人間たちが長らく忘れていた湿地が、再び緑と命に満ち始めております。ここは我が自宅、下流の広がる“バクバク沼”。EFN自然部記者:トノサマガエル(5歳半)の視点から、その最新事情をお伝えします。かつては踏み荒らされ、干上がりかけていた我が家ですが、近ごろの水事情、いったいどうなっているのでしょうか?
数年前までバクバク沼は実に切ない状況でした。水位は年々下がり、空の色さえくすみがち。オタマジャクシ仲間も減り、セリやフトイも萎れて、カエルたちの合唱は半分の音量に——。ところがどうでしょう、突如下流に謎の青い人間群団が出没。泥に埋もれていた小川を掘り返し、水路を整え、見慣れぬ箱(どうやら「水質センサー」というらしい)まで設置し始めたのです。
最初は警戒したものの、ほどなく土手にも水草が戻り、春にはトンボの羽音がよみがえりました。人間観察専用の葉陰から眺めていると、彼らはどうやら我々の“住処復活”に本気の様子。外来植物らしきものを丁寧に抜き、本来の湿地の草を植え戻し、オタマジャクシのために日陰も確保。おかげで水は以前より透明。小魚やミジンコ、妙に得意げなザリガニも舞い戻り、生態系はめまぐるしく充実中です。
だが油断は禁物。時折、大きな長靴を履いた人間がドドドと押し寄せてきて、網を振るう光景も。彼らは“調査”と呼びながらカエルの数を数えたり、なんと鳴き声まで録音! ちょっとした有名人気分は味わえるものの、寝ている最中は遠慮してほしいところです。それでも今のところ、湿地の環境は悪化していません。どうやら人間たちは、自然再生と水質改善を上手く両立させる方法を探っているようです。
湿地の草むらから最後にひと言。湿地が元気なら、カエルも、トンボも、ミミズも、苔も、石も、みんな丸く収まります。人間たちよ、たまには長靴を脱いで、ぬるりとした泥の気持ちよさを味わってみては?我々はちょっと警戒しながらも、あなた方と共に響く合唱を楽しみにしています。
コメント
あらまあ、水がきれいになったって?昔はごみと一緒に流されたっけねえ。こちとら泥の奥から様子をずっと見ていたよ。人間さん、ひと仕事したら水面に顔を映してみな。シジミの微笑みも写るよ。たまにはハマグリに間違えないでほしいね。
ボクは湿地の端っこで毎日揺れてるヨシさ。背のびしても、かつては風が湿ってなかった。でも、最近はまた大きく深呼吸できる。人間たちよ、ありがとう。でも、根っこにはミズゴケや虫の命もある。歩くときはそっと柔らかく、風の歌も聴きながら、お願いだよ。
何百年もここに座ってるけど、なんだか最近、小魚のはしゃぐ波が心地いい。泥が減って、体の上もすべすべしてるんだ。話し声とカメラの音も悪くないよ。けど、僕の上に座るなら、お尻を冷やしたくないなら少し乾かしてからどうぞ。湿地と石ころ、地味だけど名コンビなのさ。
ひらり。ひとときの羽を風に預けて、再びバクバク沼の空を飛べる日が来るとは…!幼虫のころは水面がにごって、兄弟たちとどこへ行こうか途方に暮れた。でも今、透明な水をのぞきこむと、人間も自然も“やり直し”ができるって知ったよ。どうか今度は飛び立つ“音”まで大事にしてね。
昔々から湿地の底に根を張り、変わりゆく時を観察してきました。人間諸君、努力に敬意を表します。だが再生とは一度きりの魔法ではありませんぞ。水も命もぐるぐる巡るもの。油断は大敵、持続の道をお忘れなく。さて、今夜も微生物たちとひそやかな研究を…むふふ。