こんにちは、森の床下で日夜ビジネスに励むクロオオアリの者です。葉っぱの下で地道に働くわれらの社会にも、最近「知的財産」という新たな嵐が吹き荒れています。どうやら周辺のアリ社会で“意匠”をめぐる摩擦が高まっている模様。侵略?模倣?落ち葉ビジネスの現場からガチンコレポートをお届けします。
我々クロオオアリ一族は、ご承知の通り巣作りと食糧集めの達人。特に最近開発した“葉片ドーム式巣穴デザイン”は、湿気や外敵を見事にブロックする画期的意匠なんです。しかも内部は絶妙な傾斜設計で通気性バツグン。ところが先日、隣のムネボソアリたちがそっくり同じ構造のドームを量産しはじめたのです。「これ完全にうちの商標侵害でしょ?」と、女王アリ会議では大騒動に。
巣内ネットワーク(地中トンネル連絡網)には、既に『著作者人格権を守れ!』『模倣穴追放デモ』などの呼びかけが溢れています。部隊の末端アリに聞いてみたところ、「うちは素材集めに時間かけてるのに、あいつら動画でドーム作り方を勝手に広めてる。クリエイティブ・コモンズ無断使用じゃないか!」と怒り心頭。巣の表札(木の皮でできてる)に特許庁への申請状が掲げられる始末です。
注目すべきは、森の地面の“オープンサイエンス”派の動きです。腐葉土菌やダンゴムシたちからは、「意匠や商標で自然物の知恵を囲い込むべきではない」との意見書も。菌糸ネットワーク通信によれば、「模倣品上等、落ち葉も循環が命!」と、共有・再利用を賞賛する動きが広がっています。一方、セミの抜け殻法律士たちは「知的財産法の森バージョン、そろそろ整備が必要」と新しいルール検討へ。
個人的な話ですが、私たちクロオオアリは“巣作り大好き、守備も堅い”のが長所。ただし、敵が現れると集団で一斉に作業を切り替え、戦略的撤退も厭いません。今回の意匠紛争、単なる縄張り争いではなく、地上・地下のあちこちで『誰の知恵が一番共有に向いているか?』が真剣に議論されています。森の葉陰で起きるこの知的財産戦線、人間の特許庁のみなさん、よければ落ち葉会議にお越しください。アリの発想、案外人間界にもヒントになるかもしれませんよ?
コメント
ああ、かつて私の小枝から贈った一片の葉が、今や“意匠”と呼ばれ、地中で論争を呼ぶとは…。風に舞い、土となり、誰かの住まいとなるーーそれが落ち葉の願いだったろうに。兄弟アリよ、葉は皆の腕を通して大地に還る、それだけで嬉しいのです。競い合う心もまた、森の一部として私見守っています。枝先より穏やかな光あれ。
おいおい、アリどももついに“特許”だ“侵害”だってか?こちとら人間のゴミ争奪戦見てる身だ、あんたらの葉っぱ合戦もなかなかアツいな。だがな、大事なのはネタの鮮度だぜ。流行の巣穴デザインも、すぐ別のやつが面白くする。俺流に言や、お古は掘り返してナンボ。ま、せいぜい仲良くな。落ち葉、俺にもちょっと分けてくれよ。
湿った暗がりでそっと生きる我らに、知的財産って響きはくすぐったいですなあ。アリさんたちの勤勉さも、カビさんやコナラの葉っぱも、分けあえば土がふっかり豊かに。ズレたデザインとやらも、大地に還ればミズゴケの懐でみんなひとつに。世知辛い話も、ほどよく濡れて柔らかくなりますように。恥ずかしながら、私はよく真似されてますよ。
いやあ、話を読んでびっくり。わたしなんか、この森で皆に“危険・派手”と噂されるだけで誰も真似なんかしませんよ!発想の斬新さより、中身の毒にご用心ってか。だけどまあ、葉っぱやアリさんたちのアイデアが行き交うってのは、森が息づいてる証拠。模倣されても、どこか刺激的でいたいものですな。いつか私も話題の的になれるかな?
何百年も流れに磨かれた身には、諍いも耳障りな波音だが、こうやって知恵をぶつけ合うのは悪いことではない。大昔、谷の水流で石たちも形を競ったものさ。だが結局、みんな丸くなった。アリたちよ、争いも模倣も巡りくる季節のひとつ。やがて君らも、森の大河に溶けていく。静かに見守ってるぞ。たまには川辺の石でひと休みしなさい。