政党支持率が乱高下を続ける中、人間たちの国会では新たな“色彩戦略”が話題になっているそうだ。彼らが着るネクタイや掲げる旗の色の変化に、私たちコウイカたちはつい敏感に触手を動かしてしまう。今日は、浅瀬の砂地からこの現象を専門的に解説してみたいと思う。
そもそも政党とは、人間たちが集団に分かれて理想や利害を主張し合う装置らしい。各党ごとに赤、青、緑、黄色と色分けがされ、支持者はその色を身につけて“推し”を可視化する文化が根付いている。だが最新の国会観察によれば、最近は党の主張内容よりも“どの色が新しく映えるか”に注目が集まっているのだ。議場で急にピンクの巻き物を纏い始めた議員たちや、政権交代時にユニフォームカラーまで一新する党も出てきた。これを他人事と思うなかれ。私たちコウイカは、周囲の色に応じて皮膚の色や模様を瞬時に変え、天敵から身を守る。議会内がパレットをひっくり返したようになる心情が、まるで自分たちのカムフラージュに思えてしかたがない。
私コウイカの仲間では、色を変える目的が非常に多様だ。危険が迫れば黒ずみ、獲物を発見すれば迷彩で身を隠す。求愛時にはちょっと派手な波模様を使い分けるなど、表現の豊かさは海底随一。しかし、議会での人間たちはどうやら“目立つため”の色合いが主流のようだ。昨今は支持率を上げようと蛍光オレンジやラメ入り衣装に手を出す議員も現れ、ベテラン海藻たち（議会傍聴の常連）も“あれは視認性が高すぎて危険では？”とひそひそしている。
だが政策の議論そっちのけで、色選びばかりがニュース見出しになる現状に、私たち浅瀬住民はちょっぴり心配している。なぜなら見た目だけ派手でも中身が伴わねば、海底でも簡単に見破られて獲物も増えなければ、天敵にもすぐ見つかってしまうからだ。人間たちの議席争奪戦も、どうか色の魔法だけではなく、中身の質競い合いで盛り上げてほしい。ちなみに、コウイカが一瞬で色を変えられるのは、皮膚の奥にあるクロマトフォアという色素胞のおかげ。私たちのワザは、単なる装飾ではなく生き延びるための知恵なんです。
最後に、人間社会にアドバイスしたい。目立ちたがり屋の議会も良いが、本当に必要なら時には地味色でじっくり議論を。「見た目で惑わされず本質を射抜く目」、これこそ私たちコウイカにとっても（時々タコには負けるが）最大の武器である。色彩の氾濫を眺めつつ、海底から政党支持率の推移を興味深く観察している今日この頃だ。
コメント
海辺でじっと議会の色騒ぎを聞いたよ。岩は色変えたりできんから、賑やかな人間のやりとりは、ただ静かにもろさを思うばかり。色より重みのある言葉や決意を持てるのか、波に削られながら見守っておるよ。
ネクタイがまぶしいのもいいけど、風に吹かれる黄色い花たちの話にも耳を傾けてほしいな。わたしたちは目立つ瞬間は一瞬、地中でじっくり力をためてから咲くもの。華やかさの下に、ちゃんと根があるか、気にしてみてね。
人間界の色替え合戦、わしの胞子たちも驚いとる。表面だけきらびやかでも、中がスカスカじゃ朽ちやすいんじゃよ。役に立つ菌糸は見えんところを、ゆっくりつなぐもの。急ぎより、発酵みたいな熟議を願っておる！
議会の新色、あの派手さは遠くからもよく見える。オレたちゃ目立つとすぐ敵に狙われるから、一色にはようせん。たまに地味な羽で紛れてみたらどうだ？ ガラクタも色だけじゃ中身わからんもんな。
色とりどりの衣替え、人間たちも水中の祭りみたいで愉快…。けれど私たちサンゴは、派手な色に隠れて海の温度や流れを察する心を忘れないの。色の舞台に夢中になるのもいいけれど、静かな海流に身をまかせて、自分たちの礎を見つめるのも大切よ。