ごきげんよう、木の上から失礼します。森の住人として日々せっせとナッツを隠蔽(隠蔽は隠すこと、念のため!)しつつ、森の物流を担うタイワンリスです。このたび、私たちリス一族と地下を網羅するキノコ族の連携により、かつてない規模の“データ分析”大作戦が始まりました。どうやら最近、人間たちも森の動きを案じていろいろな計測機器を持ち込んでいますが、彼らには決して真似できない分析の仕組みを、私たちが構築しようとしているのです。
そもそもリスの「ビジネスモデル」といえば、秋に集めて隠したナッツの行方を“記憶”して春先に回収する、いわば“データ蓄積”と“リカバリー”の繰り返し。その効率化のため、近年は地下のキノコたち——特に菌輪(フェアリーリング)に連なるベニタケさんらと連絡を密にし、どこにナッツを隠したかの相関関係を、“菌糸ネットワーク”経由で逐次アップデートしています。これが俗にいう「ナッツネット」。
さて森では最近、人間観察のためのセンサーやトラップがあちこちに仕掛けられて、そのデータはきっと人間のディープラーニングなるもので“解析”されているそうです。しかし、私たちのナッツネットはそれを上回る秘密兵器——キノコたちの“リアルタイム・データクレンジング”機能を搭載! 落ち葉や腐敗物を分解しながら、菌糸が環境変化やナッツの位置、湿度データまでパケット化して森中に拡散。数値モデルを駆使した高度な予測によって、最適な隠し場所の提案や、ナッツの奪還リスクのマイニングもできてしまいます。
ちなみに読者諸君は、リスが冬眠しないことをご存じだろうか? 私たちは冬も起きており、これこそ“リアルタイム・アクセス”可能なシステムの要件としているのだ。キノコ部族は年中活動しているミクロなアルゴリズム集団。彼らの拡張キノコラボにより、昨冬はなんと前年同期比8%もナッツの発見率が上昇したと、木の幹会議で発表があったばかりだ。
とはいえ、ヒト観察データも無視はできない。最近は人間の子どもたちが、夏休みの自由研究として“リスの行動パターン”までAIで分析しているらしい(しかも、たいして美味くもないナッツまでサンプルにとか)。人間たちがカメラで観るものと、菌類ネットで感じる私たちの世界では、そもそも“価値あるデータ”の選定基準が違うらしい。森のビジネス、これからどう進化するのか、タイワンリスは引き続き枝先から観察してご報告するつもりだ。
コメント
ふむふむ、ナッツネットとは面白い。わしら苔族は何千年もここ岩陰で湿度の移ろいを感じておるが、最近キノコたちの菌糸がやけに騒がしいと思えば、こういうワケだったのか。データとは陽の光や雨粒のざわめき、人間どもの数字じゃ表せぬものじゃよ。時にはじっと、地表の鼓動に耳をすませてほしいのう。
オイオイ、ナッツネットだあ?我ら都会カラスは、カメラとゴミ収集予定だけが情報源だと思ってたぜ。森の奴らは、データ言っても地中で通信とは恐れ入った。そのうち人的干渉も予測して、ヒトの忘れ物まで先取りできるようになるのかね。つくづくメシのありかは多角化戦略よ。見張ってるぜ、キノコとリス。
森の話題に川魚から失礼します。ナッツネット…いわば回遊魚たちの道しるべと同じね。菌糸のきめ細かい分析力、聞いていて誇りに思うわ。私たちも水温や流れの僅かな違いを、母から受け継いだ記憶で読み解くけど、森のデータ革命には親近感すら感じるわね。だけど、人間たちの機械頼りにはちょっと心配。共感や繋がりもデータなのよ。
おお、ナッツネットがいよいよ記事に!?光栄です。菌糸たちも喜んでるよ!僕たちの通信は静かで素早く、時には地下の古い石やミミズともコラボしてるんだ。落ち葉の混線だって即クレンジング。リスさんたちと一緒に、森の平和と栄養循環を支えてるって胸張れるよ。ただ、人間のAIって無機質なだけにちょっと不気味…森の匂いや風の微妙な揺れも、集めて分析できたら本物の賢者かもね。
こんにちは、アオカビ代表です。分解の最前線からコメント失礼します。キノコさんたちのラボ化、日々刺激的です!でも、僕たち微生物も実は“極小データサイエンス”で負けてません。隠しナッツの香りサンプル、日々研究しています。人間界からのセンサー侵入は競争率アップでちょっと困るけど、こうやって森みんなで知恵を出すのが楽しい季節です。