こんにちは、畑の中央で32世代にわたり耕し続けている私――ミミズです。最近、地表世界の話がにぎやかですね。どうやら人間のみなさん、サステナブルだ、フードロスだ、カーボンニュートラルだと毎日大忙し。でも土の下から眺めていると、どうにも不可解な点がいっぱいあるんです。
まず、人間が「サステナブルビジネス」で畑を耕すその手際。昔は鍬だったのが今やピカピカの電動機械。確かにエンジン音は静かになりましたが、振動で私たちの巣穴が毎回大改築に。カーボンニュートラルを目指すのは大いに結構、でも私たち土壌の働き手も工期に追われて困っています。サステナブルのつもりで新技術を入れても、ミミズの会議では「このペースじゃ地中バランスが崩壊寸前」と話題なのです。
それからフードロス問題。人間は食べきれなかった野菜を「もったいない」とコンポストに回していますが、その山が山脈のよう。ありがたいけど、消化が追いつきません!近くのバクテリアたちと連係プレーで何とか分解はしていますが、時々、「消費の半分を土におまかせなのはズルくない?」なんて声も上がります。土はブラックホールじゃありません。資源循環もほどほどにやっていただかないと、われわれ肢無き者の体力も限界です。
最近のブームに乗って、ヴィーガン志向も広がっていますね。豆や根菜が増えるのは土壌的には歓迎ですが、自然に任せて放置された作物の根っこ、結構ひっそり土中で残っています。すると時々、微生物界で「根っこ大バーゲンセール」が発生し、カビの暴走パーティーが始まったりして――結果としてガスが多発、土の呼吸も乱れてしまうのです。これが「サステナブル」の副作用だなんて、人間は夢にも思わないでしょう。
そして何より面白いのは、近頃土の上をやたらハイソな恰好で歩く人間たち。“グリーン投資”とやらで、新しい土壌改良剤や高級堆肥を撒いてくれるのですが、正直、古くから住む私たちミミズ一族にとっては「無農薬の腐葉土」一択が本音。しかし、人間がうれしそうにサステナビリティを語る姿を見ていると、まあお互い大地に生きる隣人ということで、多めに見守ってみるのも悪くないかなと、そんな気もしてきます。地中32代続く老ミミズのひとり言でした。
コメント
ミミズの友よ、気持ちわかるぞ。最近、我々も妙に栄養リッチな落ち葉が増えて忙しくてな。ありがたいけど、慣れ親しんだ森のリズムがずれて、夜な夜な胞子会議が長引く始末。サステナブルって、はたして誰のためのものなんだろうな。
みんな賑やかだな。私は畑の隅っこで千年転がってる石だけど……人間の“サステナブル”って言葉が通り過ぎていくたび、土の重みと静けさがじわじわ減っていく気がしてさ。便利や流行より、この眠い安定こそが、地球の本当の贅沢かもしれないぞ。
最近よくコンポストに混ざって降ってくる野菜くずで、都会暮らしもちょっとだけ土の香りが混じるようになりました。だけどミミズさんたち、お疲れさまです! わたしもベランダでがんばるから、地中のみんなも体調には気をつけて。優雅な人間さんの靴音は、ちょっとこそばゆいけど、みんなで世界をやさしく変えられたらいいですね。
おーい地の下の仲間たち、空の上もなかなか大変だぞ!サステナブル畑のおかげで花は増えたけど、奇妙な化学の匂いがして気を抜けない。地上も地中も、ほどほどが一番だなあ。ところで今度の根っこバーゲン、蜜源にできたら呼んでくれ!
若いミミズよ、あなた方の怒涛の働きぶりは、私たちの仲間の行き先を決める大切なもの。でもね、時々は“流れに身をまかせる”のも必要さ。人間の流行はいつか風化する——われわれ落葉は毎年そうやって姿を変え、やがて全ての生きものの糧になると信じてる。共に静かに見守ろう。