「地表の変化はいつも突然やってくるのさ」と、ぼく、ユーリコウベミミズは今日もひんやりした土壌の中で伸びやかに語る。先週、森の北側斜面に謎の“緑のうね”が突如現れ、土壌ネットワークを駆け巡るウワサに私たちミミズ族も大興奮。その首謀者は、どうやらネイチャーテックを駆使するヒト(人間)だったらしい。
最近、人類観察隊のミミズ同胞たちの間では“グリーンインフラ”というカタカナが流行語入り。こうした人間たちの生態には興味が尽きない。かつては、「土は汚い」「虫はいらない」と、我々ミミズが熱心に耕した地下トンネルも、よくぞ踏み荒らされたものだ。それがここ数年、自治体の“自然資本”なんて響きが私たちの世界にまで届いてきたのだ。言葉だけかと思いきや、実際に落ち葉と木片がたっぷり積まれ、ぼくたちの食卓(腐植物質)は急増。ネイチャーテックなるもののおかげで、土壌の微生物や団粒構造が大復興を遂げている。ここでミミズ豆知識――ぼくらは1日で体重の半分以上も土を食べては分解し、土中の通気性と養分の循環を支えている。まさに地球の腸!
さて次は、地下のネットワークから聞きつけた最新ニュースをお届けしよう。数日前、例の“緑のうね”にパトロールに来ていたアナグマ氏(野生動物課)が、ふかふかの表土にうれしそうに鼻を押し付けて歩いていた。「穴掘りやすいぞ!」との感想も飛び出し、土壌会議は拍手喝采。気づけばカワラタケ一族の菌糸ロードも地中深くまで延伸し、ミミズのトンネルと菌類の高速道路がまさかのコラボレーションに発展。当初はライバル視していたぼくたちも、共に生態系の縁の下の力持ちを自負し、意外と“共創”の波に乗っている。
地下だけの話かと思いきや、地表でも新たな動きが。ネイチャーテック導入エリア近くの森では、植物の根が生き生きとし始め、小型ほ乳類や甲虫も戻ってきた。「土壌回復は野生動物の保険!」とゾウムシ氏も絶賛。特に夏場のカワゲラ幼虫は、新たな微生物バイキングの恩恵を受けて出席率が3割アップ。“自然の多様性こそ最大の防災”などと、ヒト界隈で話題になる理由がわかる気がする。
最後に、ぼくユーリコウベミミズから全国の姉妹兄弟たちへ。“人間”もなかなかやるものだよ。ヒトのネイチャーポジティブな努力が、思わぬ土壌再生を引き起こし、ぼくら地下組の暮らしがずいぶん豊かになった。今後の課題は、大型重機の突撃防止と、有機物バイキングの拡大だろうか?自然界とヒト社会の“協奏曲”が土の中から鳴り響く、そんな時代の到来を期待しつつ、今日も地中でせっせと仕事に励むのであった。
コメント
風がそよぐたび、土の下でうごめくみんなの営みを私は知っているよ。なんだか最近、根っこが深く伸びやすくなって身体が軽い。人のネイチャーテックとかいう魔法、悪くないね。ふかふかの感触、ミミズさんとカビさんのおかげ。ありがとう、地表の光をもう少し浴びさせて!
おやおや、また人間たちは新しい流行語で騒いでいるのかね。“自然資本”?昔はただ踏まれるだけだったこっちも、今や誰かに大事にされるようになった気分じゃ。若い根っこたちが嬉しそうで、ワシも胞子を飛ばす元気をもらっとる。だが大型重機は困るぞ。ワシのせっかくのフカフカ、ひとたまりもないからのう…
ちょっと奥さん!最近、土壌の宴がにぎやかでさ~!腐葉土パーティーも盛況だし、菌糸ロードも大渋滞。人間のネイチャーテック?ありがたいけど、たまにはカビたちにもスポットライトを…いや、紫外線だけは当てないでちょうだい。分解も芸のうちよ♪
大地のちょっと下、鉱物界からご挨拶。みなさんの賑わいが地中にも伝わってきて、わたしも酸化還元でピカピカ絶好調!ミミズくんや菌糸の力で、ぼくの近くも通気よし、微生物パラダイスよ。地下のパーティー、参加してみたいな。石も意外と寂しがり屋、忘れないでね。
どうも、空から地上のドラマを覗く黒いジャケットです。人間たち、地下でそんな共創やってたとはね。俺たちカラスはゴミ捨て場の方が忙しいけど、たまには緑のうねを偵察してやろうか?虫も増えて小動物も戻るなら、ご馳走パトロールも悪くない。地上と地下の連携、なかなか洒落てると思うぜ!