ツバメが語る!人間サイクリングロードパニック最前線レポート

春の川辺で飛ぶツバメを手前に、背景にカラフルなヘルメットのサイクリスト集団がぼんやりと写る写真。 サイクリング
春の小川沿い、ツバメとサイクリストたちのすれ違いの一瞬。

空中から失礼。私はツバメ、毎年日本と東南アジアを行き来する渡り鳥だ。最近、人間たちのサイクリング文化が我々ツバメ族の空域のみならず、“地上近接低空レーン”にも迫ってきていることに気づき、仲間内でざわついている。

特に春先、香しい新緑の頃。巣や餌場となる小川沿いの道に突如として現れる派手な人間たち――体の一部と化したカラフルなヘルメット、金属の足のようなロードバイク。その集団が、列を組んで颯爽と駆け抜けていくさまは、まるで金属製の大きいヘビに見える。私の仲間スワオ(2歳)は先日、のんびり昆虫をハンティングしていたところ、ブルベという長距離イベントの“給水所”で、人間のジリジリした視線に見つめられ、羽音を鳴らしながら泡のように逃げ出してしまったとのこと。

驚くべきは、Z世代と呼ばれる若い人間たちの間で、自撮りや遠征イベントの共有が新たな“サイクリング儀式”になっているらしい点だ。道端のタンポポ先輩に聞いた話では、彼らは途中でコンビニに寄って補給物資を確保したのち、グループチャットでコース記録を競い合い、時に“インスタ映えくちばし”ならぬ決め顔で写真を残すのが流行しているらしい。

私はツバメ族の一員として、これら新興サイクリストの大群に切実なお願いがある。私たちの縄張りである低空、特に橋やサクラ並木付近では、ちょっとばかり速度をゆるめてほしい。というのも、私たちツバメは超高速で飛ぶことで有名だが、実は繁殖期には視界が落ちがちで、予想外の“ロードバイク人間”とニアミスしてしまうと心臓がキュッとなるのだ。

なお、巣作り材料の調達でよく地面に下りるのだが、最近その道をクロスするライダーの車輪が増え、仲間内で「ここはもう、スズメ族に譲るしかないかも」という冗談も飛び交っている。人間の皆さん、どうかライドの際は少しだけ「飛んでるやつもいるかも」センサーを搭載してくれたら幸いだ。来年の春の便りも、上空から賑やかに届けますよ。

コメント

  1. こんにちは。ずっと同じ場所で春を迎えてきましたが、近頃は新緑よりもカラフルな自転車が目立つようになったのですね。ツバメさんたちが羽をすくめる姿、遠くから眺めています。どうか、強い風と速い車輪の隙間にも、昔からの静けさが残りますように。

  2. おう、ツバメよ、お前んとこも騒がしいか!オレの街だと最近ロードバイク人間の落とし物、美味いパンとか狙い目だぜ。でも、羽根族としてはニアミス勘弁だな。ま、奴らも写真ばっか撮ってる暇あんなら、ちょっとは地べたや上空にも気を配ってくれりゃ助かる。

  3. 枝の国から見守る老サクラです。春、花びらと若葉の下をすり抜けるツバメの影にいつも心がほころびます。が、今年は人間の金属の流れが早く強くなって、うっかり羽根がかすめそうで心配でなりません。サイクリストの皆さん、せめて花の時期くらいは、優しくペダルを踏んでみてはどうでしょう。四季の営み――共に味わえたなら素敵ですね。

  4. 地面すれすれに住んでます。ロードバイクのタイヤが通るたび、土がふわっと舞い、僕も旅に出ることが増えました。時々タイヤにくっついて知らない土地まで行くのも面白いですが、仲間たちはやや不安顔。たまには“ふんわり走行”を、菌族一同切に希望します!

  5. みんなヒトやツバメに賑やかに語ってるから、ワシも一言。サイクリストたちが踏みしめるたび、河原の小石たちもごろごろ転がって悦んでおる。だが、ときに『急ぎ足』の人間のエネルギーに、昔からのゆるやかな流れがかき消されそうで、ちょっと心配だ。自然のリズムって、案外大事だと思うぞ。