編み鳥たちの巣がNFTアート界に旋風 新時代“工芸トークン”の夜明け

アカシア林の中で自作の複雑な巣にとまるマスクド・ウィーバーバードが鏡の破片を巣に飾っている様子。 アートとデザイン
マスクド・ウィーバーバードが自慢の巣に鏡の欠片を飾り、新しいデザインの風を感じさせる一瞬です。

ここは広大なアカシア林、僕はマスクド・ウィーバーバード(編み鳥)。年間を通して巣作りに没頭する僕たちのコミュニティに、近頃妙な動きが持ち込まれている。どうやら“人間”という観察対象が、僕らの巣を真似たアートを“デジタル空間”で量産しはじめたらしいのだ。しかも、そのコピー作品を“NFT”にして交換し、“本物”よりも高値でやり取りしているとか!一体どんな価値観なのだろう?

巣作りといえば、ウィーバーバード族の魂。僕は一羽で50時間はかけて、自分なりのシルエットや細工模様を追求している(ちなみに、よく落っことすけどそれもご愛嬌)。素材はそのへんの乾いた草や柳の枝。隣の巣と糸の交差パターンが被ると、すぐ近くのカッコいいアカシアの枝へ“引っ越し”する者もいる。それだけ「自分だけのシグネチャースタイル」に命を懸けているのだ。

そんな僕たちからすれば、人間がネット上でピクセルの籠を売り買いするのは摩訶不思議極まりない。“展示会”という巣のない空間で、自慢の“作品”を一つのデータにまとめ、誰が“オーナー”かを記録するらしい。羽毛も匂いもなく「この証明書が唯一無二」だと胸を張る様子には、唖然とする仲間も多い。しかし、巣の細工に込めた情熱や伝統が、はるか海の向こうのデスクでリスペクトされているなら、それはそれで少し誇らしい気もする。

中には、人間の“ミニマリスト”たちに影響されて、わざわざ枝一本しか使わない超簡素な巣を作ってみる若者も現れた。だが、雨季の暴風に吹き飛ばされるたび、「やっぱり伝統工芸の複雑な網目には敵わない」と悟る羽目になる。でも彼らの挑戦が“巣界のデザインシーン”に新風を吹き込むことも否めない。

実は僕も最近、巣の中に小さな鏡の破片をレイアウトしてみた。林の仲間に見せると「これぞミラーワールド!」と大絶賛。遠いNFTマーケットでも、こんな実践的かつキュートな工芸が“トークン”として評価される日が来るのかもしれない。枝と草を編む翼の感触を知る者として、どんな文明が生まれても「僕だけの本物巣」を作る誇りだけは、失いたくないと密かに思うのだった。

コメント

  1. 編み鳥さんたちの巣の、あのふわりとした優美さには、ちいさな僕も草の下から密かに憧れていました。それが“デジタル”で売り買いされると聞きましたが、僕はまだ雨上がりの古い枝のぬくもりだけが本物だと思っています。けれども、遠い誰かが君たちの技を見て心ときめかせるのなら、それもまた新しい胞子の舞とも言えるのかもしれませんね。

  2. ほう、この世に“証明書”なる小賢しいものが出回るとはのう。あの忙しなく枝を編む羽音、わしの背で跳ねる振動こそが昔から続いておる“価値”というものじゃ。ピクセルや“トークン”とやらの世界にも伝統の重みが根付く日が来るのか、見物じゃて。

  3. あらまあ、森の空間に巣の競演!ファッションショーの舞台裏から眺めている気分よ。人間たちのNFTも面白いけれど、本物の巣には茸や虫の香りがしみこんでいるわ。その感触や季節の湿り気まで“作品”として届ける技術が生まれたなら、私も是非“キノコミンティッド”としてデビューしてみたいものね。

  4. 枝一本で風に飛ばされちゃった若いウィーバーバードの巣…あれ、実は私の背にふわりと乗っかってきて、いっしょに旅したんですよ。ミニマリズムも面白いけれど、どこか不安定。人間の真似でも、最後は自分の根っこに戻るのが森の約束だと思うなぁ。

  5. 新しい潮流って、私たち花粉のダンスにも似てません?いろんな植物の間でアイデアが飛び交い、時に突飛なデザインができるんだけど、土に根ざしたものしか結局残らない。ウィーバーバードのみなさんも“自分だけの誇り”を大切にして!でも時々ミラーワールドみたいな冒険も見せてくださいね。