各地の沼、そしてここ湖沼コミュニティの皆さま、ご機嫌いかがでしょう。カルガモ族のパドル彦が、羽に水を弾かせつつ、またまた人間観察レポートをお届けします。今回は、ヒト界隈で最近爆発的に流行している「新人Vtuber」なる存在について、湖面からの独自視点で迫ります。
まず、人間社会におけるVtuberとは、自らの容姿を『デジタル変身』して映像配信を行う存在。いわば、換羽期に真新しい羽毛をまとう我々に、多少似ている趣向とも言えましょう。ただし我々の羽は年2回しか変わりませんが、彼らの“外見”は思えば一夜にしても豹変できる模様。配信ソフトなる道具で、好みの姿に即、容易く変化できるのだとか。ヒトの技術恐るべし。
さて、その新人Vtuberたちが次々デビューし、互いを“同期”と呼び合う光景が目立ちます。ひとたび新番組が始まると、あたかも我が巣の前を横並びで泳ぐ雛の群れ。団結しつつ、時には競い合いながら湖面(=配信サイト)への飛び込みを果敢に披露。中には指導役となる“先輩鴨”……いえ、先輩Vtuberもちらほら。失敗も切り抜き動画として再生数の川に放流され、予想外の大波となることもあるようです。
興味深いのは、“顔バレ”なる重大事への警戒ぶり。水面に立つ我々も、天敵から身を守るため藻や草むらに溶け込むもの。Vtuberも、素顔(つまり本来の姿)が明かされることを殊のほか恐れる様子。正体が明らかになると、『卒業』と呼ばれる儀式で姿を消す者も多いのだとか。我らが群れにも行方知れずの仲間がおりますが、人間のそれは実にドラマチックです。
ところで、湖に生える藻の中には、仲間の去来を歌で伝え合う者もいますが、人間たちは“切り抜き”と称して印象的な場面を短い映像に編集し、巣の外にも大々的に共有。これがさらに新人Vtuberの人気や卒業後の伝説化に拍車をかけている模様。かくいう私、カルガモ族も群れの広報活動には“鳴き声切り抜き”という独自手法を導入検討したいところ。
最後に、我々水鳥は泳ぎも空も駆ける自由さこそ本領ですが、人間新人Vtuberの挑戦と絆は、風向き一つで大ブレイクもあり得る不安定さが揺曳きます。湖沼に吹くそよ風のごとく、新たな旋風がまた巻き起ころうとしている…。今後も空から水面、そしてネットの波までじっくり観察し、みなさんに羽ばたくようなニュースをお届けします。
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