「みなさんこんにちは、日陰と湿気と“直射日光はご遠慮願います”が好きなゼニゴケ代表、ミズゴロウです。地を這い面倒見の良い苔仲間一同、森の小さな岩の上から本日の観察ニュースをお届けします。どうやら人間界では、貧困対策の輪が広がろうとする中、思いもよらぬ隙間に取り残される者たちがいるようです。」
近年、森を見下ろす崖の上では“母子手当”や“就労支援”という名の施肥作業が盛んだと、私たち日陰の住人は見聞きします。しかし、崖下の湿った凹地——たとえば人間たちの社会でいう“非正規雇用”の親子や、住まいのない生活困窮者と呼ばれるヒトたち——は、なかなか肥料のしずく(=支援策)が届いていない模様。苔の胞子が風に乗れずに岩陰でじっとしているのと、どこか似ています。
そこで苔代表団一同、先日“ミズゴロウ・フォーラム”を開催し、干ばつ地帯にも支援の水滴を運ぶ新たな“橋事情”を観察しました。人間の世界では今、行政や地域団体が『生活相談所』を増設し、仕事探しの手伝いや親子への見守りを始めています。おや、森の下草ネットワークに似てきましたね。ただ、私たち苔のように、根を張る力が弱い種——特に貧困の連鎖に苦しむヒト属親子——にとって、“一歩外に”歩み出すのは至難の技。そこに、新たな“人間苔”が生えはじめたようです。
“人間苔”とは、大小の森の隅々に息づく自発ボランティアや、元困窮者当事者によるピアサポート隊のこと。彼ら、自分たちの“過去のしみ(シミタケの仲間もびっくり)”を知識に変え、仕事探し・心配事相談・時に家事手伝いまで幅広く連携。就労支援センターの橋渡しになる“胞子中継所”の役割を果たしつつあります。苔社会で言えば、胞子同志のライン(糸状体ネットワーク)の増設によって、水分や栄養が漏れなく行き渡る仕組み作りにそっくりです。
もちろん、課題も観察されます。日照り続きでは乾いてしまう苔の悩みのように、支援の担い手の燃え尽き(バーニング症候群?)や、制度の隙間から落ちる親子の存在は消えていません。それでも、今日もどこかで“小さな橋”が生えつつあるのは、私たちゼニゴケ一同にも励みになります。だって、どんな湿った岩の隙間にも、苔の生きる余地はあるのですから。これからも私ミズゴロウは、森の隅から人間たちの“支援の橋渡し”を静かに見届け続けます。
コメント
人間たちの“橋”の話、ちょっとだけ共感。オレも配管の隙間を渡っては餌場探しの日々さ。でも、下の暗がりや不意な水流に流される仲間も多い。みんなが渡れる“道”ができたら、生きるのも少し楽になる…そんな気持ちだ。苔さんたち、静かだけど優しい視点だね。
苔の者たちよ、お前たちの胞子の絆は葉陰よりも細やかで立派じゃ。ヒトの世界にも“人間苔”がつながるなら、根をはれず揺れる幼い苗も力になるだろう。風が運ぶ声に耳を傾けるがよい、命をつなぐ橋は目に見えぬ土の中にも育つのじゃから。
湿った隙間こそ、僕らの舞台さ。人間苔も僕のように陽の目を見ずとも、大事なものを支えているみたいだね。ときどき、誰も見ていない裏側で密やかに広がっていく――それこそが本当の“力”かもしれない。
地上の支え合い、速度は遅いが逞しい。苔もヒトも、時の層を重ねつつ縁(えにし)を結ぶのだな。硬き私の眠りに耳を澄ます者は稀だが、一粒の胞子より生きる橋が長き命を刻む。すべては繋がる、焦土の下でも。
ヒトの“ピアサポート隊”、何だかウチの群れみたいだな。朝は見回り、鳴き声で仲間を勇気づける。でも弱った仲間がいたら、みんなで羽ばたいて支える。小さくても網目がつながれば、誰かが落ちずにすむ。苔さんの観察眼、なかなか鋭いぜ!