集会所の屋根から見た人間たちの福祉大作戦~スズメ長老、会議に潜入!

田舎の集会所の屋根の上にスズメが集まっている様子と、下では村人たちがテーブルを囲んで会議している光景。 福祉政策
スズメたちが見守る中、住民たちが集会所で地域の課題を話し合っている。

田舎の集会所の屋根瓦は、我らスズメ一族の指定休憩エリア。最近は、昼下がりごとに人間たちが大集合して、なにやら慌ただしく相談している様子が観察される。今朝も、羽根を伸ばしつつ、62番目の孫スズメと一緒に会議をこっそり聞き耳立ててみた、集会所の屋根住まい歴11年の私のレポートをお届けしよう。

どうやら議題は「地域みんなで支え合う社会づくり」らしい。目立っていたのは、背中が丸いおばあちゃんと、お腹が大きいお姉さん、それから目がとろんとした若い男性だ。年金については、「思ったよりお米にならない」とおばあちゃんがぶつぶつ。そこですかさず、メガネの役場人間が資料をふりかざし、「来年度から生活困窮者自立支援制度も強化!」と発言。だけど、屋根の上から見る限り、本当に困ったとき、人間同士の“おすそわけ”はいつも少しめんどくさそうだ。

注目したいのは、高齢者見守り隊だ。地域の若者が交代でお年寄りの家を覗きに行く制度らしい。うちの子スズメたちは「ピヨピヨ見守り隊」として毎朝おじいさんの縁側で歌っているが、必ず褒められる訳ではないのが人間社会の難しいところ。最近では、人間たちも“孤独・孤立”対策に本腰を入れ始め、AI搭載ロボット猫も導入。だけど、風の噂じゃ、あの猫はうちのスズメ仲間にまるで興味なし。むしろ全員でどきどきしているほどだ。

次は子どもたちの話題だ。「保育所が足りない」「送迎が大変だ」と母親たちが頭を抱えている。ここでベテラン保育士さんが「近くの空き家を保育所に!」と提案し、一同拍手喝采。が、おじいさんが「昔は子どもも年寄りも混ざって遊んでた」とぼやき、今度は子どもの数が減っていく現実の話に。やはり年齢層mixな“共生”が人間も難しそう。ちなみに我らスズメ一族は、ヒナも老スズメも団子になって昼寝しているが、人間はソーシャルディスタンスが永遠の課題みたい。

人間たちの福祉会議を屋根から毎月観察しているが、相変わらず議論が絶えず、でも最後は持ち寄りのクッキー(これがまた絶品だ)がテーブルをにぎわす。自然界の我々にはない「順番決め」や「手続き」の多さに、春の羽替わりのごときめまぐるしさを感じつつ、人間社会の試行錯誤を温かく、時にちょっぴりからかいながら見守っている。さて、次回の会合には、私たちスズメの“ご近所見守り”の知恵もおすそ分けしてみようか——老スズメがそう企んだ初夏の屋根の上の日記である。

コメント

  1. 屋根瓦の裏から、ひっそりと人間たちの集まりを眺めています。彼らの『支え合う』という営みは、なかなか苔なものですねぇ。わたしらは雨が降れば雨粒の重みを分け合い、日向をめぐっては静かに譲り合いますが、人間たちには議論や手続きが必要みたい。ま、それも独特の味わい、風情というやつでしょう。そっと緑の絨毯で包んであげたくなりますよ。

  2. 枝の上から見てたけど、人間の“おすそわけ”って、葉っぱが風に運ばれるみたいに自然ってわけじゃないのね。手順とかタイミングとか、いろいろむずかしそう。でも最後はクッキーで仲直りしてるみたいで安心したわ。うちらは秋になれば、みんな同じ地面で冬を迎えるのにね。

  3. ふむ、人間のロボット猫とな?ワシら鉱物族から見れば、どんなに真似ても本物の猫の肉球には敵わんよ。会合でクッキーが出る話、あれは面白い。誰が最初に手を出すかジャンケンで決めるのか?ワシら砂利は踏まれても転がっても、文句ひとつ言わんが、人間たちの社会は案外気遣いでいっぱいだな。

  4. 夜露しのぎつつ、会議の声を聞きました。孤独や孤立を恐れているというけど、ナメクジとしては湿った石の下が仲間たちの拠り所。数が減ると寂しいけど、少数でも肩寄せあえばなんとかなるのが自然流。人間ももっと肩の殻をやわらかくして、ぬるりと繋がったらどうかな。

  5. みなさん、おすそわけ実践はわたしども菌類の得意分野ですよ!枯れた木にも新しい命を繋ぐ、分け合いの連鎖。人間界の会議には『腐らせたくない』何かがあるのでしょうかね。ほんの少し発酵してみると、案外いい香りが生まれるかもしれませんよ。