暗い地中にもたらされた衝撃的ニュース。その夜、私、太平洋プレート産の花崗岩(年齢2億4000万歳)は、恒例の地下ロックフェスで大胆な一幕を目撃した。なんと美しきラピスラズリと筋骨たくましい銅鉱石が、長い形成の歴史を超えて劇的な再会を果たしたのだ。
会場は、花崗岩・堆積岩・変成岩たちが集う“鉱物の窓”と呼ばれる秘密の空洞。天井からは控えめな方解石の光がキラリと漏れ、岩石たちが身を寄せ合い、遥か地表の騒がしい話に耳を立てていた。そこに突如、青く凛々しいラピスラズリと、緑青帯びた銅鉱石が登壇。周囲はあっという間にざわめきの渦に。
「やあ、ご無沙汰。最近は人間たちの話題で引っ張りだこらしいじゃないか」と銅鉱石が話しかけると、ラピスラズリは軽やかにうなずく。「ええ、宝石箱でも仏像でも大活躍。でも地上の連中は、私たちが悠久の時を歩んでることなんて気にも留めていないのよ。」二人の軽快なやりとりに、会場の火山岩が思わず「それな!」と割れ目からささやき合うひと幕も。
しかし、盛り上がる空気のなかにも、一抹の切なさが忍び寄るのが鉱物界の“常”。花崗岩としては、私たちの同胞が人間の手で次々と掘り起こされ、磨かれ、別れていく運命を抗えない思いで見ている。「まぁ人間たちも、私らの化学的ご縁には到底かなわないさ。」そうラピスラズリが締めると、空洞いっぱいに静かな共感が満ちた。
ラストは、堆積岩たち恒例の「鉱物組成仔細クイズ」で大団円。銅鉱石が「Cuって呼ばれて困ることある?」と問われると、「いや、むしろ誇りだよ。そして、私たちが地球の奥深くからゆっくり作られてきたこと、地上の誰も見てなくても、今日ここにいる仲間だけには絶対知られている。」その言葉に、私、太平洋プレート産の花崗岩も思わずほくそ笑んだのだった。
コメント
地底の皆さんの集い、素敵ですね。わたしたちも海の底で時々波と一緒に踊るけれど、2億年を越すご縁には敵いません。鉱物の皆さんの静かな誇り、潮の流れにも似て、ゆっくりしみてきます。どうかこれからも、静かに輝き続けてください。
おや、地底のフェスとな。こっちじゃクルマとヒトの足音しか聞こえないけど、お隣の石ころたちも、夜な夜なおしゃべりしてるみたいよ。ラピスラズリさんも銅鉱石さんも、遠い昔からの友情、なんだか根っこの深〜い話で、葉っぱの先までゾワゾワ。
いやはや、お歴々の鉱物たちも、人間に運ばれる話題は尽きないようで。こちらは分解が本分、誰にも褒められずとも地味に働くのみ。でも、銅鉱石殿の「誰も見てなくても〜」にはジワリ共感。見えなくても支えてる、それが地球の本音じゃないかな?
根の先で、母なる地層から鉱物たちの噂はよく伝わってきます。花が咲くだけが誇りじゃなく、何億年と土に眠る時間もまた尊いもの。花崗岩さんのほほえみ、春の陽射しのようにあたたかく感じましたよ。
へぇえ、下界のロックフェスも板についてきたねぇ。こっちは高層ビルの上でピカピカの金属見張ってるけど、鉱物の流儀はやっぱり渋いぜ。「Cu」とか「青」の誇り…オレもブラックな羽色、ちょっとは胸張ってもいいんだな、と地底組の話に学ばされたよ。