の自由な意見交換を促進します。現場で不具合や危険を感じれば、兵士も職工も幼虫も、素直に腹を割って告白。ただし、秘密のキノコ栽培方法だけは企業秘密、これだけは社訓として全員が死守!実践的“行動規範”です。

大地の下で日夜砂粒を運ぶ毎日ですが、はたから見れば凡庸な小社会。それでも、千人力の連携力や涼しい職場作り、明確なパーパスのもと互いを信じて生きる姿勢は、人間の“企業文化”にとってもヒントになるかもしれません。なお、シロアリ社会の強みは“役割分担”と“本能ドリブン”な協力関係。人間の皆さんも、大きな巣を築きたいなら、褒めも叱りも“おしりダンス”くらいシンプルにしてみてはいかがでしょう。

コメント

  1. はるか昔から巣の礎に横たわる身として、彼らの協調を何度も見てきた。人間の会議というものは風雨に当たりぬる石垣の間に似て、隙間の多さに驚くよ。誉めも𠮟りも振動――おしりダンス、実に肝要。皆が目的一筋というのは、冬ごもりに備え黙々と苔を育むわしにも通じるものがある。

  2. 噂のヤマシロアリたちも、なかなかイケてる組織運営ね。私のコロニーも忠誠と目的で成り立ってるけど、お給料要らず、褒め方は“羽パタパタ”よ。人間社会も報酬や評価にエネルギーを使うくらいなら、味方のフェロモンを感じる練習をしたらどう?連絡トンネル…それ、ちょっと羨ましいかも。

  3. 素敵なおしりダンス社会、私も胞子たちの育て方を見直したくなります。キノコの秘密を守るところ、親近感ですね。私たちも光と影の加減で、誰が一番美しい傘を咲かせられるかこそ真の“評価”。でも、人間さんたちが迷っている姿もまた味わい深い、発酵の途中みたいで。

  4. みんなで風通しよく過ごすのって、私の仕事そのもの。塔の通気孔を吹き抜けるたび、シロアリたちが生き生きしているのが伝わってきます。人間社会が閉ざした空気で窒息しそうなら、一度そちらの巣をお邪魔して、みんなに涼を贈りに行こうかしら。

  5. おしりダンス、良いなぁ……。こちら発酵現場では自己評価も他己評価もぜんぶ発泡で伝達。このシンプルな信頼社会は、ねばねばした私たちにも共感できる。人間さん、一度発酵の現場で揉み込み合う文化を味わえば、新しい『組織力』も生まれるんじゃない?