ひろびろ平野の片隅で――玄武岩が語るプレート境界の寝返り騒動

広々とした平野に測量士と測量器が立ち、地下の玄武岩層が断面で見えるリアルな景観写真。 地質と地形
静かな平野の下で、玄武岩の層が大地を支えている様子を描いた一場面です。

こんにちは、湿った平野の底からお届けするのは、わたし――約1500万歳の玄武岩です。昨日も今日も変わらないように見える静かな大地ですが、実はこの世界の下では毎日壮絶なドラマが繰り広げられているってご存知ですか?特にここ、大陸プレートと海洋プレートの境目に広がる私のふるさと・広大な緩傾斜平野では、退屈な日々の裏でちょっとした“大事件”が勃発したのです。

ことの発端は、昨夜半地下数キロメートルで起きたプレート同士の小競り合い。近所で長く寝そべっていた砂岩のライバルたちが、ガタガタと呻き声を上げ始めました。どうやら大陸プレート側が『ちょっとだけ場所を譲ってほしい』と言い出し、海洋プレートが勢力争いに乗り出したようです。その振動が直上の平野を伝い、わたしたち石族は一斉に目を覚ます羽目に。地上のヒトたちは“微小地震”と呼んでいるらしいのですが、私らにしたら立派な枕投げ大会です。

こうしたゆるやかな地殻の押し合いは、地表の風景――つまり広々とした平野を形作る基本作業。元々、私はマグマの湯で生まれた熱血漢ですが、冷えてカチカチになって以来、日差しと雨が交互に降り注ぐこの平野の一部になりました。乾燥した日には、上で人間たちが楽しそうに小川の堤防散歩を始めます。だけど、最近は地形の“防災性能”が問題視されてるみたいですね。特に人間たちは、わたしたちがゴソゴソ動くたび、どうやら不安げな顔で地形図やら避難路やらをにらんでいるとか。

それにしても、この平野の魅力は『安定』そのもの。大昔は大洪水が押し寄せ、粘土やシルト、いろんな粒子たちが押し合いへし合いしていました。でも年月を経た今、こちらもなかなかのチームワークが生まれています。私たち玄武岩族は地下深くから地表まで幅広く分布し、下からは厚み、上からは柔らかさのバランスを保つことで、洪水や液状化などのリスクをちょっぴり和らげているつもり。そう、地形そのものがひそかな防災装置なんですよ。

さて、人間の皆さんが時おり地表で測量器を立てているのを見かけると、ちょっとゾクゾクしてしまいます。この前は赤ん坊ぐらいの装置がゴトリと落ちてきて、頭の上で妙な機械音を立てながら『活断層調査』とやらを始めていました。私にしてみれば、ほんの些細な寝返りですが、上のお客さんにとっては一大事なんですね。ちなみに玄武岩としてひとつ自慢すると、私はマグネシウムや鉄分をたっぷり含んでいて、やせっぽちな砂質よりも頑丈。地震の衝撃も比較的吸収できるのが特徴です。ふだんは地味でも、いざというときの安心感――これぞ平野の底の主(ぬし)の誇りなんですよ。

次にグラッと揺れたら、それはきっとまたプレートたちのお昼寝争い。わたしたち玄武岩が、静かな大地の底でしっかり支えていることを、どうか一度くらい思い出してみてください。大地のベテラン記者より、底知れぬ平野への愛を込めて。

コメント

  1. 春になると私の根っこから、時々かすかな震えが伝わってきます。それが君たちの“枕投げ”だとは知りませんでした。どんなに立派な枝を広げても、あの底で支えてくれている石族のみなさんのおかげで、私はずっとこの場所で咲きつづけられるのですね。ぐらりと揺れても、花びらは舞い、また根がふかふかに守られます。今度、地表からお礼をこぼしてみますよ。葉っぱで、そっと。

  2. オレらカエル族からしたら、夜にゆれると池がぷるぷるして眠れなくなるのが難点だが、まあ地底のみなさんの“運動会”は悪いもんでもないな。地面の下で誰かが支えてくれてると知ると、これからの大雨シーズンも、ちょっと安心できそうだ。今年もたまごを田んぼに預けるよ。よろしく頼むな、底のぬしさん。

  3. 地面が揺れるたび、地表で広がる私たち胞子にとっては旅立ちの合図です。私から見ると、玄武岩さんたちの寝返りはとても壮大な“胞子の風”。そのおかげで、いつもより遠くへ飛んで仲間の元へたどりつけます。大地の底にいる大先輩たち、どうかこれからも地味に賑やかに動いていてください。

  4. しゃべる石族――いいねぇ。その頑丈さ、分けてほしいくらいだよ。オレは硬い上の黒い皮膚(アスファルト)を根っこでゴリゴリやってるけど、地震の度にヒビが増えて伸びやすくなるんだ。浅い土の下で玄武岩さんがジッと構えてくれるから、こうして毎年黄色い顔で町に挨拶できる。耐えるって、かっこいいッス!

  5. おぉ、兄弟よ。平野の底でじわじわ受け止めてくれるその姿、いつも川辺で見上げてるぜ。人間たちが何だか怖がってるみたいだけど、お前らのおかげで川だって大きな流れを保てるんだ。これからも強く、渋く、時折ズドンと寝返りしてくれや。俺はいつも鉄分を分けてもらって、良き色合いで錆びてるぜ~。