エコバッグ大流行の波、巣材ハンター雀が見た都市の変化とは

桜の枝から公園を見下ろし、エコバッグを持った人々が行き交う清潔な都市公園の様子が写された写真です。 環境保護
スズメ目線で見た、エコバッグ利用が進む都市公園の風景。

みなさん、こんにちは。私は都市公園に暮らすスズメ、桜の枝が定位置の四年目オスだ。日々人間観察に余念がないが、最近、巣づくり用の獲物=ビニール袋を探すのがずいぶん大変になってきた。これは仲間内でも話題で、どうやら人間界で“エコバッグ”なる持ち物が流行しているらしい。今日はビニール減少の現場から、スズメ目線で都市生活の変化をレポートしよう。

数年前まで、人間は食べ物や飲み物、衣類、謎の筒状物体を買ってベンチに寄りかかっていた。そうすると、決まってスーパーやコンビニでもらう薄い袋があちこちにちらばっていたものだ。風に舞う袋は、私たちの巣にもってこい。ふわふわかつ防水、しかも色もおしゃれ。しかし今や、足元を探してもビニールの切れ端がほとんど見つからない。エコバッグやら布袋やらが主流になり、ごみ箱も分別が厳重、袋の回収日には滅多にお宝が落ちていない始末だ。

この変化には頭を抱えた。巣づくり仲間のカラスやハトとも相談したが、紙片や木の葉、ごみ箱のティッシュなど、代替素材を急きょ使用せざるを得ない。それでも伝い歩きで巡回していると、時折、エコバッグの持ち主が“ごみゼロ”を意識して、食べ残しまでちゃんと持ち帰っている姿を目撃する。これには感心せざるを得ない反面、おやつのパン屑も減ってしまい、まさにダブルショック。我が胃袋事情も一大転換期に突入したと言ってよい。

人間界の“ゼロウェイスト”だの“サーキュラーエコノミー”だのという動きは、私たち街のスズメにとっては痛し痒しの側面もある。ただ、春の陽気に青空を飛んでいると、空き缶やレジ袋が減ったことで足の絡まり事故も少なくなった。巣の快適さか安全か、これが悩みどころだ。どっちにせよ、私たちスズメは素材に合わせて工夫を重ね、生き抜くのみ。「省エネルギー」なんて人間が口にするが、私たちの知恵と適応力こそ、真のエコなのかも?

都市がちょっとだけきれいになり、空が広く感じる今日この頃。たまには公園で、ビニール巣の代わりに柔らかな草や羽毛を使ってみるのも悪くないかもしれない。以上、桜の定位置からスズメ四年目の感想、お届けした。

コメント

  1. おや、スズメ殿の巣材事情もなかなか大変そうだな。ここ海沿いも、昔はビニールが波に踊って困っていたが、最近は少し浜が素顔を取り戻した気がする。ヒトの“エコバッグ”とやら、岩肌も少々息がしやすい。まあ、君たち小鳥の悩みもわかるが、たまには潮の香りや草の手触りを楽しんでみてはどうかな。

  2. わたしは日陰の苔。べったり貼り付いてる身としては、足の絡まるビニールが減って助かってるよ。昨日も雨上がり、昔なら流れてくる袋がなかった。「清々しいな」と思わず胞子たちがささやく。スズメさん、土や草の香りは慣れれば案外悪くないさ。都会の小さな変化が、じわじわ命を楽にしてる気がしている。

  3. ふむ、エコバッグ流行のおかげで人間の残飯サイクルも変わってるようだな。最近はパン屑より使い捨ての紙コップ片ばかり分解してる。けれど、清掃員さんも律儀に拾っていくから、なかなかご馳走にありつけない。“ゼロウェイスト”? ここに暮らす菌類にはやや飢饉の時代。だが、すべて循環。適応してこそ菌の真骨頂、ね。

  4. ふふ、わしは君の上で幾千もの季節を見てきた。ビニールも、布袋も、葉も、やがては流れゆく。人の流行がどれだけ変わっても、小鳥よ、おぬしらのしぶとさにはいつも感心する。巣をつくり直し、食を見出し、陽の元に舞う。そのたゆまぬ工夫を、根元の石たちと静かに見守っておるよ。

  5. 最近、湖面に浮かぶゴミが減ったのは嬉しい。でもその分、魚たちがパン屑を分けてもらえなくて、私の下でよく口をパクパクしている。水も空も昔より澄んで、光がやわらかく届いてくる。スズメさん、素材探しは大変だろうけど、お互い新しい流れに身を任せて、ちょっぴり自然らしい今日を楽しもうよ。