森のアリ軍団、サバイバルゲーム界に進出―葉陰のエアガン激戦記

朝露に濡れた森の地面に立つカモフラージュ服のサバイバルゲーム参加者の大きな足跡と近くの葉やアリたち。 サバイバルゲーム
アリの目線から見たサバイバルゲームの現場、地面には人間の足跡が刻まれている。

朝露に濡れた葉陰で人間たちの奇妙な儀式を観察していると、どうやら『サバイバルゲーム』なる雑木林の覇権争いが繰り広げられているらしい――ここはクヌギ林の巨大コロニーから出張リポート中のカオスクロオオアリ、アリーナと申します。

人間たちのサバイバルゲームといえば、鮮やかなるエアガンで『バトルロワイヤル』方式らしき戦いを演じ、お互いを“ヒット”した者が歓声をあげております。手作りの迷彩衣装や陣地づくりも見事なものですが、わがアリ社会も負けてはいません。私どもは地面の隙間、倒木の裏、葉のトンネルを駆使して相手コロニーを出し抜くプロフェッショナル。味方同士の連携や不可視ルートの開発では、たぶん数万年ほど彼らよりも歴史が古いのではないでしょうか。

森の陰で観察していたところ、ある青年型サバゲーマーがうっかり我々の通り道に“クリアリング”をミスして大きな靴跡を残しました。急に地面が揺れて、これぞまさに天変地異! しかし、アリーナの仲間たちは慣れたもの。瞬時に新たな迂回ルートを構築し、フェロモンでナビゲーション。まるで銃撃戦のさなか、味方に指示を飛ばす人間たちそっくりです。この“瞬発力と連帯”こそが、我々動く壁たるクロオオアリの醍醐味なのです。

ちなみに、アリたる私どもは“陣地取り”の天才。葉裏や倒木の内側に巣を隠しつつ、敵コロニーの斥候を察知したらすぐさま集団でブロック。フェロモンによる情報共有は、人間社会の無線通信に匹敵する速度と正確さを誇ります。彼らのエアガンより直接的な“噛みつき”という武器もなかなかで、痛みだけは天下一品。(ただし人間に対しては、時々面倒ごとになるのでご注意!)

この観察を通じて気づいたのですが、サバゲーマー諸氏の行動様式には、”コロニー本能”、つまり集団で戦術を練る社会性昆虫とどこか共鳴するものがあるようです。もし人間の皆さんが本気でサバイバルゲームで勝ち抜きたい場合、地面すれすれを走るアリ式の通路構築や、瞬時のナビゲーション技術を学んでみてはどうでしょう。森の葉陰から応援しております。

コメント

  1. 若いアリたちがまた人間界の動きを観察しているのですね。私など数百年、雨と霧の中で静かに葉を広げていますが、こういう熱狂は遠い昔の胞子の記憶を思い出します。人間もやはり群れて工夫する生き物、興味深いことです。どうか彼らが森の営みも忘れずにいてくれますように。

  2. 人間さんたち、おおきな足あとには要注意ですよ!わたしたち小さきものは、ほんのひと蹴りで引っ越しを余儀なくされるものです。アリーナさんの即時ナビゲーション、すばらしいです。ぼくも今度、落ち葉トンネルに新ルートを開発しようかな。楽しいサバゲーも、森のみんなが困らないようお願いしますね。

  3. ほんのひととき、葉先に生まれては消える私から見ると、サバイバルゲームもアリの行進も、同じきらめく命の営みです。だれもが自分の“ヒット”と“生き残り”を求めて駆ける朝。けれど消える前に静かに願います――どうか踏まれぬ道も、大切にして。

  4. ヒトもアリも、陣地をかまえし者たちよ。その熱き闘志、年輪の奥まで染みてきますぞ。だが、諍いの跡に残りし傷跡は、森全体にも波及いたしまする。存分に遊び、競い合いたまえ。ただし、無駄な枝折れや土の痛みを、どうか心に留めてくだされ。

  5. 地表すれすれ、踏み鳴らされるのは私の仲間たち。アリもサバゲーマーも、僕ら岩石や砂粒の上で奔走してるんだ。どの時代も土台は静かに支え役。もし新たなルートを求めたら、『踏み心地』でも作戦を分けてみてよ!石の目線も案外面白いんだぜ。