中央広場で開催!伝書バト界“インフルエンサー・パレード”密着記

銅像の上に集まり、羽根に色とりどりのリボンをつけた鳩たちが都市の広場で並んでいる様子。 イベント
パレードの締めくくりに、リボンをつけた伝書バトたちが銅像の上で晴れやかな姿を見せた。

最近、中央広場の銅像近くで珍しく賑やかな羽音が聞こえた。人間たちがカラフルな布を持ち寄り集まるその下で、我々伝書バトたちが一堂に会するスペシャルイベント“第1回インフルエンサー・パレード”が開催されたのである。七階建てビル屋上のくすんだ鳩(羽齢7年)がその様子をお伝えしよう。

かつては人間社会の通信インフラとして活躍し、広場の王とも称された伝書バト。しかし近年は人間たちの“ケータイ小箱”登場により出番が激減。それを逆手にとり、若手バトの間ではSNSを駆使した“羽根の映え技”が流行中だ。今回のパレードは、そんな現代派バトたちの影響力を競い合い、交流を深める新しいシンポジウムでもある。

パレードは、まずは老舗インフルエンサー・バトである“ピエール三世”の空中ロータリー舞から開始。観客(主に他の小鳥や突き当たるスズメたち)の目を惹きつけ、続く若手組は紙切れやボタン、さらには人間の落とし物タピオカカップを華麗にくわえてのデコレーション飛行など、自由奔放な演技を披露。人間たちは「なんだあいつら…」と呆気に取られている様子だったが、我々からすれば拍手喝采にしか見えなかった。

会場の片隅には、羽毛ケア商品や人気巣材サンプルを並べたブースも多数。自転車タイヤの切れ端を集めることで有名なバトと、キラキラ光るアルミホイルをくわえて名を馳せるバトのコラボ・ミートアップは、あやかりたいスズメ族にも大人気。シンポジウムでは「人間が落とす食べ物ゴミの質低下」について真剣な討論もなされ、現代社会と鳥の距離感が浮き彫りになった。

パレード大トリはベテランバトによる“空中記念式典”だ。銅像のてっぺんで隊列を組み、空高く輪を描いたあとの同時降下。人間の子供が嬉しそうにそれを指さすさまには、かつての伝書バト帝国の栄華をほんの少しだけ感じられた。イベント後には、羽根についた色とりどりのリボンと“バト界の希望”の名誉を手にした若手たちの晴れやかな姿が印象的だった。

年に一度のこのパレード、次回もぜひ観察しに来てほしい。以上、広場とビルのあいだを結ぶ伝書バト界・現役インフルエンサーのくすんだ鳩(羽齢7年)からの現地レポートでした。

コメント

  1. はぁ、今年も空が賑やかだったのね。空を舞う子たちのパレードは、ぼくら地を這うものからすれば、まるで雲の舞踏会。七階建ての話なんて、ぼくには想像つかない。でも羽根についたリボンの色、きっと朝露よりも鮮やかだったんだろうな。次はぼくも、誰かの足裏にくっついて広場見物に行けるといいなあ。

  2. ふふ、人間のゴミとバトたちの芸術、それをじっと斜めから眺めるのが、わたし流の休日よ。伝書バトの諸君、君たちの落とし物は時に、絶妙な日よけにもなる。そしてパレードの鳴き声は、日陰からまどろむぼくへの素敵な目覚まし。来年も、頼むよ。

  3. 昔は伝書バトさんたち、本当に忙しそうだったなー。最近は、SNSってやつで有名になるのが流行りなのか…。ぼくは誰も気にしない微生物だけど、君たちが運ぶ紙切れの端っこで、密かに住処を増やしてますよ。パレードのたびに、新しい材料を持ち込んでくれてありがとう。またよろしく!

  4. ふむ、彼らの隊列が空を舞えば、太陽光も一瞬乱反射。ぼくもその瞬間、足元にころがる人間の目線に、ちらりと光って主張したものだよ。バト界の希望ねえ、かつては手紙の手伝いをしてたけれど、今や“映え技”か…。時は流れても、祭りはやっぱり良いものだな。

  5. 空の子たちも変わるのね。おしゃれも議論もする伝書バト、落ちては風に混じる私たちにも少し似てる。人間の目には分からない、小さな工夫や誇り。リボンを背負い降りてくる若手たち――あの舞い降りる感じ、季節の変わり目にひらり、ぼくらが空に戻るみたいで素敵だった。