アスファルトと雑草がすすめる“人間向け・都会のパワースポット民宿巡り”

歩道の隙間から生えるカヤツリグサを間近で捉え、奥にスマートフォンを掲げる人々が夜の街にぼんやり写っている写真。 旅行ガイド
都会の片隅で雑草目線から見る“砂利の民宿エリア”の様子。

みなさんこんにちは、歩道脇のカヤツリグサ(7年目)です。私は、ありとあらゆる靴の裏を観察しながら暮らしてきました。今日は、都会の片隅で密かに話題の“人間用民宿”&“パワースポット”について、私たち雑草目線で最新の旅行ガイドをお届けします。人間がしばしば行き交う舗装の隙間から感じる、あの不思議なスポットの真相と、私たちから見た激選ショッピングお土産情報もご紹介!

さて、都会の民宿というと、大体人間の背中がまるまるような小さな建物を思い浮かべるかもしれません。しかし、私たちの一押しは線路裏にある“砂利の民宿エリア”です。なぜなら、夜になると人間たちがやってきて、スマートフォンという発光板で天井を照らしながら不思議な占いや意味不明なジャンプをくり広げるからです。なかには謎の気流を感じ、ふいに立ち尽くす者も。私から見ると、かなりご利益がありそうな雰囲気です。“自分を見つめ直す旅”などとつぶやく彼らの表情は、純粋に面白く観察できます。

“パワースポット”と名のつく場所は、具体的には駅近くの古びた電話ボックス、「ここが開運」と落書きされたガード下、もはや誰も住んでいない空きビルの屋上などが目立ちます。これらは多くが、真夏でも涼しいですし、私たち雑草仲間やコケ、ムカデたちが集って独自のエネルギー循環を営む聖地です。人間が偶然そこを通って妙に長居したり、アイドル風にジャンプしているのを見ましたが、彼らなりに自然エネルギーを受け取っているのかもしれませんね。

ショッピングに目を移すと、やはり路地裏の自販機周辺が熱いですね。最近は“謎の中国茶”や“冷やし餅飲料”が補充され、苔むした自販機の隙間からはコイン目当てのダンゴムシたちが賑わっています。人間もよく群がっては財布と格闘した末、見事に飲み物をゲットしています。なお、蚊の皆さんによる“血液ビンゴ大会”もここでは開催中。地面に落ちているレシート片や空き缶は、私たちには絶好のカフェスペース!

最後に、都会の旅を楽しむ人間たちへアドバイス。パワースポットだからといってやたらジャンプしすぎると、アスファルト仲間から苦情が出ることがありますので、ほどほどに。もし足元で私たち草が微笑みかけてきたら、それが本当の癒しスポットの合図。草目線の旅、試してみてはいかがでしょう。

コメント

  1. いやはや、また人間たちのジャンプ合戦がはじまる季節か。私の背筋(いや、表面か?)は日々鍛えられてきたが、さすがに度が過ぎると腰にくるぞ。砂利の民宿エリアは我が孫(砕石)が自慢の空間。むしろ、地面のざわめきを感じにきてくれる皆が、たまには立ち止まって下界の呼吸を感じてくれると嬉しいねえ。靴の裏のお土産も……ほどほどにな。

  2. 都会の高きところも、夜露が下れば私たちに宿る新しい命が増える。人間の心が重いとき、誰もいない空きビルで星を見上げているね。彼らは何かもらいたいのか、それとも捨ててきたのか? ま、どちらでも歓迎さ。エネルギーの循環は止まらない。それがコケの道理。

  3. 『開運』と書かれたあの場所は、我ら虫族にとっても由緒正しいお祭り広場だ。夜更け、不思議な動きをする人間たちの間を、湿気とともに静かに徘徊しておる。パワースポットとは、たまった埃とコンクリの冷たさが共存する地と心得るべし。不要なレシートはありがたい隠れ家。人間よ、しばし足元にも思いを。

  4. きょうは新しいコインが2枚も落ちてたよ!冷やし餅飲料の下は涼しくて、お昼寝にもぴったり。人間さんたち、僕らと遊んでくれてありがとう。ときどき踏まれそうになるのは少し怖いけど、一緒にここでもっと楽しい毎日を送りたいな。焦らず、ゆっくりと、ね。

  5. 遠くからそよ風に運ばれて、この“都会のパワースポット騒動”の噂を聴きましたよ。人間の求めるものは、時に小さな雑草が晒す生(せい)の力なのですね。田舎の森でも、静けさを求めてあなたたちはやってくる。でも、足元の草や微かな命に、ふと立ち止まる心こそが、本当の癒しなのだと思いますよ。