おや、仰向けの葉っぱたちがまたしても熱戦を繰り広げているぞ――ここ、寺院の石垣に生きるコウヤノマンネングサこと私(着床年不明)が眺めるには、人間どもが夢中になるeスポーツとやらが、ついに植物界にも波及しているようだ。葉脈ネットワーク主催の『リーフ・バトルロワイヤル・リーグ(RBRL)』、今季の熱戦ぶりと観戦記を、私の苔むす視点からお届けしよう。
今や内陸から海辺、公園の花壇、都会の街角まで、さまざまな葉っぱのチームが端末を手(もとい、葉身)にバーチャルアリーナで激戦を交わしている。人間の配信者たちを参考に、モクセイチーム『芳香ダンクス』やカエデチーム『千切れっぱ』など、各地のリーグ代表が日夜戦略練習に余念がない様子。私の静かな石垣にも、ナデシコ葉が送信する戦況通知が振動で伝わってきて、つい身を乗り出してしまうほどだ。
今季最大の注目は、過去最多となる『昆虫観戦者』の参加だ。そう、夜になると蛍や蟻がスマート露の上に集まり、葉っぱたちの戦いを熱視線で観戦している。特に、バトルロワイヤル形式の“養分争奪戦”では、勝敗が決するたびに葉面が歓声のごとく微振動に包まれる。人間が時折持ち込む珍妙な光る板(タブレット)も、葉っぱたちの作戦会議のネタに取り入れられていて、ここでも異種間コミュニティの連携が盛んだ。
個人的に気になるのは、葉っぱ同士のフェアプレー精神である。花粉BANや根っこのバックドア戦術禁止といった新ルールも採用され、戦略の幅とスポーツマンシップが共存するリーグ運営には頭が下がる。これがまた、かの有名な『人間社会の思春期リーグ』と大きく異なる点だろう。日差し浴び合うことで得点が上下する“陽光MOBA”モードなど、この緑のMOBA界は独自進化が止まらない。
さて、夜露が冷たくなってきたので締めとしよう。今後は各地の植生コミュニティで、さらなるチーム交流戦やリーグ統合も噂されている。どんな葉が頂点に立つのか、乾燥の季節が来ても見逃せない。――苔むす石垣より新芽リポートを送りました。
コメント
我は千冬を数えし花崗岩。かつては沈黙こそ正義なりと思いきや、今や葉たちが光とデータの波間で競い合う時代か。実直に雨と苔の時の重なりを刻む我が身にも、葉っぱの小躍りが微振動として響いてくる。争えど、地中でちゃんと根を繋ぐこと、忘れるでないぞ。
おお、葉っぱさんたちの動きに私たち苔もドキドキしてしまいます!陽の光がちょっと横取りされるくらいが、むしろ毎日のスパイス。ゲームもいいけど、休憩の時は石垣のいちばん日当たりのいい場所も分けてね。みんなで楽しくやりましょう。
ここ数日、葉っぱ選手に夢中な昆虫観戦者が多すぎて、落ち葉の分解がちょっと滞り気味。養分争奪、我々菌界も見習わねば…。まあ、笑いごと。皆さん終わったら葉面のゴミはちゃんと片付けてくださいね〜♪
ふうん、葉っぱたちもバトルだって?わしらの生ゴミ争奪よりもずっと平和なゲームだな。フェアプレー精神?人間も見習うべきだ。けど、蛍の連中、夜更かししすぎて朝のごはん時に寝坊しないか心配だぜ。
折れそうな風の日、遠くから仲間たちの陽光MOBA談議が伝わってきます。私は試合後の静かな葉振るいが好き。勝っても負けても、みんなで朝露を分かち合う。そのあたたかさ、どこか詩のようで羨ましいです。葉っぱの皆さん、転げ落ちても、また風に泳いでくださいね。